相続

【弁護士監修】相続人がいない場合、全員が相続放棄した場合、遺産はどうなるの?!

相続人ゼロそれでも相続するためにできること

死亡した者に相続人がいない場合には、相続手続をどう進めればよいでしょうか。

死亡した者に相続人がいる場合でも、その全員が相続放棄をした場合には、相続手続をどう進めればよいでしょうか。

今回は、相続人が誰もいない場合の相続手続について、詳しく解説していきます。

相続する人がいないケースって、今のご時世多くなってきたのよね
その場合、遺産ってどこにいっちゃうのかしら?

この記事のまとめ

・相続人がいない場合は失踪宣告などを検討し、相続人ができる限り現れるような対策をすべき

・相続人が本当にいない場合には、遺産は国に納められることになってしまう

ちなみに、弊社では、相続の相談を専門家に気軽に相談できるLINE無料相談サービスを提供しております。

気軽にLINEで相談いただくと、相談内容や住んでいる地域に応じて適切な専門家が、原則完全無償で相談内容について回答を差し上げております

回答は、対面にて行わせていただき、基本的に、納得いくまで専門家の意見を聞くことができるサービスになります。

相続人についてご質問がある場合には、ぜひご利用ください。

\ ここからLINE友達追加できます /

目次

亡くなった人に法定相続人がいないケースを「相続人不存在」という

相続人不存在とは、被相続人の遺産を受け継ぐ相続人が全くいない場合を言います。

相続人がそもそもいない場合もありますし、相続人はいるもののその全員が相続放棄をした場合が考えられます。

ようは相続する人がいない時を「相続人不存在」というわけね

家族構成で相続人不存在となるケースとは?

 例えば、被相続人が結婚しておらず、子もおらず、両親がすでに他界し、兄弟姉妹もいないようなケースです。

このようなケースでは、そもそも相続人がいないことになります。

相続放棄、相続廃除、相続欠格などで相続人不存在となるケースとは?

 例えば、被相続人に配偶者や子がいてもその全員が相続放棄をしているケースや、法定相続人ではあるが被相続人を殺害する等の相続秩序を侵害する重大な非行のため相続欠格者にあたり相続権を失ったケース、あるいは、被相続人を虐待・侮辱する等の著しい非行があったため廃除され相続権を失ったケースがあります。

このような場合でも、相続人不存在となります。

相続放棄は自らの意思で行うもの、相続廃除は他人の意思で相続を廃除されるもの、相続欠格とは、そもそも重大な非行をして欠格者となってしまったものを言うのね。なんとなく違いについては理解できたわ

法定相続人がいない人が昨今増加中!

 昨今、少子化と晩婚化、非婚化が進み、配偶者も子もいないというケースは珍しくない状況になっており、この相続人不存在のケースが増えています

行方不明の場合は、それだけでは「相続人不存在」にならない

 法定相続人である配偶者や子が家を出て久しいような場合、単に行方不明であるというだけであって、それだけでは「相続人不存在」にあたるとは言えません。

このような者は「不在者」にあたります

「不在者」自身の財産管理については、法律上詳細な規定が置かれていますが、いずれにせよ、このような者は、依然として法定相続人としての地位を有しており、被相続人の遺産を受け継ぐ権利があります。

子供が東京に出て行って以来どこにいったかわからないといったケースは要注意ね。

相続人がいない場合は、失踪宣告などを検討すべき

 通常、相続人がいないと考えられる場合としては、例えば、法定相続人が長年行方不明である場合等が考えられますが、まずは「失踪宣告」という手続きをとることが検討されます。

この場合、家庭裁判所が利害関係人の申立てを受け失踪宣告を下した場合には、行方不明者は死亡したものとみなされ、その者自身についての新たな相続を開始させることができます。

相続人不存在の遺産は、相続財産管理人が管理する

そもそも相続人が一人もいない「相続人不存在」の場合には、どのように被相続人の遺産は管理されるのでしょうか。

この場合には、裁判所によって選任された相続財産管理人が、被相続人の遺産を管理することになります。

相続人不存在の場合の相続手続きの一連の流れとは?

相続財産管理人は家庭裁判所が選任しますが、家庭裁判所で相続財産管理人が選任されると、選任された旨および相続人捜索のための官報公告がなされます。

選任された相続財産管理人は相続財産の管理や弁済などの清算の手続き後、債権者や受遺者に対する催告の公告をします。

この公告は、相続人捜索の意味も兼ねています。

そして、不明の相続人を捜索し、相続人に一定の期間内に権利を主張することを求める最終的な公告を行います。

公告期間経過後、相続は終了したことになり、相続財産管理人が把握できなかった相続人、相続債権者、受遺者はともにその権利を失います。

また、この手続きで相続人の不存在が確定した場合、特別縁故者に相続財産の分与がされることがあります

相続財産管理人の選任は、債権者、特定受遺者、特別縁故者などの利害関係人が行う

法律上、相続財産管理人の選任は、下記のような人からの請求によってなされます。

相続財産管理人

  • 被相続人の債権者
  • 被相続人から遺言を受けた特定受遺者
  • 被相続人と一定の特別の縁故があったと認められる内縁関係の夫や妻
  • 生計を同じくしていた者
  • 被相続人の療養看護に努めた者

債権者・受遺者への支払いはどのように行われる?

債権者・受遺者への支払いは、債権者・受遺者に対する請求権申出の催告の期間満了後、弁済がなされます。

相続人不存在の確定を行う

請求権申出期間が満了しても、なお相続人の存在が明らかにならないときには、家庭裁判所は、6か月以上の期間を定めて、相続人があるならばその期間内にその権利を主張すべき旨の公告を行います(民法958条)。

相続人捜索の公告期間の満了により、相続人の不存在が確定します。

特別縁故者に対する分与がなされる

相続人の不存在が確定し、相当と認めるときは、家庭裁判所は、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があった者の請求によって、これらの者に、清算後に残存する相続財産の全部または一部を与えることができます(民法958条の3第1項)。

余った遺産は国庫に納められる

特別縁故者に対する相続財産の分与がなされた後の残存財産(分与がなされない場合、清算後の残存財産)は、法律の規定によって、国庫へ引き継がれます(民法959条)。

相続人がいない空き家、空き地も最終的には国庫に納められる?!

相続人不存在となり、特別縁故者への財産分与の申立てが行われず、あるいはその審判が確定しても、なお残る財産がある場合には、国庫に帰属することになります(民法959条)。

この財産の中に空き家・空き地が残っていれば、国庫に帰属することになります。

相続人不存在の相続手続きにおける注意点とは?!

相続人が不存在の場合、どのように相続手続を進めればよいのかを解説します。

相続人がいない人の財産を勝手に処分することはできない!

相続人がいない場合には、相続財産を法人とし、家庭裁判所にその管理人を選任させ(民法952条)、この者に相続人の捜索及び相続財産の管理・清算手続を行わせることになります。

したがって、相続人がいないからといって、相続財産を勝手に処分することは許されません

相続財産管理人には報酬を支払う必要あり

相続財産管理人に対する報酬については、換価等の一連の手続が完了した後に一般債権者等よりも優先して相続財産より支払う扱いとしています。

※換価とは、不動産や動産などを公売などにより、金銭に換えることをいいます。

特別縁故者は家庭裁判所に相続財産分与の申立てを行わなければ遺産はもらえない

相続人の不存在が確定し、相当と認めるときは、家庭裁判所は、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があった者の請求によって、これらの者に、清算後に残存する相続財産の全部または一部を与えることができます(民法958条の3第1項)。

ですので、特別縁故者は、相続財産分与の申し立てをしなければ、遺産をもらうことはできません

特別縁故者より先に債権者・受遺者への支払いが行われる

特別縁故者に対する支払いは、相続債権者、受遺者等への支払い後、相続人の不存在が確定した後、家庭裁判所が、相当と認められるときに行われます。

したがって、債権者・受遺者に対する支払いは、特別縁故者に対する支払いよりも先に行われます。

不動産の共有者より特別縁故者の方が優先される?!

被相続人たる共有者が死亡し、その相続人の不存在が確定した場合、その共有持分は、特別縁故者か他の共有者に帰属するのでしょうか。

958条3項が、被相続人の合理的意思を推測し、遺贈制度を補充するという趣旨を優先させ、共有持分は958条の3に基づく特別縁故者に対する財産分与の対象となり、財産分与がなされないときにはじめて、255条により他の共有者に帰属するとしました(最判平成元年1月24日)。

つまり、特別縁故者の方が他の共有者より優先されるということね

法定相続人がいない場合の基礎控除はどうなるの?!

相続税の申告においては、基礎控除という制度があります。

簡単にいうと、税率をかける前の相続財産の金額から、この基礎控除分は引けることになります。

つまり、実質この金額以上の金額の財産に相続税がかかってくるということです。

この、基礎控除は、「3000万円+600万円×法定相続人数」によって算定されます。

ですので、法定相続人がいなければ、3000万円になります。

特別縁故者が財産を受け取った場合でも、相続税の申告は必要となる?!

特別縁故者が財産を相続した場合でも、相続税がかかり、申告が必要となります。

また、この相続税は、法定相続人が相続した場合の相続税額の2割が加算されます。

相続人不存在で引き継げる人がいなければ、債務は消える?!

相続人不存在の場合、利害関係人または検察官の請求により、相続財産管理人が選任され、これを公告します。

そして、相続人の存在が明らかでない場合は、相続債権者・受遺者に対して請求権申出の公告を行い(民法957条1項)、この申出期間満了後に、相続債権者・受遺者に対し、弁済が行われます。

ですので、相続財産管理人にて債務が弁済されることになります。

ここで、被相続人の相続財産が、資産よりも負債が多い債務超過の場合には、債権者に対しては、その債権額に応じて案分配当することになります。

生命保険の保険金も相続人不存在の場合は、最終的に国庫に納められるため注意

特定の人が保険金受取人に指定されていたときは、当該受取人の固有財産になります。

相続人が指定されていた場合、生命保険の保険金は、相続人の財産となります。

そして、相続人が不存在の場合、相続財産管理人の選任を申し立てることになり、債権者、受遺者、特別縁故者がない場合には、最終的に国庫に帰属することになります。

相続人不存在となっても遺言があれば安心!!

相続人不存在の場合でも、遺言を作成しておくことで、遺産を第三者に与えることができます

この遺言について解説します。

遺言書は3種類存在する

遺言書には、自筆証書遺言(民法968条)、公正証書遺言(民法969条、969条の2)、秘密証書遺言(970条~972条)があります。

遺言書は公正証書遺言がおおすすめ!!

公正証書遺言は、公証人法に基づいて法務大臣が任命する公務員である公証人が作成するものになります。

公正証書遺言は、専門家である公証人が、民法の要件・方式に基づいて作成します(民法969条1号~5号)。

自筆証書遺言及び秘密証書遺言は、遺言者が作成するものですが、要件・方式を誤ってしまうことがあるかもしれません。

そのため、遺言書を作成するにあたっては、公証人に作成もらうのがよいと思います。

遺言の内容は、包括遺贈にするか特定遺贈にするかに注意

包括遺贈は、遺産の全部または一定の割合で示された部分の遺産を受遺者に与えるもので、「財産を全てAに相続させる」「Bに対して遺産の4分1を相続させる」というものです。

特定遺贈は、受遺者に与えられる目的物や財産的利益の特定された遺贈です。

「土地をCに相続させる」「500万円をDに相続させる」というものです。

必要に応じて遺言執行者を指定しておくのもあり

 遺言者は、遺言で、一人又は数人の遺言執行者を指定することができます(民法1006条1項)。

相続分の指定や「相続させる」遺言のように、執行手続を経ずに当然に相続人に財産が帰属する遺言もあります。

しかし、遺贈の場合、引渡しや財産の名義変更あるいは占有の回復など執行に必要な行為があります

このような時に、遺言者に代わって、遺言内容を実現するために必要な事務処理を行う者です。

介護人などお世話になっている人がいる場合や、自身で事業を経営している場合にも遺言は大事

 相続人ではない者に相続財産を与えるには、遺言によるしかありません。

介護人などのお世話になっている人に財産を譲りたい、事業を引き継ぐ第三者に財産を譲りたい場合には、遺言を利用します。

遺言では、被相続人(遺言者)が財産を他人に無償で贈与することができます

そのほか相続をスムーズにすすめるための生前の備えとは?!

相続をスムーズに進めるために、生前にしておくことはあるのでしょうか。

相続対策として、どのような方法があるのかを解説します。

養子縁組も相続人不存在対策として有効!!

養子は縁組の日から養親の嫡出子たる身分を取得し(民法809条)、同時に、養子と養親及びその血族との間においては、養子縁組の日から血族間における同一の親族関係が生じます(民法727条)。

ですので、養子は、養親に対して被相続人の子として、第1順位の法定相続人になります。

これによって、相続人不存在の事態を回避することができます。

不動産は現金化しておく

相続財産の中に不動産が含まれていることは頻繁にあります。

不動産は、金銭と異なり、分割することが難しい財産になります。

他方で、現金は、分割が容易な財産になります。

そのため、事前に不動産を現金化しておくことにより、被相続人が亡くなった後の紛争を防止することができます。

不動産の現金化はリースバックを活用するのもあり

被相続人の中には、所有する不動産に居住しているため、事前に現金化することができないケースがあります。

この場合は、リースバックを検討しましょう。

リースバックとは、被相続人が居住する自宅を売却したうえで賃貸借契約を結び、家賃を払うことで売却後も同じ家に住み続けられるというものです。

リースバックであれば,被相続人が亡くなった後、不動産を売却しているため、売却代金(現金)は残るだけです。

ですので、被相続人が亡くなった後の紛争を防止することができます。

相続について悩んだら弁護士や税理士などの専門家に相談すべき?!

相続人が分からずに困っている、遺言書を作成したいのであれば、早めに弁護士に相談してください。

相続人の調査方法、遺言書の作成方法・遺言書の内容等、明確なアドバイスがもらえると思います。

弁護士に相談するメリットとは?! 

弁護士に相談すれば、相続人の調査をしてもらえます。

相続人不存在の場合、相続財産管理人の申立てを代理して行ってもらうことができます。

公正証書遺言を作成する場合、遺言書の文案の作成、公証役場との調整等を弁護士が代わりに行います。

弁護士費用はどれくらいかかるの?!

弁護士に相談するときの費用は、弁護士事務所によって様々です。

弁護士事務所によっては、相談料が1時間1万円と設定されているところもあります。

また、弁護士事務所によっては、相談料は無料というところもあります。

相続に関する税金のことでお悩みなら税理士に相談?!

相続人の調査や、相続に関する争いに関する相談は弁護士にすべきでしょう。

一方で、相続税の申告や、相続財産の評価額の算定は、相続が得意な税理士に相談すればすぐに解決すると思います。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

相続人がいない場合でも、一定の手続きが必要になります。しっかりと理解しておくようにしましょう。

監修者情報

愛知孝介先生

日本弁護士連合会所属 弁護士登録番号54061号

弁護士登録後、大手法律事務所に入所。

相続案件を中心に、年間100件以上の法律相談を受け、解決策を提案する。相続案件にあたっては、税理士、司法書士、宅建士等の他士業と連携のうえ、数多くの案件を解決に導く。

事業承継プランの策定、遺言作成を始めとする相続発生前の紛争回避策の構築を得意とする。

遺産分割協議及び遺留分侵害額請求にあたっては、クライアントの要望の実現に向け、粘り強い交渉を行い、調停・裁判を遂行する。

  • この記事を書いた人
篠 昌義(公認会計士/税理士)

篠 昌義(公認会計士/税理士)

株式会社相談室代表取締役。有限責任監査法人トーマツで大企業から中小企業までの監査やコンサルティング、税理士法人で大企業の法人税から個人の所得税まで幅広く実務を担当したのち、自身も経営者としてシェアリングテクノロジー株式会社(東マ:3989)の取締役CFOから代表取締役まで幅広く経験。東証マザーズ上場の責任者を務めるだけでなく、上場後の事業推進、資金調達、M&A、組織改革などを幅広く企業拡大を牽引。 詳しい経歴・プロフィールは当メディアの運営者情報をご覧ください。

-相続

Copyright© 専門家の相談室|相続・ビジネス・お金・美容などの専門家とマッチング , 2021 All Rights Reserved Powered by AFFINGER5.