相続

相続手続きや遺言で困ったら行政書士に相談すべき?司法書士などの専門家との違いを分かりやすく解説!

相続の場面では、様々な手続があり、それぞれの手続に専門家がいます。

行政書士も、その専門家の1つです。

相続手続に困ったときに、行政書士に相談し、手続をしてもらうことができます。

今回は、行政書士に対してどんな内容をお願いできるかについて、詳しく説明していきます。

目次

相続で発生する手続きで行政書士ができる範囲は限られている?!

 相続が発生した際、行政書士はどのような手続をできるのか、解説します。

行政書士に依頼できる範囲①相続関係説明図

 相続関係図は、被相続人の相続人が誰かを明らかにする書類です。

遺言書がない場合、相続人全員で遺産分割協議をしなければなりません。

そのため、被相続人の相続人を明らかにしなければなりません。

行政書士は、被相続人が誰かを明らかにする相続関係説明図を作成することができます。

行政書士に依頼できる範囲②相続財産目録

相続財産目録は、被相続人の預貯金、不動産、有価証券等の財産を明らかにした書類です。

遺言書がない場合、相続人全員で遺産分割協議をします。

この遺産分割協議をするために、行政書士は、被相続人の財産を明らかにする相続財産目録を作成することができます。

行政書士に依頼できる範囲③遺産分割協議書

遺産分割協議書は、遺産分割協議による合意内容を書面化したものです。

相続人全員が署名・実印にて押印します。

遺産分割協議書は、被相続人の預貯金の解約、相続登記に使用します。

行政書士に依頼できる範囲④遺言書作成支援

遺言書がある場合、遺言書に記載された内容を実現させることができます。

これは、法定相続分に限られず、遺言者の意思通りに遺言者の財産を分けることができます。

遺言書としては、主として、自筆証書遺言、公正証書遺言が作成されています。

自筆証書遺言では、遺言者が全文、日付、氏名を自書し、印鑑を押印する方式の遺言です。

この方式を誤ると、遺言の効力が認められません。

そのため、行政書士は、自筆証書遺言書を作成するにあたり、方式に誤りがないかを確認します。

公正証書遺言は、公証人が作成する公正証書によって行う遺言です。

公正証書遺言を作成する際には、公証役場とのやり取り、遺言書内容の検討、必要書類の収集が必要になります。

そのため、行政書士は、これらのサポートをすることができます。

行政書士に依頼できる範囲⑤遺言執行

遺言者は、遺言で、一人又は数人の遺言執行者を指定することができます(民法1006条1項)。

相続分の指定や「相続させる」遺言のように、執行手続を経ずに当然に相続人に財産が帰属する遺言もあります。

しかし、遺贈の場合、引渡しや財産の名義変更あるいは占有の回復など執行に必要な行為があります。

遺言執行者は、このような時に、遺言者に代わって、遺言内容を実現するために必要な事務処理を行う者です。

行政書士は、この遺言執行者になることができます。

行政書士に依頼できる範囲⑥遺言書確認

被相続人が死亡した後、遺言書の有無を調査しなければなりません。

公正証書遺言は、公正証書に保管されています。

また、自筆証書遺言は、法務局に保管されている可能性があります。

行政書士は、公証役場や法務局で遺言書の有無を確認することができます。

行政書士に依頼できる範囲⑦預貯金、有価証券、自動車の相続手続き

被相続人が死亡した後、預貯金口座は、相続人の申し出等により凍結されます。

そのため、相続人は、預貯金の解約・名義変更等をすることになります。

行政書士は、預貯金の相続手続をすることができます。

相続人が有価証券を売却する場合、名義変更しなければなりません。

また、売却する予定がなくても、名義変更をしなければ、配当金を受けとるのに支障が生じます。

行政書士は、有価証券の相続手続をすることができます。

自動車は、車検があります。

ですので、被相続人名義のままでは車検をすることができないため、名義変更が必要になります。

行政書士は、自動車の名義変更を行うことができます。

行政書士に依頼できる範囲⑧戸籍確認、収集

相続手続では、相続人の調査、預貯金の解約・名義変更等の相続財産に関する手続で戸籍(除籍、原戸籍)謄本が必要になります。

行政書士は、戸籍(除籍、原戸籍)謄本を収集することができます。

行政書士に依頼できる範囲⑨不在者財産管理人

遺産分割協議は、相続人全員で行う必要があります。

したがって、相続が発生したものの、共同相続人の1人が音信不通の場合、遺産分割を進めることができなくなります。

このような場合には、その音信不通の相続人について、不在者財産管理人を選任することによって、遺産分割協議を進めることができます。

不在者財産管理人の選任を申し立てる際、申立書に、管理人の候補者を記述することができます。

行政書士は、この場合に、不在者財産管理人の候補者となることができます。

行政書士に依頼できる範囲⑩許認可の変更手続き

被相続人が事業を営んでいた場合など、許認可を受けていた場合、この許認可の変更等が必要になります。

行政書士は、許認可の変更等の手続をすることができます。

相続手続きの中で、行政書士では難しい業務とは?!

相続手続の中で、行政書士では困難、できない業務があります。この業務について解説します。

相続税申告書支援、準確定申告は税理士へ

税理士は、税金を取り扱う専門家です。

相続税も税金の1つであり、相続税の申告は、税理士の専門分野です。

ですので、相続税の申告は、税理士に依頼することになります。

また、被相続人に収入がある場合、1月1日から死亡した日までに確定した所得金額及び税額を計算のうえ納税しなければなりません。

これを準確定申告といいますが、税理士は、この準確定申告も行います。

相続放棄申述書などの作成や法律相談は弁護士へ

被相続人に借金があるため、相続人が相続放棄をする場合、家庭裁判所に対する申述の方法で行います。

弁護士は、相続放棄の申述書等を作成するともに、裁判所からの問い合わせ等に対応することができます。

また、相続人間で争いになっている場合、弁護士に相談することになります。

法律相談を受けることができるのは、弁護士法上、弁護士のみです。

弁護士は、争いになっている事項につき助言をするとともに、依頼を受ければ、代理人として遺産分割協議に参加することもできます。

他の相続人との交渉は弁護士へ

遺産分割協議の中で、相続人間で争いとなることがあります。

また、相続人の中には、直接他の相続人と話をしたくない方もいます。

このような場合、弁護士は、依頼を受け、依頼者に代わって他の相続人と交渉することができます。

弁護士は、依頼者に代わって遺産分割協議を行い、依頼者の希望に沿うような内容で合意できるように話し合いをします。

相続人以外の第三者を交えた遺産分割協議は弁護士へ

遺言書がない場合、相続人全員で遺産分割協議をしなければなりません。

相続人以外の第三者として参加できるのは、弁護士のみです。

ですので、他の相続人が弁護士を依頼した場合、弁護士への依頼を検討しましょう。

弁護士であれば、他の相続人が提示した遺産分割案が適切か否かを判断することができ、友理奈内容で遺産分割をすることができます。

遺言書の検認も弁護士へ

公正証書遺言では、確認のための特別な手続きはありません。

しかしながら、自筆証書遺言の場合、検認手続が必要となります。

検認手続は、遺言書の保管者又は発見者が、家庭裁判所に対し申立てを行います(民法1004条1項)。

そして、裁判所は、相続人に検認期日を通知し、この期日にて、相続人立ち合いの下、遺言書を開封し、内容を確認します。

弁護士は、この申立書の作成、検認期日の出廷など、相続人に代わって行うことができます。

相続登記は司法書士へ

被相続人の遺産の中に不動産がある場合、相続登記をしなければなりません。

司法書士は、相続人に代わって相続手続を代行することができます。

相続手続きにおいて、他の専門家が得意とする業務とは?!行政書士との違いとは?!

行政書士は、他の専門家とどのような点が異なるのか、解説します。

行政書士と司法書士の違い

行政書士と司法書士は、相続人の調査、遺産分割協議書の作成などをすることができます。

行政書士は、司法書士にはできる次の業務を行うことができません。

・不動産の相続登記

・裁判所に提出する書面の作成

行政書士と弁護士の違い

行政書士と弁護士は、相続人の調査、遺産分割協議書の作成などをすることができます。

行政書士は、弁護士にはできる次の業務をすることができません。

・裁判所に提出する書面の作成

・相続人の代理人となること

行政書士と税理士の違い

税理士は、税金の専門家です。

準確定申告、相続税の申告・納税を行うことができます。

行政書士は、税金に関する手続は一切行うことができません。

行政書士と銀行との違い

銀行は、相続代行サービスとして、相続人の調査、被相続人の財産の調査、預貯金の名義変更・解約を行います。

これらは、行政書士も行うことができます。

ですので、行う業務に違いはありません。

行政書士と銀行の違いは、費用になります。

銀行は、一般的に社会的信用があります。ですので、依頼した際に、安心感があります。もっとも、費用が高いのが通常です。

行政書士は、銀行と比べると信用性があるとは言えませんが、費用は安く抑えることができます。

なお、行政書士は、基本的には、法律の専門家として業務にあたりますので、何ら業務に問題ありません。

ですので、銀行と行政書士であれば、行政書士に依頼をするのがお勧めです。

弁護士と司法書士の違いは代理権がないこと

弁護士と司法書士は、いずれも裁判所に提出する書面を作成することができます。

弁護士と司法書士の違いは、代理権の有無です。

弁護士は、相続人代わって、遺産分割協議交渉、調停、審判等を行うことができます。

しかしながら、司法書士には、代理権がないため、相続人に代わって手続をすることができません。

そもそも相続で悩んだら最初に誰に相談すればよいの?

相続人が相続手続に困った場合、誰に相談するのが良いのか解説します。

どんな専門家でも良いので、交通整理ができる専門家が良い?!

紛争性のある事案では弁護士、相続登記が必要な事案では司法書士、相続税の申告・納税が必要な事案は税理士というように、専門としている分野があります。

ですので、依頼した弁護士が、司法書士や税理士と連携が取れていない場合、相続人は自ら専門家を探さなければなりません。

これは、依頼した方からすると負担があるうえ、それぞれの専門家がうまく連携できるかも定かではありません。

ですので、交通整理ができる、連携がとれている専門家に依頼するのが望ましいでしょう。

資格だけで見ると危険?!相続に強いかどうかが重要

弁護士は、相続だけではなく、企業法務、交通事故、刑事事件等、多種多様な分野があります。

ですので、弁護士だからといて依頼をしても、その弁護士が相続手続に精通していなければ、円滑な解決ができるかは定かではありません。

ですので、弁護士、司法書士、税理士という資格ではなく、相続を取り扱っているか、専門にしているのかを確認するのがよいでしょう。

行政書士に最初に依頼するメリットは他の士業より安いこと??

行政書士は、相続登記、相続税の申告・納税、代理人として交渉できない等、他の資格と比較すると制限があります。

しかし、相続登記、相続税の申告・納税、紛争性がないという事案であり、書類の収集等を依頼したい場合であれば、行政書士に依頼するのがよいでしょう。

行政書士は、他の専門家と比較して安価なことが多いです。

もっとも、費用は、事務所ごとに異なりますので、見積もりを取ること、信頼できると思った先生に依頼をしましょう。

そもそも行政書士のメインの仕事って何?!

行政書士が取り扱うものは、次のとおりです。

・建設業、飲食業等の役所にて行う各種許認可手続

・自動車の登録、名義変更等の手続

・在留資格認定証明書交付申請等の外国人に関する手続

行政書士に依頼した場合の費用(報酬)の相場や選び方とは?!

料金体系は明確に定まっている?!

行政書士に依頼した場合の費用は、明確に決まっていません。

行政書士によっても異なりますし、何をお願いするのかによっても異なります。

一度行政書士に相談し、見積もりをもらうところから始めると良いでしょう。

良い行政書士の選び方とは?!

相続に関する業務をお願いする場合には、相続に詳しい、相続手続の経験が豊富な行政書士を選ぶと良いでしょう。

また、行政書士と何度もやり取りをすることになりますので、フィーリングが合う行政書士を探すと良いと思います。

そもそも相続とは?!

相続は、親族が亡くなったときに開始します。

被相続人が残した財産を、配偶者や一定の血縁関係のある者が承継します。

この承継の際、各種財産、借金をどのように分けるかを話し合うのが、遺産分割協議になります。

相続で発生する手続きの一連の流れとは?!

相続が発生した場合、次のとおり手続を進めることになります。

1 遺言書の確認

遺言書がある場合、遺言書に記載された内容を実現させることができます。

これは、法定相続分に限られず、遺言者の意思通りに遺言者の財産を分けることができます。

ですので、まずは遺言書の有無を調査することになります。

2 相続関係図の作成

被相続人が亡くなった後,誰が相続人かを調査する必要があります。

そのため、被相続人に配偶者がいるか、子がいるか、両親がいるか、兄弟がいるかを調査するとともに、相続関係図で明らかにするのが良いでしょう。

3 相続人の決定

相続関係図を作成したら、誰が相続人になるのかを確認します。

民法は、遺言書がない場合、誰が相続人になるかを定めています(民法887条~890条)。

ですので、民法に従って、相続人を決定します。

4 財産評価額算定のための書類を入手

相続人が決定した後、被相続人の財産を確認する必要があります。

預貯金であれば、残高証明書を取得します。

不動産であれば、固定資産評価証明書等を取得して、財産の評価額を算定します。

5 遺産分割協議

相続人が決定し、被相続人の財産も確定したら、遺産分割協議になります。

相続人間で、被相続人の財産をどのように分けるのかを決めることになります。

6 家庭裁判所による調停、審判

相続人間の話合いで、被相続人の財産の分け方が決まらない場合、調停・審判を行うことになります。

調停は、家庭裁判所に申立てを行います。

調停では、家庭裁判所が選任した調停委員という第三者を交えて話合いを行います。

この遺産分割調停でも決着がつかない場合、遺産分割審判に進みます。

審判では、裁判官が相続人の主張を聞き、遺産の分割方法を決定します。

相続人は誰なのか?

相続人とは、亡くなった人(=被相続人)から、その遺産を引き継ぐ(=相続する)人のことをいいます。

民法は、相続人になれる者として、①被相続人の配偶者のほか、②被相続人の血族のうち一定の範囲内にある者を法定相続人と定めています。

血縁関係のある相続人については、順位があり、先順位にランクされる血族相続人が存在しないときにはじめて、後順位の血族相続人が法定相続人とされています。

第1順位の相続人は、子です。

第2順位の相続人は、直系尊属です。親等の異なる直系尊属間では、親等の近い者が相続資格を取得し、それ以外の直系尊属は相続資格を取得しません。

第3順位の相続人は、兄弟姉妹です。

相続人の相続分はいくらになるのか?

相続において、配偶者、子、直系尊属、兄弟姉妹の相続分がどのような割合になるのか、具体的な事例をもとに解説します。

子供や孫などの直系卑属が法定相続人となるケース

【事例1】

あなたには、配偶者がいます。

あなたには、配偶者との間に子が2人います。

【解説】

配偶者の法定相続分は2分の1です

子の法定相続分は、4分の1ずつです。

 

【事例2】

あなたには、子が2名います。

あなたには、配偶者がいません。

【解説】

子の法定相続分は、2分の1ずつです。

子が数人いた場合には、均等に法定相続分が分けられます。

 

【事例3】

あなたには、配偶者がいます。

あなたには、配偶者との間に子がいません。

あなたの母は、すでに亡くなっていますが、父は、今も元気です。

【解説】

配偶者の相続分は、3分の2です。

父の相続分は、3分の1ずつです。

 

【事例4】

あなたには、配偶者も子もいません。

あなたの父母は、現在も元気です。

【解説】

父母の相続分は、2分の1ずつです。

 

【事例5】

あなたには、配偶者がいます。

あなたには、配偶者との間に子がいません。両親もすでに亡くなっています。

あなたには、兄が1名います。

【解説】

配偶者の法定相続分は、4分の3です。

兄の法定相続分は、4分の1です。

 

【事例6】

あなたには、配偶者、子、両親がいません。

あなたの兄は、あなたと両親が同じです。

あなたの姉は、あなたと父のみ同じです(あなたと姉の母親は、別の人である。)

【解説】

あなたの兄は、3分の2です。

あなたの姉は、3分の1です。

あなたと兄は、両親が同じですので、全血兄弟姉妹になります。

しかし、あなたと姉は、父親は同じですが、母親が異なるため半血兄弟姉妹にあたります。

ですので、半血兄弟姉妹である姉の相続分は、全血兄弟姉妹の兄の法定相続分の2分の1です(900条4号ただし書き)

まとめ

いかがでしたでしょうか。相続の内容によっては行政書士に依頼することで、比較的安価に相続の手続きのサポートを受けることができるかもしれません。

一度検討してみてはいかがでしょうか。

  • この記事を書いた人
篠 昌義(公認会計士/税理士)

篠 昌義(公認会計士/税理士)

株式会社相談室代表取締役。有限責任監査法人トーマツで大企業から中小企業までの監査やコンサルティング、税理士法人で大企業の法人税から個人の所得税まで幅広く実務を担当したのち、自身も経営者としてシェアリングテクノロジー株式会社(東マ:3989)の取締役CFOから代表取締役まで幅広く経験。東証マザーズ上場の責任者を務めるだけでなく、上場後の事業推進、資金調達、M&A、組織改革などを幅広く企業拡大を牽引。 詳しい経歴・プロフィールは当メディアの運営者情報をご覧ください。

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