相続

遺言書作成の費用っていくらかかるの?相続に重要な遺言に関する料金をわかりやすく解説!

遺言書を作成する場合、遺言書によってかかる費用が異なります。

また、遺言者が依頼する専門家によっても、報酬が異なります。

そこで、今回、遺言書を作成するのにかかる費用、専門家に依頼した場合の報酬について、詳しく説明します。

目次

遺言書の費用は主に手数料と専門家報酬

遺言書を作成する際にかかる手数料や専門家に依頼する場合の報酬について解説します。

遺言書の種類は、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3種類

遺言書には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言があります。

自筆証書遺言は、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押したものになります(民法968条1項)。

公正証書遺言は、遺言者が、公証人に遺言内容を口授して、公証人がこれを筆記して公正証書にしたものになります(民法969条)。

秘密証書遺言は、遺言者が、遺言書を作成して、これを封印し、この封印した遺言書を公証人1人及び証人2人以上に提出して、自己の遺言書であること並びにその筆者の氏名及び住所を申述するものになります(民法970条)。

自筆証書遺言は専門家報酬以外に費用はかからない

自筆証書遺言は、紙、ペン、印鑑さえあれば作成することができます。

そのため、自筆証書遺言は、公正証書遺言及び秘密証書遺言と異なり、費用がかかりません。

公正証書遺言は作成手数料、交付手数料、保管費用などが発生

公正証書遺言は、公証人が作成するものです。

ですので、作成手数料、交付手数料などが発生します。

なお、公正証書遺言については、保管費用は発生しません。

秘密証書遺言も11,000円の手数料が発生する

秘密証書遺言は、遺言者が作成した遺言書を封印し、この封印した遺言書を公証人1人及び証人2人以上に提出して、自己の遺言書であること並びに筆者の氏名及び住所を申述した後、公証人が、日付及び遺言者の申述を封紙に記載し、遺言者及び証人署名・押印します。

公証人が日付、遺言者の申述を封紙に記載しますので、手数料として1万1000円が発生します。

公正証書遺言にかかる費用の詳細とは?!

公正証書遺言を作成する場合、どの程度の費用がかかるか、どのような費用がかかるかを解説します。

ほとんどの場合、遺言は公正証書遺言で作成される

公正証書遺言は、専門家である公証人が、民法の要件・方式に基づいて作成します(民法969条1号~5号)。

専門家が民法の要件・方式に沿って作成すること,公証人が遺言者の意思を確認していることから、遺言が無効になるおそれが少ないため、広く利用されています。

公正証書遺言の申請に必要な書類の交付手数料はどれくらいかかる?

公正証書遺言の原本についてはその枚数が法務省令で定める枚数の計算方法により4枚(法務省令で定める横書の証書にあっては、3枚)を超えるときは、超える1枚ごとに250円の手数料が加算されます。

正本と謄本の交付には、1枚につき250円の割合の手数料が必要となります。

公正証書遺言の作成手数料は財産の価額で決定される?

 公正証書遺言の手数料は、次のとおり、手数料令という政令で定めています。

これを前提に、

目的の価額 手数料
100万円以下 5000円
100万円を超え200万円以下 7000円
200万円を超え500万円以下 1万1000円
500万円を超え1000万円以下 1万7000円
1000万円を超え3000万円以下 2万3000円
3000万円を超え5000万円以下 2万9000円
5000万円を超え1億円以下 4万3000円
1億円を超え3億円以下 4万3000円に超過額5000万円までごとに1万3000円を加算した額
3億円を超え10億円以下 9万5000円に超過額5000万円までごとに1万1000円を加算した額
10億円を超える場合 24万9000円に超過額5000万円までごとに8000円を加算した額

 これを前提に、全体の財産が1億円以下のときは、上記金額によって算出された手数料額に、1万1000円が加算します。

また、遺言は、相続人・受遺者ごとに別個の法律行為になります。そのため、相続人や受遺者ごとに、相続させ又は遺贈する財産の価額により目的価額を算出して、それぞれの手数料を算定し、その合計額がその証書の手数料の額となります。

なお、遺言者が公証人のところに来ることができない場合、公証人の出張費用、証人の日当が発生するか等により作成費用は異なります。

遺言書の原本、正本及び謄本の交付手数料はどれくらいかかる?

交付手数料は、遺言書の枚数×500円です(遺言書の枚数が縦書きで4枚又は横書きで3枚を超える場合は、超えた枚数×250円を加算)。

証人手数料もかかる?!相場はどのくらい?

公正証書遺言、秘密証書遺言を作成する際には、証人2人の立ち会いが必要になります。

この証人については、日当を支払うことがあります。

この日当は、5000円~1万円程度が多いようです。

遺言書の保管費用はどのくらいかかる?公正証書遺言の原本は公証役場で保管される

自筆証書遺言や秘密証書遺言は、遺言者が保管することが多いです。

遺言者が保管するのであれば、手数料は一切かかりません。

しかし、遺言者が保管していた場合、第三者が発見して書き換えられてしまう可能性があります。

ですので、弁護士によっては、遺言書を保管してもらうことができる場合があります。

保管の費用は、年間数千円~1万円程度が多いようです。

公正証書遺言は、公証役場に保管されます。この保管料は、かかりません。

公正証書遺言作成にかかる費用を具体例をもとに計算してみましょう

あなたの財産総額が1億円,配偶者に6000万円,長男に4000万円を相続させる遺言書を作成する場合は、次のとおりです。

配偶者が4万3000円、長男2万9000円となり、全体の財産が1億円以下ですので、さらに、1万1000円が加算します。

ですので、4万3000円+2万9000円+1万1000円=8万3000円となります。

遺言書の作成に専門家を利用した場合の報酬手数料は?!

遺言書の作成を専門家に依頼した場合、どの程度費用がかかるのか解説します。

 依頼できる専門家は主に弁護士、司法書士、行政書士

遺言書の作成を依頼できる専門家は、弁護士、司法書士、行政書士になります。

 弁護士に依頼する場合の報酬相場は?

弁護士に遺言書の作成を依頼する場合、10万円~20万円程度です。

もっとも、遺産の総額や遺言書の内容によっては、報酬金の額が異なることがあります。

ですので、依頼する前に見積書をとって、確認するのが良いでしょう。

司法書士に依頼する場合の報酬相場は?

司法書士に遺言書の作成を依頼する場合、3万円~10万円程度です。

もっとも、弁護士と同様、遺産の総額や遺言書の内容によっては、報酬金の額が異なることがあります。

ですので、依頼する前に見積書をとって、確認するのが良いでしょう。

行政書士に依頼する場合の報酬相場は?

行政書士に遺言書の作成を依頼する場合、3万円~10万円程度です。

もっとも、弁護士や司法書士と同様、遺産の総額や遺言書の内容によっては、報酬金の額が異なることがあります。

ですので、依頼する前に見積書をとって、確認するのが良いでしょう。

専門家選びのポイントは信頼できるかどうか

どの専門家に依頼するか考える必要があります。

相続人間で紛争が見込まれる場合や遺留分を踏まえて遺言書を作成する必要がある場合には、弁護士に依頼するのが良いでしょう。

相続人間で紛争がなく、財産の中に不動産が含まれている場合には、司法書士に依頼するのが良いでしょう。

司法書士は、遺言者の死亡後、不動産の相続登記についても対応してもらえることもあります。

相続人間で紛争がない場合、行政書士に依頼するのが良いでしょう。

行政書士は、弁護士及び司法書士よりも費用が掛からないことが多いです。

ですので、費用をかけたくない方は、行政書士に相談するのが良いでしょう。

なお、弁護士、司法書士、行政書士のどの専門家にするか決めたら、どの先生に依頼するか決める必要があります。

実際に相談をして、信頼できる先生に依頼しましょう。

信託銀行や銀行に依頼することもできるが一般的に相場は高めなので注意

信託銀行や銀行も、遺言書の作成を支援してもらえることがあります。

しかし、信託銀行や銀行は、専門家に依頼するよりも費用が高くなることが多いです。

ですので、どの専門家に依頼するか分からない、信託銀行や銀行に任せて安心したいという方でなければ、専門家に依頼するのがお勧めです。

遺言にまつわることを専門家に依頼した場合の費用相場とは?

遺言書の作成だけではなく、検認手続、遺言執行を依頼した場合、どの程度費用がかかるのか解説します。

遺言書の検認申立

弁護士に検認手続を依頼した場合の相場は、10万円程度です。

もっとも、遺産の総額や紛争性の有無等により異なります。

ですので、まずは弁護士に見積もりを依頼するのが良いでしょう。

遺言執行

遺言執行を弁護士に依頼した場合、各弁護士によって様々ですが、着手金と報酬金という形の費用体系としている弁護士が多いようです。

着手金は、30万円~50万円が多いようです。

報酬金は、遺言者の遺産の数パーセントと定めているところがあります。

もっとも、費用は、弁護士ごとに異なりますし、執行する内容によっても大きく異なります。

公正証書遺言を作成するときの流れとは?

公正証書遺言を作成する際、どのように進めることになるのか解説します。

公証役場に行く前の事前準備

公証役場に行く前に、事前に必要書類を準備するとともに、公証人と遺言書の打ち合わせをする必要があります。

必要書類は、戸籍(除籍、原戸籍)謄本、遺言者の財産に係る資料、遺言者の印鑑登録証明書を準備します。

また、証人2名も確保することになります。

必要書類の準備、公証人との打ち合わせが完了したら、公正証書遺言を作成する日を決めます。

公証役場内の手続き

公証役場では、公証人が、遺言者の本人確認をします。

遺言者は、公証人に対し、遺言内容を述べます。このとき、公証人が質問をして、遺言者が回答する方法で作成することもあります。

公証人は、遺言者の口述を筆記し、これを遺言者と証人に読み聞かせます。

遺言書の内容に問題がなければ、遺言者と証人がそれぞれ署名押印し、その後公証人が民法969条の方法に従い真正に作成された旨を付記し、署名押印します。

公正証書遺言を作成するにあたっての注意点とは?!

公正証書遺言を作成する場合、注意すべきことについて解説します。

公証人に来てもらうと1.5倍の費用がかかる

公正証書遺言は、公証役場で作成されます。

しかし、遺言者が高齢で公証役場まで外出するのが困難になることがあります。

このような場合、公証人に遺言者のいる病院、施設、自宅などに出張してもらい、公正証書遺言を作成してもらうことができます。

この場合、公証人が出張することになりますので、1.5倍の費用がかかります。

公正証書遺言の書換手数料はどれくらいかかるの?

公正証書遺言は、自筆証書遺言と異なり、書き換えができません。

公正証書遺言の内容を変更する場合、新たなに公正証書遺言を作成する必要があります。

ですので、公正証書遺言の作成費用がかかります。

遺言執行者を指定することを忘れずに

遺言執行者とは、遺言の内容を実現するために、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する者です。

遺言執行者は、相続人に代わって、遺言者の財産に係る解約等の手続を進めることができます。

その他にも、認知手続(民法781条2条)、後見人の指定(民法839条1項)、相続人の廃除に係る手続(893条)等も行います。

このように専門性の高いこともありますので、遺言の内容次第では、専門家を遺言執行者にするのも良いでしょう。

2名以上の証人を選定しなければならない

公正証書遺言を作成する際は、遺言者及び公証人だけではなく、証人2人以上が立ち会って作成することが求められています。

ですので、証人2名を確保しなければなりません。

一定の条件にあてはまらないと証人には選定できない

公正証書遺言を作成する場合、証人2人の立ち会いが必要になります。

証人は、次の者はなることができません(民法974条)。

・未成年者

・推定相続人及び受遺者並びにこれらの配偶者及び直系血族

・公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び使用人

ですので、これらの者にあたらない者を証人として用意する必要があります。

費用を気にしている人は自筆証書遺言で作成するのもあり?!

専門家に依頼する場合、公正証書遺言を作成する場合、費用が発生します。

費用を気にしている人は、自筆証書遺言を作成するのが良いでしょう。

自筆証書遺言について、解説します。

2020年7月10日の民法改正で自筆証書を法務局が預かることができるように

自筆証書遺言は、遺言者が保管していることがあります。

そうすると、以前から、遺言書の紛失、改ざん、相続人が気づかないことも遺産分割をしてしまう危険性が指摘されていました。

そこで、2020年7月より、法務局での自筆証書遺言の保管制度が創設されました。

また、この手続きを使用すれば、裁判所の検認手続が不要になります。

内容や体裁に不備があれば無効となるおそれがあるので注意

自筆証書遺言は、費用が安く、変更も容易であり、作成しやすいものです。

しかし、自筆証書遺言は、遺言者が作成するものですので、法定の方式に沿っていないものが見受けられます。

そうなれば、遺言書を作成しても無効になってしまい、遺言者の意思どおりに財産を分けることができなくなります。

ですので、法定の方式に沿って作成することが極めて大切です。

自筆証書遺言は、専門家に依頼して、作成するのが無難

自筆証書遺言では、法定の方式にしたがって作成しなければ無効になってしまいます。

ですので、自筆証書遺言を作成するにあたり、悩みや分からないことがあれば専門家に相談するのが良いでしょう。

自筆証書遺言で済ませてしまってよさそうなケースとは?!

相続人間で争いのないケースは、自筆証書遺言によることで問題ないと考えられます。

逆に公正証書遺言にしておいたほう無難なケースとは?!

相続人間で争いが見込まれる場合、相続人以外の第三者に財産を譲り渡したい場合、遺言書が無効になってしまえば、遺言者の意思通りに財産を渡すことができません。

このような場合、遺言書が無効になるリスクを避けるため、公正証書遺言による方法がお勧めです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

今回は、遺言書を作成するにあたっての費用や注意点などをまとめました。

遺言書は財産を相続する上で非常に重要なものです。遺言書を作成するにあたっては費用も重要ですが、しっかりとミスなく争いが起こらないような遺言書を作成することが非常に重要になってきます。

  • この記事を書いた人
篠 昌義(公認会計士/税理士)

篠 昌義(公認会計士/税理士)

株式会社相談室代表取締役。有限責任監査法人トーマツで大企業から中小企業までの監査やコンサルティング、税理士法人で大企業の法人税から個人の所得税まで幅広く実務を担当したのち、自身も経営者としてシェアリングテクノロジー株式会社(東マ:3989)の取締役CFOから代表取締役まで幅広く経験。東証マザーズ上場の責任者を務めるだけでなく、上場後の事業推進、資金調達、M&A、組織改革などを幅広く企業拡大を牽引。 詳しい経歴・プロフィールは当メディアの運営者情報をご覧ください。

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