相続

【弁護士監修】不動産(土地やマンションなど)の相続に必要な手続きや方法を徹底解説 不動産相続の手続きの大枠の流れとは?!

相続財産のなかに不動産がある場合には、どのように遺産分割協議をすれば良いのでしょうか。

不動産はお金と違って、簡単にわけることはできません。したがって不動産の相続は現金の相続とは勝手が違います。

また、土地だけの場合、空き家の場合、マンションの場合、遺産分割協議の際に気を付けることはあるのでしょうか。

今回は、不動産の相続に必要な手続きについて、詳しく解説していきます。

目次

遺産分割協議で遺産の分け方を決める?!

 遺言書がない場合、法定相続人の話し合いによって、被相続人の遺産をどのように分けるのか決めることになります。

これを、遺産分割協議といいます。

遺産に不動産があった場合でも、法定相続人が、遺産分割協議によって、不動産をどう分けるか、話し合うことになります。

不動産相続は書類を集めればそれで概ね完了?!

不動産相続は、書類を集めれば、それで終了するものではありません。

相続人の間で、不動産をどう分けるか、話し合わなければなりません。

不動産が1つしかない場合には、誰が不動産を取得するのか、不動産を取得しない者をどうするのか等、様々、合意しなければなりません。

最終的には、法務局に相続登記を行う

遺産分割協議が成立した場合には、その結果を登記することになります。

相続登記を行うのは、法務局です。

法務局に集めた資料や遺産分割協議書を持っていき、相続登記をすることになります。

10か月以内に相続税の申告・納付が必要?!

相続税が発生する場合、被相続人の死亡後10か月以内に申告・納付する必要があります。

相続税の申告・納付をしないままだと、無申告加算税、過少申告税、重加算税がかかる恐れがありますので、注意が必要です。

不動産相続で必要な書類とは?!

相続登記は、法務局に必要書類を提出する方法で行います。

この相続登記をするうえで、必要な資料について解説します。

相続人、被相続人の戸籍謄本

相続人と被相続人の戸籍謄本が必要になります。

これは、被相続人と相続人との関係を確認するのに必要となります。

また、被相続人については、死亡していることを確認するという意味もあります。

相続人全員の印鑑証明書

相続登記をするために、印鑑登録証明書が必要となります。

印鑑登録証明書は、原則として、ご本人でなければ取得できません。

ですので、法務局は、印鑑登録証明書も添付されていることにより、相続人の本人の意思であることを確認することになります。

被相続人の住民票の除票

被相続人が亡くなっていることを確認するものが住民票の除票です。

亡くなっていれば、住民票が除票となっています。

被相続人が亡くなった際の、住所地の役所にて発行されます。

遺産分割協議書、相続関係説明図の作成

相続人が複数いる場合、どの相続人がどの遺産を取得するのかを決めなければなりません。

これを、遺産分割協議といいます。

そして、遺産分割協議の結果が記されているのが、遺産分割協議書になります。

遺産分割協議をする前提で、相続人が誰であるかを明らかにする必要があります。

相続人が1人でも欠けていた場合には、遺産分割協議が無効となるためです。

そこで、遺産分割協議をする前に、配偶者、子、直系尊属等の関係を記載した相続関係図を作成します。

不動産の登記事項証明書

 不動産の登記事項証明書は、相続登記をする土地・建物を確認するために必要になります。

法務局で取得することができます。

不動産を相続する相続人の住民票

不動産を取得する者の住民票が必要になります。

不動産の固定資産評価証明書

相続登記をする際には、固定資産税評価証明書が必要になります。

相続登記をするにあたっては登録免許税を支払う必要がありますが、この登録免許税を算定するのに必要になります。

登記申請書の作成

法務局に相続登記を申請する際には、登記申請書を作成する必要があります。

書式は、法務局のホームページに載っています。

記載例もあり、この記載例を参考に作成することになります。

参考:法務局HP

http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/minji79.html

相続にまつわる費用や税金は何?いくら発生するの?!

相続の際には、どのような費用、税金がかかるのかを解説します。

もっとも大きいのは相続税?!その他にも登録免許税や司法書士への報酬もかかる?!

さて、不動産相続に際して、どのような費用がどれくらいかかるのでしょうか。

戸籍の取得代、相続税、相続登記の登録免許税等、相続の際には費用が掛かります。

戸籍は、1通あたり450円又は750円となります。

相続税は、たしかに高額になる場合もありますが、相続財産によっては、相続税が発生しないこともあります。

登録免許税は、相続する土地の地目・場所によって異なります。

また、司法書士、税理士、弁護士に依頼をすれば、その分費用がかかります。

相続税の課税価格や相続税額の計算方法とは?!

1 相続や遺贈によって取得した相続人の相続税の課税対象となる金額を算定します。

この金額のことを「課税価格」といいます。

これは、相続人ごとに計算します。その計算方法は、次のとおりです。

(1)「相続又は遺贈により取得した財産の価額」に 生命保険金、退職手当金、生命保険契約に関する権利等の「みなし相続等により取得した財産の価額」及び「相続時精算課税に係る贈与財産の価額」を加えます。

相続時精算課税を利用していない場合には、加算するものはありません。

(2)(1)から非課税財産の価額を控除します。

この非課税財産とは、お墓や仏壇、生命保険金や死亡退職金等、国民感情や公益性、社旗政策的な見地から課税することが望ましくないものとして、相続税法12条に規定したものです。

(3)(2)から被相続人の債務及び葬儀費用を控除します。

(4)(3)に相続開始前3年以内の贈与財産の価額を加えます。

(5)(4)にて算定された金額が、課税価格と言います。

2 1にて各相続人の課税価格が算定されたことから、全相続人の課税価格の合計を出します。課税価格の合計を算定したら、次のとおり、相族税の総額を計算します。

(1)全相続人の課税価額から、基礎控除額「〔3000万円+(600万円×法定相続人の数)〕」を控除します。

この金額から、各相続人が民法に定める法定相続分に従って取得したものとして、各法定相続人の取得金額を計算します。

例えば、配偶者、子2名、全相続人の課税価格の合計が1億円とする。法定相続分で相続した(配偶者:5000万円、子A:2500万円、子B:2500万円)

基礎控除は、 3000万円 + ( 600万円×3人 )= 4800万円 です。

したがって、 相続財産額1億円から基礎控除4800万円を控除した金額である5200万円が、課税遺産総額となります。

ア 配偶者 5200万円×1/2 = 2600万円

2600万円×15%(相続税額算出の速算表)= 390万円

390万円-0円(速算表による控除額なし)= 390万円

イ 子A  5200万円×1/4 = 1300万円

1300万円×15%(相続税額算出の速算表)= 195万円

ウ 子B  5200万円×1/4 = 1300万円

1300万円×15%(相続税額算出の速算表)= 195万円

 

(2)相続税の総額は、390万円+195万円+195万円 = 780万円

 

なお、相続税額算出の速算表はのちほど、説明します。

参考:相続税額算出の速算表(国税庁HP)

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4155.htm

 

3  各人の納付税額は、「相続税の総額×各人の課税価格 / 課税価格の合計額」で算定する。

上記の例では、納付税額は次のとおりである。配偶者、子について、控除を考えない。

(1)配偶者

780万円 × 5000万円/1億円 = 390万円

(2)子A(子B)

780万円 × 2500万円/1億円 = 195万円

相続財産の評価方法は相続財産の種類で異なる?!

相続財産が預貯金や有価証券の場合、額面どおりの金額になりますので、評価の問題にはなりません。

評価方法で問題となるのは、主に、土地、建物、非上場株式です。

遺産分割協議では、土地、建物、非上場株式の評価方法につき、相続人間で話し合いをすることになります。

具体的に家や土地の不動産価格評価額はどうやって調べたらいいの?!

家や土地については、固定資産税評価額、路線価、不動産会社の査定、不動産鑑定があります。

固定資産税評価額は、役所にて証明書を発行してもらえます。

路線価は、国税庁のホームページにて確認することができます。

参考:路線価(国税庁HP)

https://www.rosenka.nta.go.jp/

不動産会社の査定は、実際に地元の不動産業者に確認することになります。

土地家屋調査士の先生にお願いして、不動産を鑑定してもらうこともできます。

法定相続人の数によって基礎控除がかわる?!

基礎控除の算定は、「3000万円 + ( 600万円 × 法定相続人の数 )」です。

法定相続人の人数によって、1人であれば3600万円,2人であれば4200万円というように、人数が多ければ多いほど、基礎控除は高くなります。

配偶者控除や未成年者控除などの税額控除も理解しておくと良い

配偶者控除とは、被相続人の死後における生活保障、被相続人の財産蓄積への寄与、次の相続時期が比較的早いことを考慮し、配偶者の税の負担を軽減するものです。

この制度は、被相続人から相続又は遺贈により財産を取得した被相続人の配偶者に対して適用されます。

配偶者控除に対する相続税額の軽減は、次の式になります。

相続税の総額 × ①又は②のうちいずれか少ない方 / 相続税の課税価格

① 相続鋭の課税価格×配偶者の法定相続分

② 配偶者の課税価格相当額

未成年控除とは、被相続人の死亡後に未成年者が成年に達するまでの間の養育費の負担等を考慮し、設けられた制度です。

未成年控除は、10万円×(20歳-その者の年齢)(年齢の1年未満は切捨)です。

相続税の速算表とは?!

相続税の速算表とは、遺産額から基礎控除額を差し引いた残りの額を民法の定める相続分

により案分した額に税率を乗じます。

実際の計算にあたっては、案分した額に下記表を当てはめて計算しています。

法定相続分に応ずる取得金額 税率 控除額
1000万円以下 10% なし
3000万円以下 15% 50万円
5000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1700万円
3億円以下 45% 2700万円
6億円以下 50% 4200万円
6億円超 55% 7200万円

参考:相続税額算出の速算表(国税庁HP)

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4155.htm

登録免許税

相続により、土地又は建物を相続する場合、土地又は建物の名義変更をしなければなりません。

この名義変更の際に、登録免許税がかかります。

登録免許税は、

「土地と建物の固定資産税評価額×0.4%=登録免許税」

にて計算します。

戸籍謄本などの取得費用や郵送費用

戸籍、除籍、原戸籍は、本籍地の役所にて発行可能です。

戸籍は、450円です。除籍,原戸籍は、750円です。

役所により金額が異なる可能性がありますので、事前に役所にて確認しましょう。

また、どの役所も郵送にて取得することが可能です。

司法書士等への報酬(依頼した場合)

相続登記は、相続人で行うことができます。

しかし、戸籍謄本、登記事項証明書、固定資産評価証明書名等の資料を収集しなければなりません。

また、申請書も相続人が作成しなければならず、負担が大きいものです。

ですので、登記の専門家である司法書士に依頼すると、すべて手続をしてもらえます。

司法書士に依頼した場合、司法書士への報酬が発生します。

不動産を分割相続することもできる?!分割相続の方法とは?!

不動産を相続する際、1人が単独で所有するのか、売却をするのか、いろいろな方法があります。この方法について解説します。

現物分割

現物分割とは、個々の財産の形状や性質を変更することなく分割するものです。

遺産分割は、その性質上できる限り現物を相続人に受け継がせるのが望ましいことから、遺産分割の原則的な方法といえます。 

代償分割

代償分割とは、特別の事由が認められるとき、一部の相続人に法定相続分を超える額の財産を取得させたうえで、他の相続人に対する債務を負担させる方法です。

特別の事由とは、現物分割が不可能な場合、特定の遺産に対する特定の相続人の占有、利用状態を特に保護する必要がある場合などをいいます。

換価分割

換価分割とは、遺産を売却等で換金した後に、価格を分配する方法です。

共有

共有とは、遺産の全部又は一部を具体的相続分による共有状態とする方法です。

いったん共有状態となった不動産について、その共有状態を解消するためには、共有物分割という手続が必要です。このときに共有物分割について合意できなかった場合には、共有物分割訴訟(民法258条)により共有状態を解消することになります。

不動産相続全般に関する注意点や特例とは?!

不動産の相続の際、登記をされていない不動産が発見されたり、不動産に抵当権が設定されていることがあります。また、不動産を相続するにあたっては、様々な制度があります。

これらについて解説します。

登記されていない不動産だったらどうする?!

登記されていない土地であっても、相続の対象になります。

また、被相続人の土地を売却して、その売却代金を相続人全員で分けることもあります。

相続手続のため、所有権保存登記をすべきということになります。

不動産が担保に入ってたらどうなる?!

被相続人の不動産に抵当権が設定されていることがあります。

相続は、被相続人が財産に属した一切の権利義務を承継します。

ですので、不動産に抵当権が設定されていた場合、相続人は、抵当権が設定された不動産を相続することになります。

小規模宅地等の特例という制度を理解しておくと良い?!

 被相続人が居住用又は事業用に使用されていた宅地は、同居する家族や事業を継ぐ親族が生活の維持のために必要不可欠な場合があります。

これらの宅地については一定の要件の下、土地の評価額が限度面積の範囲まで最大80%減額されるという特例があります。

住宅付き土地などで特例が適用される条件と減額面積・割合は具体的にどうなる?!

 特定居住用宅地等とは、被相続人または被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族の居住の用に供されていた宅地等のことをいいます。

この特定居住用宅地等に該当する場合、次の要件を満たせば、被相続人の親族が取得した部分については、限度面積330㎡まで80%減額されます。

区分 要件
取得者 取得者ごとの要件
被相続人の居住の用に供されていた宅地等 ①配偶者 要件なし
②被相続人の居住の用に供されていた一棟の建物に居住していた親族 申告期限まで引き続きその宅地等を所有し、かつ、その家屋に居住すること
上記家族①及び②以外の親族 ・海外に居住する者のうち日本国籍を有しない者ではないこと。

・被相続人に配偶者がいないこと。

・相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋に居住していた被相続人の相続人がいないこと。

・相続開始前3年以内に日本国内にある取得者、取得者の配偶者、取得者の三親等内の親族又は取得者と特別の関係がある一定の法人が所有する家屋に居住したことがないこと。

・相続開始時に、取得者が居住している家屋を相続開始前のいずれの時においても所有していたことがないこと

・その宅地等を相続開始時から相続税の申告期限まで有していること

被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族の居住の用に供されていた宅地等 ①配偶者 要件なし
②被相続人と生計を一にしていた親族 ・相続開始前から相続税の申告期限まで引き続きその家屋に居住し、かつ、その宅地等を相続税の申告期限まで有していること。

 おしどり贈与を使って相続財産を減らす方法がある?!

おしどり贈与税は、婚姻期間が20年以上の配偶者に対して、2000万円までの居住用不動産または居住用不動産を取得するための金銭を贈与する際に、贈与税がかからない制度です。

配偶者居住権を活用すれば、配偶者が同じ持ち家に住み続けられる?!

 配偶者は、被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に居住していた場合において、次のいずれかに該当する場合、その建物の全部について無償で使用及び収益する権利を取得します(民法1028条1項)。

  • 遺産分割によって配偶者居住権を取得するものとされたとき(1号)
  • 配偶者居住権が遺贈されたとき(2号)

 取得費加算の特例をうまく利用して相続財産を売却することも可能?!

相続又は遺贈により取得した土地、建物、株式などの財産を、一定期間内に譲渡した場合に、相続税額のうち一定金額を譲渡資産の取得費に加算することができます。

譲渡所得税は、

取得金額 - ( 取得費 + 譲渡費用 )- 特別控除額

にて計算しますが、

取得金額 - ( 取得費 + 譲渡費用 + 取得加算税 )- 特別控除額

となります。

加算取得税の算定は、

その者の納税額 × 譲渡した財産の価額 / (その者の相続税の課税価格+その者の債務控除額)

にて計算します。

空き家特例をうまくつけばかなり得する可能性がある?!

相続後に空き家となった被相続人の居住用家屋又はその敷地を、相続等により取得した相続人等が売却した場合、一定の要件に該当する場合、譲渡所得の金額から3000万円の特別控除額を控除することができます。

土地のみを相続する場合の注意点とは?!

 土地のみを相続する際に注意すべきことがありますので、これについて解説します。

 相続手続き後に変更はまず難しい?!

相続人間の話合いによって遺産分割協議が成立し、すでに相続登記が完了すれば、もはや変更することは困難です。

また、遺産分割協議が成立していない場合でも、相続人で相続登記がなされ売却されていますと、これを取り戻すのは決して容易ではありません。

固定資産税に注意?!

土地を相続にて取得した場合、相続した翌年から固定資産税がかかります。

固定資産税も毎年かかるもので、負担がかかるものですので、あらかじめ金額を確認しておく必要があります。

相続した土地を売却するとしても、譲渡益に税金がかかるので注意?!

 相続人の中には、相続した土地を売却する人もいます。

このとき、売却代金を取得することができますが、同時に、譲渡所得税もかかります。

譲渡所得税は、

取得金額 - ( 取得費 + 譲渡費用 )- 特別控除額

にて計算します。

戸建ての物件を相続する場合の注意点とは?!

戸建ての相続する際、その分割方法や空き家にした場合に注意が必要となります。これについて解説します。

現物分割が難しいため、遺言書を残すのが鉄則?!

戸建ては、相続人全員で利用できるものではないため、相続人のうち誰か1人が取得するのが通常です。

そのため、相続人のうち誰が戸建てを取得するのか、戸建てを取得しない相続人の取り分はどうするのかがまとまらず、話合いがまとまらないことがあります。

このような場合を解決するのが、遺言書になります。

遺言書を使用すれば、遺言者の意思通りに遺産分割をすることができます。

ですので、戸建てを誰に取得させるかを、被相続人(遺言者)が決めることができます。

空き家のままにしておくと大変なことになる?!

戸建てを相続した際、相続人が誰も済まないまま空き家にすることがあります。

この空き家を適切に管理していれば、何の問題もありません。

しかし、空き家が管路されていない場合、「住宅用地の特例」を受けられなくなる可能性があります。

これは、土地上に建物が建っていた場合、固定資産税が最大6分の1まで抑えられる制度です。

ですので、空き家のまま放置した結果、従来支払っていたよりも高い固定資産税を支払わなければならなくなる可能性があります。

マンションを相続する場合の注意点とは?!

 マンションを相続する際にも、分割方法、賃貸する場合などで注意すべき点を解説します。

 戸建てと同じく、現物分割が難しいため、遺言書を残すのが鉄則?!

マンションについても、戸建てと同様、相続人全員で利用できるものではないため、相続人のうち誰か1人が取得するのが通常です。

ですので、マンションを誰が取得するのか決まらず、話し合いがまとまらないことがあります。

そのため、戸建てと同様、遺言書を作成しておくのが望ましいといえます。

マンションは築年数が増すと賃貸ができなくなってしまう可能性がある?!

 相続人が誰も居住しない場合、マンションを賃貸することも考えられます。

賃貸することで、毎月一定の収入が入ること、管理費や固定資産税の支払いにも充てることができるため、悪くはない方法です。

しかし、マンションの築年数が増すにつれて、賃借人を確保することができなくなります。

賃借人は、築年数や賃料を見て決めますので、築年数が古いにもかかわらず賃料が高いマンションに住もうとは思いません。

賃貸することができなければ、管理費や固定資産税等を支払っていかなければなりません。

 マンションを相続しても相続税が発生しないケースってどんな時?!

基礎控除の範囲内であれば、相続税がかかりません。

マンションについては、ローンが残っている場合があります。

例えば、唯一の遺産であるマンションであり、その価値が4000万円であるとしても、2000万円の負債があれば、相続税はかかりません。

また、配偶者控除、小規模宅地等の特例を利用する方法もあります。

賃貸不動産を相続したら不動産所得が発生し、所得税が課税されるため注意

 マンションを賃貸した場合、毎月賃料が入ります。

この賃料は、不動産所得になりますので、所得税が発生します。

 相続財産って不動産以外にどんなものがあるの?!

これまで不動産の相続について解説しましたが、不動産以外にも相続財産は存在します。

ですので、不動産以外の相続財産について解説します。

預貯金、現金

遺産として代表的なものは、預貯金、現金です。

現代では、多くの者が金融機関に口座を作っています。

ですので、被相続人の預貯金は、相続財産になります。

また、相続人の中には、金庫の中に現金を保管している者もいます。

この現金も被相続人の財産ですので、相続財産になります。

株式などの有価証券

 株式は、その本質が社員権であり、社員権は議決権等の共益権と自益権を含む社員の会社に対する法的地位というべきものです。

ですので、株式は、相続財産であり、遺産分割なされるまでは相続人の準共有になります。

生命保険

生命保険金は、被相続人が被相続人自身を受取人と定めた場合、相続財産となります。

これに対し、被相続人が第三者を受取人と定めた場合、当該第三者は固有の権利として保険金請求権を取得することになります。

ですので、相続財産にはなりません。

美術品やゴルフ会員権などその他の資産性のあるもの

 美術品・ゴルフ会員権についても、相続財産になります。

 借金、貸付金

借金や貸付金も相続財産になります。

もっとも、金銭債権・債務については、遺産分割を待つまでもなく、法律上当然に相続分に従い分割され、各共同相続人に帰属するとされています。

相続に関するその他の関連する制度とは?!

相続放棄、限定承認、準確定申告、遺言、遺留分について解説します。

相続放棄で借金を相続しない方法がある?!

 被相続人の財産を取得したくない相続人のために、相続放棄をという制度があります。

相続放棄とは、相続人が相続開始による包括承継の効果を全面的に拒否する意思表示であり、家庭裁判所に対して申し立てることによって行うものをいいます。

相続放棄とすれば、当該相続人はその相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなされますので、借金を支払う必要もありません。

限定承認という方法も利用できる場合がある?

被相続人に借金がなければ単純相続、借金があれば相続放棄を選択すべきです。

しかしながら、相続人に借金があるか否か分からない場合、単純相続または相続放棄のどちらを選択するか判断することができません。

このような場合、限定承認という方法を選択することができます。

限定承認とは、相続した財産の範囲内で被相続人の借金を支払い。余りがあれば相続できるという制度です。

故人の準確定申告制度をうまく利用できるケースとは?

準確定申告制度とは、1年の途中で亡くなった人について、その相続人が確定申告を行い、納税をする制度です。

被相続人が個人事業主であった場合

被相続人に2000万円を超える給与収入があった場合

副業として20万円を超える所得があった場合

株式の売却収入があった場合

不動産売却収入があった場合

不動産の賃貸収入があった場合

などには、準確定申告が必要です。

被相続人に多額の医療費がかかっていた場合には、準確定申告により、医療費控除を適用して還付を受けることができます。

遺留分がある場合は、遺言通りに相続できない?!

遺言書により、相続財産を被相続人の意思どおりに分割することができます。

しかしながら、一定の範囲の相続人に対して、一定割合の財産の相続権を保障しています。

これを遺留分といいます。

遺留分は、被相続人の意思によっても、奪うことはできません。

ですので、遺留分がある場合、被相続人の遺言通りにはできないということになります。

公正証書遺言と自筆証書遺言の違いとは?!

公正証書遺言は、公証人法に基づいて法務大臣が任命する公務員である公証人が作成するものになります(民法969条)。

公正証書遺言は、専門家である公証人が、民法の要件・方式に基づいて作成します(民法969条1号~5号)。

自筆証書遺言は、遺言書の全文、日付及び氏名を自分で書き、押印して作成する方式のものです(民法968条1項)

公正証書遺言書は、公証人が作成するのに対し、自筆証書遺言は遺言者自身が作成するものになります。

不動産相続の手続きは自分ですることもできる?!

不動産の相続手続は、資料を集めること、申請書を作成することで足りますので、相続人本人で行うこともできます。

不動産相続手続きを自身でやることのメリットデメリットとは?!

相続人本人で行えば、司法書士、弁護士等の専門家の費用がかかりません。

しかし、相続登記の資料を集めること、申請書の作成は大変な作業です。

ですので、相続人本人で行う場合、時間と手間がかかります。

相続の手続きなどを個人で行うのが難しい場合は専門家に相談

 相続人本人で資料を集めることができない、申請書の作成方法が分からないということで相談を受けることがあります。

相続登記は必ずしなければならないものではありません。

しかし、いずれはしなければなりません。

ですので、専門家に依頼をし、相続登記をするのが良いでしょう。

 書類の収集や文書の作成は司法書士に頼むのがよい?!

司法書士は、登記の専門家です。

司法書士は、登記の方法に熟知していますので、困ったときには資料の収集、申請書の作成を任せるのが良いでしょう。

遺産分割協議に関することなど、相続に関する争いごとの相談は弁護士に相談

相続人間で話合いがまとまらない場合、弁護士に相談しましょう。

弁護士は、現在の状況をお聞きし、適切なアドバイスをしてくれます。

また、遺産につき話合いが困難である、話し合いをしたくない等の事情があれば、弁護士に依頼をすれば、弁護士が代わりに手続を行うこと、遺産分割協議に代わりに参加することができます。

相続税に関するお悩みは税理士に相談

 相続税につき分からないことがあれば、税理士に相談をしましょう、

相続税の計算は、非常に複雑です。

ですので、相続税に依頼をし、相続税の申告を任せるのが良いでしょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。マンションなどの不動産の相続手続きは意外に難航します。不明な点などがあれば弁護士などの専門家に相談するようにしましょう。

監修者情報

愛知孝介先生

日本弁護士連合会所属 弁護士登録番号54061号

弁護士登録後、大手法律事務所に入所。

相続案件を中心に、年間100件以上の法律相談を受け、解決策を提案する。相続案件にあたっては、税理士、司法書士、宅建士等の他士業と連携のうえ、数多くの案件を解決に導く。

事業承継プランの策定、遺言作成を始めとする相続発生前の紛争回避策の構築を得意とする。

遺産分割協議及び遺留分侵害額請求にあたっては、クライアントの要望の実現に向け、粘り強い交渉を行い、調停・裁判を遂行する。

  • この記事を書いた人
篠 昌義(公認会計士/税理士)

篠 昌義(公認会計士/税理士)

株式会社相談室代表取締役。有限責任監査法人トーマツで大企業から中小企業までの監査やコンサルティング、税理士法人で大企業の法人税から個人の所得税まで幅広く実務を担当したのち、自身も経営者としてシェアリングテクノロジー株式会社(東マ:3989)の取締役CFOから代表取締役まで幅広く経験。東証マザーズ上場の責任者を務めるだけでなく、上場後の事業推進、資金調達、M&A、組織改革などを幅広く企業拡大を牽引。 詳しい経歴・プロフィールは当メディアの運営者情報をご覧ください。

-相続

Copyright© 相続・ビジネスの相談室 , 2021 All Rights Reserved Powered by AFFINGER5.