相続

【弁護士監修】寄与分って何?!介護をしていれば遺産分割でたくさんもらえるケースがある?!

相続における寄与分という制度をご存知でしょうか。

実は、被相続人(亡くなった方)の介護などをしていた場合に、遺産分割で通常より多くの遺産を相続できる可能性があります。

今回は寄与分についてわかりやすく解説していきます。

この記事のまとめ

・被相続人の財産管理などに協力した人は相続分にプラスして寄与分が認められる場合がある

・ただし、寄与分が認めらえる要件は厳しく、争いになることもしばしばある

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目次

寄与分とは?!

早速ですが、寄与分とは何かについて、ここでは解説していきます。

被相続人の財産形成などに貢献した場合には法定相続分にプラスして寄与分が認められるケースがある

相続人の中には、被相続人の事業に無報酬で従事したり、不動産を購入する際に援助する等被相続人に金銭的援助をしたり、被相続人の療養看護に努めていた者がいたりすることがあります。

このような者が、被相続人の財産の増加又は維持に特別に寄与していた場合、寄与分として法定相続分とは別に、当該相続人が取得することができます。

寄与分が認められる3要件とは?

寄与分が認められる要件は、次のとおりです。

1 共同相続人による寄与行為であること

2 特別の寄与行為をしたこと

3 寄与行為により被相続人の財産の維持又は増加したこと

寄与分が認められるための「特別の寄与」の判定要件とは?親の面倒を見ていただけではだめ?!

寄与分が認められるためには、被相続人の財産の増加又は維持に「特別に寄与」したことが必要になります。

この「特別の寄与」とは、被相続人と相続人の身分関係に基づいて通常期待されるような程度を超えるものであることが必要になります。

ですので、単に被相続人の療養看護をしていただけでは、寄与分は認められません。

寄与分がある場合の相続分の計算方法とは?!

寄与分は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から、寄与分を控除したものを相続財産とみなし、民法第900条から第902条までの規定により算定した相続分に寄与分を加えた額をもってその者の相続分となります。

【事例】

被相続人が亡くなり、相続人は、妻、長男及び長女です。

被相続人の遺産は1500万円、妻の寄与分は300万円です。

【解説】

被相続人が相続開始の時において有していた財産1500万円から寄与分300万円を控除します。控除した後の金額は、1200万円です。

1200万円を法定相続分に従って分けますので、妻(法定相続分2分の1)が600万円、長男(法定相続分4分の1)300万円、長女(法定相続分4分の1)300万円になります。

妻については、寄与分を加えますので、600万円+300万円の計900万円になります。

したがって、被相続人の財産は、

・妻 900万円

・長男 300万円

・長女 300万円

になります。

実際に寄与分が認められることはまれなので注意

共同相続人の一部が被相続人の療養看護をしていた場合、当該相続人が寄与分を主張することがあります。

しかし、寄与分が認められるためには、「特別に寄与」している必要があります。

被相続人と相続人の身分関係に基づき、通常期待されるような程度の貢献については、相続分自体において評価されているとみることができること、通常程度の貢献を評価に入れれば「相続分」を極めて可変的なものにすることになり、権利関係を著しく害するおそれがあるからです。

寄与分の主張する手順とは?!

寄与分を主張するには、どのような手順で進めることになるのか解説します。

1.遺産分割協議で寄与分を主張

被相続人の財産を分けるにあたり、相続人間で遺産分割協議を行うことになります。

この協議内で、寄与分を主張します。

相続人間で、寄与分があること及び金額等に合意できれば、それを前提に遺産分割協議をすすめることになります。

2.寄与分を求める調停を裁判所に申し立てる

遺産分割協議内で、他の相続人が寄与分を認めない場合、又は寄与分の額が定まらない場合、家庭裁判所に対し調停を申し立てます。

調停に際して申立人の要件や申立先は?

申立人は、被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付,被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした相続人になります。

申立先は、次のいずれかになります。

・相手方のうち1人の住所地を管轄する家庭裁判所

・当事者が合意で定める家庭裁判所

・遺産分割調停が係属している場合は、その事件が係属している家庭裁判所

調停の申し立てにかかる費用や必要書類?

調停を申し立てるのに必要な費用は、次のとおりです。

・収入印紙1200円

・郵券

郵券については、各家庭裁判所により異なりますので、事前に電話で確認するのが良いでしょう。

調停を申し立てるのに必要資料は、次のとおりです。

・被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本

・相続人全員の戸籍謄本

・被相続人の子(及びその代襲者)で死亡している場合,その子(及びその代襲者)の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本

・相続人全員の住民票又は戸籍附票

・遺産に関する資料

・相続人が、被相続人の直系尊属の場合で亡くなっている者がいる場合、その者の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本

・相続人が、被相続人の配偶者のみの場合、又は被相続人の(配偶者と)兄弟姉妹及びその代襲者の場合には、

①被相続人の父母の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本、

②被相続人の直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本、

③被相続人の兄弟姉妹に死亡している方がいる場合,その兄弟姉妹の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本、

④代襲者としての甥、姪に死亡している者がいる場合,その甥又は姪の死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本

3.調停が不成立なら審判の申立てへ

調停が不成立となった場合、自動的に審判に移行します。

裁判所が、当事者の主張・立証を踏まえ、寄与分につき判断します。

寄与分にあたる事例(具体例)と調停で認められやすくする方法を確認しよう

どのようなケースで寄与分が認められるかを、ケースごとに解説します。

また、寄与分が認められるために各ケースでどのような証拠があると良いのかを解説します。

ケース①家事従事~家事に重視したという記録が重要~

被相続人の事業に無報酬又はこれに近い状態で従事している場合で、被相続人が行っていた農業に協力した場合などがあります。

寄与分が認められるためには、賃金台帳、タイムカード等の事業に従事していたことが分かる資料、取引先とやり取りしたメール等があると良いでしょう。

ケース②金銭などの出資~銀行口座の通帳などが重要に~

寄与相続人が、被相続人に対し、金銭や不動産等の財産を交付した場合です。

寄与分が認められるためには、契約書、預貯金通帳等の財産が移転したことが分かるものがあるとよいでしょう。

ケース③療養看護~介護の期間、時期、内容などがわかると記録があると良い~

寄与相続人が、被相続人の療養看護をしていた場合になります。

寄与分が認められるためには、診断書、被相続人の要介護度が分かる資料、介護ヘルパーの利用明細等、被相続人に介護を要することが分かるものがあると良いでしょう。

ケース④扶養

寄与相続人が、被相続人に対し、仕送りをするなど金銭を送っていた場合等になります。

寄与分が認められるためには、通帳等の被相続人に財産を移転していたことが分かるものがあるとよいでしょう。

ケース⑤財産管理

寄与相続人が、被相続人の財産を管理していた場合です。被相続人の賃借物件の管理をしていた場合などがあります。

寄与分が認められるためには、賃借人に送付した資料、管理会社等の取引先とのやり取りをしたメール等があるとよいでしょう。

寄与分が認められた過去の判例

■東京家庭裁判所(平成29年9月8日)

亡相続人は、被相続人に対し土地を贈与した事実が認められるから、亡相続人は、被相続人に対し特別の寄与をしたものと認められる。

そして、被相続人による開墾により土地の価値が特に維持又は増加された部分がある認めることができず、亡相続人の寄与分を考慮するおいて裁量割合により減額することが相当ではないから、亡相続人の寄与分を100パーセントと評価するのが相当である。

 

■東京家庭裁判所(平成22年9月13日)

右半身不随となった被相続人の通院の付き添い、入浴の介助などの日常的な介護に当たり、さらに被相続人が死亡する半年の間は、被相続人が毎晩失禁する状態になったことから、その処理をするなど被相続人の介護に多くの労力と時間を費やしたことが認められる。(中略)このような配偶者による被相続人の入院期間中の介護、その死亡前約半年間の介護は、本来家政婦などを雇って被相続人の看護や介護は、本来家政婦などを雇って被相続人の看護や介護に当たらせることを相当とする事情のもとで行われたものであり、それ以外の期間についても配偶者による入浴の世話や食事及び日常の細々した介護が13年余りにわたる長期間にわたって継続して行われたものであるから、配偶者による被相続人の介護は、同居の親族の扶養義務の範囲を超え、相続財産の維持に貢献した側面があると評価することが相当である。

調停で寄与分を認めてもらいやすくするには客観的証拠が重要に

寄与分が認められるためには、単に主張するだけでは足りません。

被相続人の財産の維持又は増加に特別な寄与をしたことを説明するための証拠を準備することが重要です。

この証拠をもとに具体的に主張することで寄与分が認められやすくなります。

寄与分の算定方法とは?!

寄与分が認められる場合でも、その価額はいくらになるのか、どのように算定するのかを解説します。

家事従事の場合の算定式

家事従事型の寄与分の算定は、寄与相続人が得られたであろう給与・報酬額から、生活費相当額を控除した後、家事従事していた期間を乗じることにより算定します。

これを数式にすると、

「寄与相続人が得られたであろう給付額 × (1-生活費控除割合)×寄与期間」

となります。

金銭などの出資の場合の算定式

被相続人に対し金銭などを出資した場合の寄与分については、出資した財産額を基準に裁量割合を乗じることにより算定します。

これを数式にすると

出資した財産額×裁量割合

となります。

なお,金銭を出資した場合、貨幣価値を考慮します。これは、出資した時期から大きく時間が経過していた場合、適正な金額を算定するためです。

療養看護の場合の算定式

寄与相続人が、療養看護をしたことによる寄与については、介護報酬基準に基づく報酬相当額に、看護日数を乗じた後、裁量割合を乗じることにより算定します。

これを数式にすると、

報酬相当額×日数×裁量割合

となります。

報酬相当額については、寄与相続人に対して行った療養看護の内容等を考慮することがあります。

扶養の場合の算定式

寄与相続人が、被相続人を扶養したことによる寄与分については、寄与相続人が扶養に要した金額に裁量割合を乗じることにより算定します。

これを数式にすると、

扶養のために負担した金額×裁量割合

となります。

財産管理の場合の算定式

寄与相続人が、被相続人の財産管理をしたことによる寄与分については、寄与相続人が財産管理に要した金額を裁量割合が乗じることにより算定します。

これを数式にすると、

財産管理に要した金額(報酬相当額)×裁量割合

となります。

寄与分についての注意点や知っておきたいこと

寄与分の算定方法を説明しましたが、その価額の寄与分を取得できるとは限りません。

寄与分には、注意点がありますので、これについて解説します。

相続財産以上の寄与分は認められない

寄与分とは、寄与相続人がいる場合、相続財産からその者の寄与分を控除したものを相続財産とみなして相続分を算定し、その算定された相続分に寄与分を加えたものを当該寄与相続人の相続分とするものです。

ですので、相続財産以上の寄与分があったとしても、実際に認められる金額は、相続財産の金額に限られます。

寄与分は遺贈や死因贈与を控除した後の財産にのみ認められる

寄与分は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から遺贈の価額を控除した残額を超えることができません(民法904条の2第3項)。

死因贈与の場合も、遺贈と同様です。

寄与分に時効はない?!

寄与分に時効はありません。

もっとも、寄与分は遺産分割協議にて解決すべき問題となりますので、協議内まで自身の寄与分を主張しましょう。

寄与分と特別受益の違いとは?!両方あったらどうなる?!

寄与分とは、共同相続人の中に被相続人の財産の維持・増加に特別の寄与をした者がいる場合、この特別の寄与を考慮して、相続分とは別にこの寄与相続人に特別に与えるものです(民法904条の2)。

特別受益とは、共同相続人の中に被相続人から遺贈を受けた者、又は婚姻、養子縁組や生計の資本として贈与を受けた者がいる場合、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産として相続分を確定するとともに、当該特別受益者につき、法定相続分から特別受益分を控除するものです。

寄与分は、相続分とは別に寄与分を加えるものに対し、特別受益は、相続分から特別受益分を控除するものである。

寄与分と特別受益があった場合の算定方法は、次のとおりです。

 

【事案】

被相続人が死亡し、相続人は、妻、長男及び長女です。

被相続人の遺産は1500万円、妻の寄与分は500万円、長男の特別受益は200万円です。

 

【解説】

被相続人が相続開始の時において有していた財産1500万円から寄与分500万円を控除し、特別受益200万円を加えます。寄与分を控除し、特別受益を加えた後の金額は、1200万円です。

1200万円を法定相続分に従って分けますので、妻(法定相続分2分の1)が600万円、長男(法定相続分4分の1)300万円、長女(法定相続分4分の1)300万円になります。

 

妻については、寄与分を加えますので、600万円+500万円の計1100万円になります。

長男については、特別受益を控除しますので、300万円-200万円となり、100万円となります。

したがって、被相続人の財産は、

・妻 1100万円

・長男 100万円

・長女 300万円

になります。

寄与分は遺贈より優先される?!

寄与分は、被相続人の相続開始の時において有した財産の価額から遺贈の価額を控除した残額を超えることができません(民法903条3項)。

ですので、遺贈が寄与分よりも優先されることになります。

遺贈をするという遺言者の意思を尊重するためです。

寄与分は遺言で定めることはできないので注意!

寄与分を遺言で定めることはできません。

遺言者が、特定の相続人に多く財産を譲り渡したいのであれば、遺贈や死因贈与による行うことになります。

寄与分と遺留分はどっちが優先されるの?

寄与分は、遺留分算定の基礎にされません。

また、遺留分侵害額請求は、寄与分を減殺対象にしていません。

ですので、遺留分を侵害する寄与分が認められることになります。

寄与分が認められるのは原則相続人だけ?!

寄与分は、相続人に認められるものになります。

もっとも、相続人以外の者の寄与・貢献については、特別寄与料の制度があります(民法1050条)。

法改正により相続人でない親族(長男の嫁など)にも「特別の寄与」が認められるように

被相続人に対して無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより被相続人の財産の維持又は増加につき貢献した被相続人の相続人以外の親族については、相続の開始後、特別寄与料を請求することができます(民法1050条1項)。

これは、民法改正により導入された制度になります。

他の相続人が認めた場合には法定の要件は関係ない

寄与分は、共同相続人の協議により定めることができます。

ですので、法定の要件に当たらない場合でも、全相続人が合意すれば、寄与分を認めることができます。

寄与分も相続税の計算上加味されるので注意

寄与分として取得する財産は、相続によって取得するものですので、相続税の課税対象になります。

寄与分で困ったら法律事務所や弁護士などへ相談

寄与分が認められるか否かは、非常に難しい判断になります。

また、実際に主張する際には、どのケースに当てはまるかを意識して、証拠を収集して、説得的に主張することが非常に大切です。

そして、この主張は、決して容易なものではありません。

寄与分が認められるか否か、どのように主張するべきか困ったら、すぐに弁護士に相談をしましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

寄与分という制度はあまり認められるケースは少ないものの、知っておくと得する可能性がありますので、しっかりと理解しておくとよいでしょう。

監修者情報

愛知孝介先生

日本弁護士連合会所属 弁護士登録番号54061号

弁護士登録後、大手法律事務所に入所。

相続案件を中心に、年間100件以上の法律相談を受け、解決策を提案する。相続案件にあたっては、税理士、司法書士、宅建士等の他士業と連携のうえ、数多くの案件を解決に導く。

事業承継プランの策定、遺言作成を始めとする相続発生前の紛争回避策の構築を得意とする。

遺産分割協議及び遺留分侵害額請求にあたっては、クライアントの要望の実現に向け、粘り強い交渉を行い、調停・裁判を遂行する。

  • この記事を書いた人
篠 昌義(公認会計士/税理士)

篠 昌義(公認会計士/税理士)

株式会社相談室代表取締役。有限責任監査法人トーマツで大企業から中小企業までの監査やコンサルティング、税理士法人で大企業の法人税から個人の所得税まで幅広く実務を担当したのち、自身も経営者としてシェアリングテクノロジー株式会社(東マ:3989)の取締役CFOから代表取締役まで幅広く経験。東証マザーズ上場の責任者を務めるだけでなく、上場後の事業推進、資金調達、M&A、組織改革などを幅広く企業拡大を牽引。 詳しい経歴・プロフィールは当メディアの運営者情報をご覧ください。

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