相続

【弁護士監修】遺言書を簡単に作成する方法とは?!見本、例文などを通してわかりやすく解説

遺言書の正しい書き方

目次

遺言書とは

 遺言書を作成すれば、遺言者の意思通りに財産を分け与えることができます。

もっとも、遺言書をどのように作成するのかは非常に重要です。

遺言書は、民法所定の方式を具備しなければ無効になってしまいます。

今回は、遺言書をどのように作成するのか、遺言書の種類等を、詳しく解説していきます。

遺言と遺言書って何が違うの?

遺言書は、遺言内容が記載されている書面になります。

他方、遺言は、遺言者が自身の死後に発生させる法律関係のことであり、遺言書に記載されているものになります。

遺言書は民法に従って作成されなければ効力はない

遺言書は、遺言者の死亡後に効力が生じます。

効力発生時期には、遺言者がいないため、遺言書は、遺言者の真の意思に基づくことを担保しなければなりません。

そのため、遺言書は、法定の方式にしたがって作成することを求めています

この法定の方式に従っていない場合、遺言書は無効になります。

遺言書は誰にも頼らず、自分で作ることも可能

自筆証書遺言は、遺言者だけで作成することができます。

ですので、家族らに知られることなく、作成することができます。

遺言書の種類には自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言、特別方式がある

遺言書には、普通方式と特別方式があります。

普通方式の遺言は、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言があります。

特別方式の遺言は、死亡危急者遺言、伝染病隔離者遺言、在船者遺言、船舶遭難者遺言があります。

▼遺言書の方式

普通方式 特別方式
自筆証書遺言 死亡危急者遺言
公正証書遺言 伝染病隔離者遺言
秘密証書遺言 在船者遺言
船舶遭難者遺言

自筆証書遺言を利用するメリットデメリットとは

自筆証書遺言のメリットの一つは、費用がかからず、遺言者自身で作成することができることです。

また、遺言者の内容を変更したいときは、いつでも修正することができます。

遺言書があることを家族に秘密にしておくこともできます。

自筆証書遺言のデメリットは、民法所定の方式を誤ると、遺言が無効になってしまう可能性があることです。

また、遺言者以外の者が遺言書を発見した際、その内容を改ざんするおそれがあります。

自筆証書遺言は、遺言者が保管していることが多いのですが、相続人らが遺言書の存在に気づかないこともあります。

ですので、遺言書を作成したにもかかわらず、遺言書が見つからずに、遺言書どおりに遺産分割できない可能性があります。

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公正証書遺言を利用するメリットデメリットとは

公正証書遺言のメリットは、公証人が作成するものであり、方式を誤って作成されることがなく、無効になる可能性が低いことです。

この他にも、原本が公正役場で保管されており、紛失のおそれがないこと、検認手続が不要であること、自筆証書遺言と異なり字が書けない人でも作成することができる点もメリットとしてあります。

公正証書遺言のデメリットは、公証人が作成するものですが、どのような遺言を作成するかを事前に打ち合わせをする必要があること、財産資料等の必要な書類を収集する必要があること、費用が掛かることです。

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秘密証書遺言を利用するメリットデメリットとは

秘密証書遺言のメリットは、遺言内容を誰にも明らかにする必要なく作成することができること、遺言者が自筆で作成することがないため、字が書けない人でも作成することができることです。

秘密証書遺言のデメリットは、自筆遺言と同様に遺言者自身が作成するものですので、方式に誤りがあれば無効になってしまいます。

また、秘密証書遺言は、公証役場での手続をする必要があるため費用がかかること、家庭裁判所にて検認を経なければなりません。

遺言内容を秘密にすることができますが、遺言書を作成したこと自体は公証役場に残ります。

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遺言書の書き方とは

では、どのように遺言書を記載すれば良いのか、どのように作成するのかを解説します。

自筆証書遺言の書き方とは

自筆証書遺言は、遺言者が、原則として、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押す方法で作成します(民法967条1項)。

自筆証書遺言の文例(サンプル)

自筆証書遺言は、次のとおり記載します。

参考

遺言書

遺言者●は、次のとおり遺言する。

1 遺言者は、次の不動産を妻●に相続させる。

(1)土地

所在 ●

地番 ●

地目 ●

地積 ●㎡

(2)建物

所在 ●

家屋番号 ●

種類 ●

構造 ●

床面積 ●

2 遺言者は、次の銀行預金を子●に相続させる。

(1)●銀行●支店 口座番号●

(2)●銀行●支店 口座番号●

3 遺言執行者を妻●と指定する。

令和●年●月●日

(住所)

(署名)(押印)

公正証書遺言の書き方とは

公正証書遺言は、公証人が作成するものになります。

ですので、遺言者は、公証人に対し、作成したい遺言の内容を伝えれば、あとは公証人が作成してくれます。

公正証書遺言の文例(サンプル)

公正証書遺言は、次のとおり記載します。

参考

令和●年第●号

本職は、遺言者 ● の嘱託により、後記証人の立会をもって、次のとおり遺言者の遺言の趣旨の口述を筆記してこの証書を作成する。

第1条 遺言者は、遺言者の有する下記不動産を●(●年●月●日生)に相続させる。

(1)土地

所在 ●

地番 ●

地目 ●

地積 ●㎡

(2)建物

所在 ●

家屋番号 ●

種類 ●

構造 ●

   床面積 ●

2 遺言者は、下記の銀行預金を●(●年●月●日生)に相続させる。

(1)●銀行●支店 口座番号●

(2)●銀行●支店 口座番号●

本旨外要件

住所 ●

職業 ●

遺言者   ●

(●年●月●日生)

上記は印鑑登録証明書の提出により人違いでないことを確認させた。

住所 ●

職業 ●

証人    ●

(●年●月●日生)

住所 ●

職業 ●

証人    ●

(●年●月●日生)

証人は、いずれも民法第974条所定の欠格事由に該当しないことを確認した。

上記遺言者及び証人に読み聞かせたところ各自この筆記の正確な事を承認し、遺言者及び証人は各自次に署名押印する。

遺言者   ● ㊞

証人    ● ㊞

証人    ● ㊞

この証書は、民法969条第1号ないし第4号所定の方式に従って作成し、同条第5号に基づき本職次に署名押印する。

令和●年●月●日 下記本職役場において

  • 法務局所属

公証人●   ㊞

秘密証書遺言の書き方とは

秘密証書遺言は、まず遺言者が遺言書を作成します。

その後、その遺言書を公証人のところに持参して、証人2人の前で、自己の遺言書であること並びにその筆者の氏名及び住所を申述します(民法970条1項3号)。

遺言者が申述すると、公証人が遺言者の提出した証書に提出日及び遺言者の申述を封紙に記載します。

そして、公証人は、遺言者及び証人とともに、封紙に署名・押印をします(民法970条1項4号)。

特別方式の遺言書の書き方とは

特別方式の遺言は、死亡危急者遺言、伝染病隔離者遺言、在船者遺言、船舶遭難者遺言の4つになります。

死亡危急者遺言は、証人3人以上が立ち会い、その1人に遺言者が遺言の趣旨を口授して行うものです。

この場合、口授を受けた者が、これを筆記して、遺言者及び証人に読み聞かせ、又は閲覧させ、証人がその筆記が正確なことを承認した後、これに署名・押印します(民法976条1項)。

伝染病隔離者遺言は、伝染病のため行政処分によって交通を断たれた場所に在る者が、警察官1人及び証人1人以上の立ち会いをもって作成するものになります(民法977条)。

遺言者は、立会人及び証人の立ち会いのもとで、遺言書を作成し、遺言者、立会人、証人が各自、その遺言書に署名押印します(民法980条)。

在船者遺言は、船長又は事務員1人及び証人2人以上の立ち会いをもって作成するものです(民法978条)。

この遺言書も、伝染病隔離者遺言と同様、遺言者は、立会人及び証人の立ち会いのもとで、遺言書を作成し、遺言者、立会人、証人が各自、その遺言書に署名押印します(民法980条)。

船舶遭難者遺言は、船舶が遭難した場合において、当該船舶中に在って死亡の危急に迫った者は、証人2人以上の立ち会いをもって、口頭で遺言をすることができます(民法981条1項)。

この遺言は、証人が遺言の趣旨を筆記して、これに署名し、印を押し、かつ、証人の1人又は利害関係人から遅滞なく家庭裁判所に請求して、その確認を得なければ効力が生じません(民法981条3項)。

遺言書作成に先立ってまずは下書きを作成する

遺言書は、書き間違えても変更することができます

しかし、修正する際には、当該場所を指示し、これを変更した旨付記して特にこれを署名し、その変更場所に印を押さなければ効力が生じません(民法968条3項)。

遺言書の加除や変更する箇所が不明確になれば、遺言者の真意が分からなくなってしまい、遺言書が無効になってしまうこともあります。

ですので、書き間違えることは、望ましくありません

遺言書を作成する際には、下書きをして書き間違えないようにすることが大切です。

特定のものに財産を全部与えたい場合はどう書けばよい?!

特定の者に対し、遺言者の財産を全ての財産を譲る場合、「遺言者は、遺言者に属する一切の財産を、●に相続させる」とすることで実現することができます。

子供で与える財産に差をつけたい場合はどう書けばよい?!

子どもで与える財産の差をつけたい場合、与える財産を特定する方法、相続分を指定する方法が考えられます

財産を指定する方法では、長男に不動産を相続させる、長女に預貯金を与えるということができます。

相続分を指定する方法では、相続分を長男に3分の2、長女に3分の1と指定することで、両者に差をつけることができます。

子供に事業を引き継がせる場合はどう書けばよい?

子どもに事業を引き継がせる場合、株式を当該子供に相続させることが多いと考えられます。

ですので、事業を引き継がせたい長男に対し株式をすべて相続させる、次男には預貯金を相続させるということが考えられます。

相続人がおらず、財産を世話人などの特別利害関係者に与えたい場合はどう書けばよい?

相続人がおらず、第三者に財産を与えたい場合、「遺言者の有する財産を●に遺贈する」と記載します。

この場合、財産を譲り受ける者が相続人ではないため、「遺贈」ということになります。

財産を寄付したい場合はどう書けばよい?

慈善団体等、寄付をしたい場合、「遺言者の有する財産を●に遺贈する」と記載します。

この場合も、財産を譲り渡す者が相続人ではないため、「遺贈」という記載になります。

相続人ではない娘や婿に財産をあげたい場合はどう書けばよい?

相続人ではない親族に対し、財産を与えたい場合、「遺言者の有する財産を●に遺贈する」と記載します。

このとき、他にも相続人がいるのであれば、遺留分を侵害しないよう注意する必要があります。

内縁の妻や夫に財産をあげたい場合はどう書けばよい?

内縁関係にある者は、相続権がありません。

ですので、遺言書を作成する必要があります。

そして、財産を与える場合には、「遺言者の有する財産を●に遺贈する」と記載します。

前妻(夫)とできた子供に財産をあげたい、もしくはあげたくない場合、どう書けばよい?

前妻(夫)の子であっても、遺言者にとって子であることに変わりありませんので、相続人になります。

そのため、「遺言者の有する●銀行●支店(口座番号:●)を、●に相続させる」と記載します。

遺言者がたとえ財産を渡したくない場合でも、子には遺留分があります。ですので、遺留分を侵害しないよう配慮する必要があります。

再婚相手の連れ子に財産を与えたい場合どう書けばよい?

再婚相手の連れ子に財産を与える場合、遺言者と連れ子が養子縁組しているか否かによります。

養子縁組をしていれば、遺言者の養子であり、相続人になります。

ですので、「遺言者の有する財産を●に相続させる」と記載します。

他方、養子縁組をしていないのであれば、相続人ではありません。

そのため、「遺言者の有する財産を●に遺贈する」と記載します。

婚外の子を認知して、財産をあげたい場合どう書けばよい?

婚外子を認知する方法として、遺言で行う方法があります(民法781条2項)。

この場合、認知は遺言執行者が行うことになりますので、遺言書で遺言執行者を指定しておくのが良いでしょう。

そして、「遺言者の有する財産を●に相続させる」と記載します。

遺言書で法的に効力をもたせられるものとは

遺言書ではどのような事項を決めることができるのかを解説します。

誰にどのくらいの遺産を渡すのかを指定や指定の委託

被相続人は、相続人の誰にどの財産を相続させるかを指定することができます(民法908条)。

例えば、配偶者に自宅の土地建物を相続させると決めることができます。

また、被相続人は、遺産分割の方法を第三者に委託することもできます。

相続する権利をはく奪またははく奪の取消をすることができる(相続人の廃除や廃除の取消)

相続の廃除とは、被相続人が、相続欠格事由ほど重大な非行ではないが、自己の財産を相続させるのが妥当ではないと思われるような非行や被相続人に対する虐待・侮辱がある場合に、その相続人の相続資格を剥奪する制度です。

被相続人は、遺言により、廃除を申し立てることができます(民法893条)。

また、反対に廃除を取り消すこともできます(民法894条)。

遺産分割の禁止

遺言者は、相続開始の時から5年を超えない期間を定めて、遺産の分割を禁止することができます(民法908条)

子を認知することができる

婚姻していない女性との間のできた子について、遺言で認知することができます(民法781条2項)。

遺言執行者を指定もしくは指定の委託ができる

遺言執行者とは、遺言の内容を実現するために、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する者です。

遺言者は、遺言において、遺言執行者を指定することができます(民法1006条1項)。

また、遺言者は、遺言において、遺言執行者の指定を、第三者に委託することもできます。

保険金の受取人を変更できる

保険金の受取人の変更は、遺言によってもすることができます(保険法44条)。

相続人相互の担保責任

各共同相続人は、他の共同相続人に対して、売主と同じく、その相続分に応じて担保の責任を負います(民法911条)。

これは、共同相続人間で遺産分割をした際に、不適合のある財産を取得した相続人とそうでない相続人との公平を図るための規定です。

例えば、あなたの相続人として、長男及び長女の2人で、両名で遺産分割した結果、長男が不動産(1000万円),長女が預貯金(1000万円)を相続することにしました。

しかし、長男の取得した不動産の一部が第三者のものであり、取得した不動産が500万円の価値しかありませんでした。

このような場合、500万円を長男及び長女で負担します。今回は、長女が長男に対し250万円を支払います。

遺留分侵害額請求方法の指定

改正前の民法では、遺留分減殺請求により、「贈与又は遺贈は遺留分を侵害する限度において失効し、受遺者又は受贈者が取得した権利は右の限度で当然に遺留分権利者に帰属する」としていました(最判昭和57年3月4日民集36巻3号241頁)。

そのため、遺言者は、遺留減殺の方法として、「1有価証券、2預貯金、3不動産」の順に減殺するなどと指定することができました。

もっとも、改正により、遺留分権利者は、遺留分侵害額請求権の効果として金銭債権が発生するものとしています。

ですので、財産ではなく、誰に対し減殺額請求するかを指定することになります。

ですので、受遺者がAとBといた場合、侵害額請求をAに行い、不足があればBにも行うという形になります。

なお、「遺贈→死因贈与→生前贈与」の順番は強行法規であり、当事者が自由に変更できないと考えられています。

遺言書によっても遺留分は侵害できない

配偶者、子(子の代襲相続人を含む。)、直系尊属には、遺留分があり、これを侵害することはできません

この遺留分について解説します。

遺留分とは

遺留分とは、一定の範囲の相続人に対して、一定割合の財産の相続権を保障する制度です。

この遺留分は、被相続人の意思によっても、奪うことはできません。

したがって、遺言書があったとしても、遺留分はなくなりません。

遺留分侵害額請求権を利用すれば、遺留分を取り戻せる

遺留分を侵害された相続人は、遺留分侵害額請求をすることができます(民法1046条)。

遺留分侵害額請求権を行使すれば、侵害された遺留分を取り戻すことができます

自筆証書遺言書が有効にならず、無効となってしまうケースとは?

遺言書により、遺言者は、自身の意思通りに財産を譲り渡すことができます。

もっとも、作成した遺言書が無効になってしまうケースがあります。

このケースについて解説します。

本人が手書きで書くことが条件(鉛筆やシャープペンシルは不可)

民法は、遺言書を作成する際に使用する筆記用具を定めていません。

ですので、遺言書を鉛筆やシャープペンシルで書いても、遺言書は有効です。

しかし、鉛筆やシャープペンシルで作成すれば、消すことができます。

ですので、第三者が遺言書を見つけて、書き直すことも簡単にできてしまいます。

改ざんされることを避けるために、鉛筆やシャープペンシルで作成するのは、望ましくありません。

消すことができないボールペン等を使用しましょう。

一部でも代筆があると無効に

自筆証書遺言は、原則として、遺言者がその全文を自書しなければなりません(民法968条1項)。

ですので、代筆があった場合、当該自筆証書遺言は無効になります。

2019年からは財産目録のみパソコンなどでの作成が可能に

 自筆証書遺言は、原則として、遺言者がその全文を自書しなければなりません(民法968条1項)。

しかし、例外として、自筆証書と一体のものとして相続財産の全部又は一部の目録を添付する場合、その目録については、自書することを要しません(民法968条2項)。

ですので、目録については、パソコンなどで作成することができます

もちろん、録音テープや録画はダメ

自筆証書遺言は、遺言者がその全文を自書しなければなりません。

録音テープや録画による方法による遺言書は、認められていません。

日付や押印署名は必須

自費証書遺言では、遺言者が日付を自書しなければなりません。

自筆証書遺言は、遺言者が修正することも、作成しなおすことも比較的容易にできます。

そのため、複数の遺言書が作成されることがありますので、日付により先後関係を明らかにする必要があるからです。

自筆証書遺言では、遺言者が氏名を自書しなければなりません。

氏名が書いてなければ、誰の遺言書かは明らかではありません。

誰の遺言者かを明確にする必要があるので、遺言者の自署が求められています。

遺言者が誰かを明確にするため、氏名だけではなく、押印も必要です。

日本では、重要な文書では署名・押印することで完成としていました。

このような慣習から、押印は、遺言書の全文、署名をあいまって、遺言書が遺言者によって作成されたことを担保することになります。

縦書きでも横書きでも問題ない

遺言書は、遺言者の死亡後に効力が生じます。

効力発生時期には、遺言者がいないため、遺言書は、遺言者の真の意思に基づくことを担保しなければなりません。

そのため、遺言書は、法定の方式にしたがって作成することを求めています。

もっとも、その方式の中に、縦書きであるか、横書きであるかの指定はありません

ですので、遺言書は、縦書き、横書きのいずれでも構いません。

所有している財産を網羅的に把握し、誰にどの財産を与えるかは詳細に記載(不動産の地番や口座番号など)

遺言書は、遺言書に記載されたとおりに財産を分けることになります。

記載された内容が曖昧であれば、どの相続人がどのように財産を相続するのか分かりません。

遺言者は、自身の意思通りに相続人に財産を譲り渡したいのであれば、どの相続人に、どの相続財産を渡すのかが明らかになるように形で記載する必要があります。

そして、遺言者が土地建物を遺贈する際、住所だけでは不十分です。

土地建物には、それぞれ登記されています。

ですので、土地建物を取得させる際には、土地であれば「所在」「地番」「地目」「地積」、建物であれば「所在」「家屋番号」「種類」「構造」「床面積」等の、登記に記載されている情報で、対象の土地建物を明確にしなければなりません。

また、預貯金を相続させる際には、銀行名、支店名、口座番号まで記載する必要があります。

遺言者は、同じ銀行の同じ支店に複数口座を持っていることもあります。

ですので、遺贈させる財産を特定するため、口座番号を記載して対象の預貯金を明確にしなければなりません。

相続人の氏名に母などという記載はNG

遺言書により財産を遺贈するにあたり、母などの記載ではいけません。

当然ですが、1人1人に氏名、生年月日などがあります。

ですので、氏名等を明らかにして、誰に財産を渡すのかを明確にしなければなりません。

相続人の範囲を確認してから行う

遺言者は、財産を譲り渡すにあたり、相続人に渡すか、当該相続人の相続分がどれくらいかは事前に確認する必要があります。

兄弟姉妹以外の推定相続人には、遺留分が認められているからです。

ですので、遺留分を侵害する遺言書を作成した場合、遺言者の死後、相続人らで遺留分に係る紛争が発生する可能性があるからです。

付記事項は法的な効力はないが、納得感を与えるために重要

遺言書で相続の割合を法定相続分から変更した場合、遺留分侵害額請求をしないよう求めた場合などには、付言事項にその理由を書いたり、家族への言葉を書いたりするのが効果的です。

付言事項は、法的拘束力を有するものではありません

しかし、遺言書を作成した理由や家族へのメッセージを残すことで、相続人の理解を得られる可能性もあります。

訂正、修正の方法は正確にしないと無効に

自筆証書遺言は、遺言者自身で作成することができるため、加除や変更が容易にできます。

しかし、遺言書の加除や変更する箇所が不明確になれば、遺言者の真意が分からなくなってしまいます。

そのため、加除や変更する場合、遺言者が当該場所を指示し、これを変更した旨付記して特にこれを署名し、その変更場所に印を押さなければ効力が生じません(民法968条3項)。

ですので、加除や変更も法定の方式に従って、行わなければなりません。

2枚以上になったら契印を忘れずに

遺言書が2枚以上になったら、契印をしましょう。

遺言書は、遺言者が死後の法律関係を定める極めて重要な書類です。

ですので、遺言者の意思通りに財産を分けるためにも、遺言者が2枚以上になったとき、一連一体の書面であることを証するのに、契印は必要不可欠なものです。

作成したら必ず封筒にいれて封印を

作成した遺言書が紛失しないよう、封印して適切な場所に保管をしましょう。

封印がなくても遺言書が無効になるわけではありません。

しかし、遺言書が紛失する可能性や遺言書を見つけた第三者が書き換える恐れもあります。

ですので、封印をしておきましょう。

昔は、住んでいる家の金庫等に保管されるなどしていましたが、相続人らが見つけることができる場所で保管をしましょう

自筆証書遺言は、相続人が見つけることができないままになってしまう可能性があるので、気をつける必要があります。

相続と遺贈はしっかりと使い分ける

相続は、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継するものです(民法896条)。

遺言がなければ相続人は、法定相続分に従って、財産も負債もすべて承継することになります。

遺贈は、無償で被相続人から財産を譲り受けることです。

遺言がある場合、相続人以外の者も譲り受けることができます。

遺贈と相続の違いを理解する

これまで遺言書の記載について説明しましたが、財産を譲り渡す際、「遺贈」と「相続」にはどのような違いがあるのか詳しく解説します。

不動産登記が単独でできる

不動産の登記には、次の違いがあります。

相続させる遺言(特定財産承継遺言)の場合、登記権利者である相続人による単独申請で行うことができます。

遺贈の場合、登記権利者である受遺者と登記義務者である相続人の共同申請の方法で行うことになります。

登記がない場合にも相続債権者に対抗が可能

相続させる遺言については、登記の前であっても、相続債権者に対して権利を主張することができました。

しかし、民法改正により、「相続による権利の承継は、遺産の分割によるものかどうかにかかわらず、990条及び901条の規定により算定した相続分を超える部分については、登記、登録その他の対抗要件を備えなければ、第三者に対抗することができない」としました(民法899条の2第1項)。

ですので、現在は、相続させる遺言(特定財産承継遺言)であっても、自身の持ち分を超える部分については、登記、登録その他の対抗要件を備えなければ、相続債権者に対抗できません

借地権などについて賃貸人の承諾が不要に

遺贈の場合、借地権や借家権を譲り受けるには、賃貸人の同意が必要です。

しかし、相続させる遺言(特定財産承継遺言)については、賃貸人の同意は不要です。

遺贈と相続どっちが良いの?

相続させる遺言(特定財産承継遺言)は、遺産分割手続を経ることなく、当然に当該財産が当該相続人に移転します。

ですので、登記を単独申請することができますので、相続させる遺言(特定財産承継遺言)の方が利用しやすいものかもしれません。

しかし、受遺者が財産の相続を希望しない場合、他の相続人と話合いをしなければなりません。

ですので、受遺者の意向次第では、相続させる遺言(特定財産承継遺言)が望ましくないケースもあります。

遺言書に関する注意点や豆知識

遺言書を作成するための注意点、遺言書で利用できる制度等を解説します。

遺言には特定遺贈と包括遺贈という方法がある

遺言の方法は、特定遺贈と包括遺贈の2種類があります。

特定遺贈とは、被相続人の特定の財産を遺贈するものになります。

例えば、「土地をAに相続させる」「500万円をBに相続させる」というものです。

包括遺贈とは、遺言者が財産の全部又は一部を一定の割合で示された部分の遺産を受遺者に与えるものです。

例えば、「財産を全てCに相続させる」「Dに対して遺産の4分1を相続させる」というものです。

予備的遺言を作成するのもあり

遺言書を作成した後、財産を譲り渡す予定だった受遺者が先に亡くなってしまえば、財産を渡すことはできません。

このような場合、代襲相続は発生しません。

ですので、遺言者よりも先に受遺者が亡くなることも想定して、「受遺者Aが遺言者よりも先に亡くなった場合、受遺者Bに遺贈する」という遺言を作成しておくのも効果的です。

遺言執行者は指定すべき?!

遺言執行者は必ず必要になるわけではありません。

相続人間で協力して手続を進めることができれば、何ら問題はないからです。

しかし、相続手続がもめそうな場合には、遺言執行者を指定のするのが望ましいです。

例えば、相続人が誰か不明な場合、所在が明らかでない場合、遺言執行者を指定しておき、遺言執行者に調査をしてもらうべきです。

また、相続財産が明らかでない場合、貸付金等を回収しなければならない場合等、手続が必要な場合には遺言執行者を指定することで、遺言の内容を実現してもらうことができます。

遺言で医療看護を行うように指示することも可能?!

例えば、遺言者の配偶者に医療看護が必要であるにもかかわらず、遺言者が先に亡くなってしまうことも当然ながらあります。

遺言者が亡くなれば、遺言者が行っていた配偶者の面倒を、今後誰が行うのか等、相続でトラブルになることがあります。

このような場合、医療看護の面倒を看てもらう代わりに、財産を相続させるという負担付贈与を遺言ですることができます。

遺言でペットを引き取って飼育するように指示することも可能?!

ペットについても、配偶者と同様、遺言者が死亡することで、面倒を看ることができなくなってしまうことがあります。

このような場合、遺言書により、ペットの面倒を看てもらう代わりに、財産を相続させるという負担付贈与を遺言ですることができます。

遺留分を考慮して遺言書を書く必要がある

兄弟姉妹以外の相続人には、遺留分が認められています。

遺留分を考慮しないまま遺言書を作成すると、一部の相続人の遺留分を侵害する遺言書を作成することがあります。

このような遺言書を作成した場合、遺言者の死後、相続人間で、遺留分に関する争いが生じるおそれがあります。

相続人間の争いを防止するためにも、遺留分に配慮した遺言書を作成する必要があります。

意思を明確に付言事項などに記載しておく

遺言書で相続の割合を法定相続分から変更した場合、遺留分侵害額請求をしないよう求めた場合などには、付言事項にその理由を書いたり、家族への言葉を書いたりするのが効果的です。

付言事項は、遺言者が相続人らに気持ちを伝えることができるものであり、遺言者の意思を伝えることができるものです。

 遺言書が二つあれば、古い方が撤回される!!ただし部分的に古い方も有効となる場合がある

遺言者の中には、意向が変化したため、新たに遺言書を作り直す者もいます。

そうすると、遺言者の遺言書が複数見つかることもあります。

このような場合、作成日付が新しいものが有効になります。

そして、作成日付が古い遺言書は、新しい遺言書と抵触する限りで、無効になります。

自筆証書遺言は、法改正で法務局で保管できるようになった

2020年7月から自筆証書遺言の保管制度が新設されました。

この制度は、遺言者が法務局に行き、自身の遺言書の保管を申請することができるというものです。

同制度により、遺言者が自筆証書遺言を預けていた場合、この自筆証書遺言については検認が不要となります。

家でみつかった自筆証書遺言や秘密証書遺言は家庭裁判所で検認が必要となる

公正証書遺言以外の遺言書の保管者は、原則として、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければなりません(民法1004条1項,2項)。

検認は、遺言書の外形的な状況を明確にするとともに、偽造を防止するために行われるものです。

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夫婦共同の遺言書(複数人での遺言書)などは作れない

遺言は、2人以上の者が同一の証書ですることができません(民法975条)。

ですので、夫婦共同で行うなど、複数人が共同で遺言をした場合、遺言は無効になります。

作成後は紛失に注意

自筆証書遺言は、「法務局における遺言書の保管等に関する法律」により、遺言者が法務局に預けない限り、遺言者自身が保管することになります。

また、秘密証書遺言は、遺言者が保管することになります。

ですので、紛失しないよう注意が必要です。

紛失してしまえば、遺言者の死後、相続人らが見つけることができないまま、相続人で遺産分割協議することになり、遺言者の意思通りに財産を分けられなくなります

遺言書の書き方で悩んだら専門家へ相談すべき

遺言書の書き方で悩んだら、専門家に相談しましょう。

遺言書は、民法所定の方式を誤っただけで無効になってしまいます。

ですので、遺言書が無効にならないようにするためにも、専門家に相談して間違いない遺言書を作成すべきでしょう。

争いやありとあらゆることを気にするなら弁護士に相談すべき

遺言書や相続手続で分からないことがあれば、弁護士に相談すべきです。

また、相続人間で争いになることが見込まれる場合でも、弁護士に相談するが良いでしょう。

弁護士は、法律の専門家であり、相談者の意向に沿ったアドバイスをすることができます。

また、紛争性のある事案を取り扱っているのは弁護士になりますので、プロである弁護士に相談をすべきです。

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不動産の遺産が多い場合は司法書士に相談するのも手

遺産の中で、不動産が多い場合、司法書士に相談するのも有効です。

司法書士は、登記のプロですので、相続登記をするにあたり、円滑に手続をしてもらうことが期待できます。

簡単な遺言書であれば、費用を考えて行政書士に相談するのもあり

内容が複雑ではないのであれば、行政書士に依頼するのも有効です。

行政書士は、弁護士や司法書士と比較して費用が安いのが多いです。

ですので、特に複雑でなければ、費用を抑えることができるため、行政書士に相談するのも良いでしょう。

信託銀行に相談するのもあり?!遺言信託とは

遺言書の作成を含め、信託銀行に依頼することもできます。

信託銀行は、金融機関が行っていますので、安心感があります。

また、信託は、銀行が遺言者の財産を管理しますので、この点でも安心感があります。

もっとも、信託銀行に依頼する場合、弁護士に依頼するよりも費用が掛かります

ですので、費用を気にしない方で、安心感を求める方は、信託銀行に依頼するのもありです。

遺言書を専門家に依頼するときの費用相場とは?

遺言書を依頼する場合、弁護士が10万円~、司法書士や行政書士が3万から10万円程度です。

もっとも、遺産の内容や遺産の総額等により、費用は異なりますので、まずは相談をして見積もりを取ってもらうのが良いでしょう。

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専門家の選び方は資格で選ぶのではなく、相続に強いかどうかとフィーリングで選ぶ

紛争性のある事案では弁護士、不動産が絡むのであれば司法書士、費用を抑えたいのであれば行政書士に相談するのが良いでしょう。

もっとも、同じ弁護士の中で誰に依頼するかは、事前に法律相談で話をして、信頼できる等、相談者にとって信頼できる弁護士を選ぶのが良いでしょう。

また、弁護士の中には、相続を取り扱っていない、ほぼ取り扱っていないという先生もいるため、注意が必要です。

まとめ 

いかがでしたでしょうか。

遺言書の書き方は一歩間違えれば、遺言書そのものが無効になるため、非常に重要です。

しっかりと遺言書の書き方を理解しておきましょう。

  • この記事を書いた人
篠 昌義(公認会計士/税理士)

篠 昌義(公認会計士/税理士)

株式会社相談室代表取締役。有限責任監査法人トーマツで大企業から中小企業までの監査やコンサルティング、税理士法人で大企業の法人税から個人の所得税まで幅広く実務を担当したのち、自身も経営者としてシェアリングテクノロジー株式会社(東マ:3989)の取締役CFOから代表取締役まで幅広く経験。東証マザーズ上場の責任者を務めるだけでなく、上場後の事業推進、資金調達、M&A、組織改革などを幅広く企業拡大を牽引。 詳しい経歴・プロフィールは当メディアの運営者情報をご覧ください。

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