遺言書で遺言執行者が指定されていた場合、相続人又は受遺者が遺言執行者の選任を請求する場合があります。
このような場合、就職した遺言執行者の報酬は、どのくらいになるのか、また、遺言執行者がどのような業務を行うのかを、詳しく解説します。
この記事のまとめ
・遺言執行者がいると相続手続きがスムーズに進むため、遺言執行者を選任、指定おいた方がよい
・遺言執行者の報酬相場は相続財産総額の1%~3%
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遺言執行者の依頼先は主に信託銀行、弁護士、司法書士、行政書士
遺言執行者の依頼先で多いのは、信託銀行、弁護士、司法書士、行政書士になります。
これらの者が遺言執行者に就職した場合の報酬相場につき解説します。
遺言執行者の報酬目安は財産総額の1%~3%
遺言執行者の報酬は、相続財産の1%~3%の事が多いです。
報酬相場は高い順に信託銀行>弁護士>司法書士>行政書士
遺言執行者の費用は、一般的に信託銀行が最も高いです。
これは、信託銀行は、専門家に委託することがあり、費用が高くなります。
専門家については、幅広い業務を行うことができる弁護士が最も報酬が高いです。
続いて、登記の専門家である司法書士、行政書士の順になります。
信託銀行の報酬相場とは?
信託銀行に依頼する場合、遺言者が遺言信託を依頼している場合が多いです。
この場合ですが、最低報酬は、105万円~のようです。
信託銀行の金額が高いのは、相続手続を外注することになるからです。
弁護士の報酬相場とは?
弁護士が遺言執行者になった場合の報酬は、30万円~というのが多いようです。
弁護士の報酬は、かつて旧弁護士会報酬基準規定にそって定めていました。
この規定は、次のとおりです。
相続財産の価額 | 報酬金 |
300万円未満 | 30万円 |
300万円以上3000万円未満 | 相続財産の2%+24万円 |
3000万円以上3億円未満 | 相続財産の1%+54万円 |
3億円以上 | 相続財産の0.5%+204万円 |
この規定はすでに廃止されていますが,この規定を採用している事務所も多くあるようです。
司法書士の報酬相場とは?
司法書士の基本報酬は、30万円~というのが多いようです。
行政書士の報酬相場とは?
行政書士の基本報酬は、20万円~というのが多いようです。
税理士や一般人に依頼することも可能!その場合の相場とは?!
税理士の基本報酬は、30万円~というのが多いようです。
一般人に依頼する相場は、専門家より低い10万円~というのが多いようです。
遺言執行者になれない人とは?!
未成年者及び破産者は、遺言執行者になることができません(民法1009条)。
遺言執行者の報酬はそもそもどうやって決定されるの?
遺言執行者は報酬を受け取ることができます。
この報酬は、どのように決定するのか解説します。
遺言執行者の報酬は遺言書に記載されている?!
遺言書に遺言執行者の報酬が記載されている場合、記載された金額になります。
ですので、遺言者は、遺言執行者として指定する者との間で、事前に報酬金の額について伝えておくのが良いでしょう。
遺言書に報酬の記載がない場合は、相続人との協議で決定される
遺言書に遺言執行者の報酬が記載されていない場合、まずは相続人との話合いになります。
協議で決まらなければ家庭裁判所で決まる
遺言執行者の報酬金が遺言書に記載されておらず,相続人との話合いもまとまらなかった場合、家庭裁判所は、相続財産の状況その他の事情によって遺言執行者の報酬を定めることができます(民法1018条1項)。
そもそも遺言執行者は誰を選べばいいの?!
遺言書を作成するにあたり、遺言執行者を定めておくケースが多いです。
また、遺言書の定めがない場合でも、相続人又は受遺者は、遺言執行者の選任を求めることができます。
このような場合、誰を遺言執行者にするべきか解説します。
信託銀行に依頼するメリット、デメリットとは?
信託銀行のメリットは,銀行に信用性がありますので,遺言者にとって安心感があります。
信託銀行のデメリットは、専門家よりも費用がかかることです。
遺言執行では、銀行でなければできないという手続はありません。
また、信託銀行の中には、相続手続の全部又は一部を外注することもあるようです。
弁護士に依頼するメリット、デメリットとは?
弁護士に依頼するメリットは、紛争性のある事案で円滑な遺言執行を実現できることです。
紛争性のある事案では、弁護士は、遺留分等を踏まえるなどして、遺言者の望む遺言者を作成することができます。
また、遺言執行の中には、子を認知する場合(民法781条2項)、相続人の廃除・その取消し(民法893条,894条)等の手続も行ってもらえます。
弁護士に依頼するデメリットは、他の専門家よりも費用がかかることです。
紛争性のない事案や財産が預貯金しかない場合などでは、他の専門家に依頼して費用を抑えることができます。
司法書士に依頼するメリット、デメリットとは?
司法書士に依頼するメリットは、遺言者の財産の中に不動産がある場合です。
不動産がある場合、相続登記をすることになります。
司法書士は、登記の専門家ですので、遺言執行者として、相続登記まで行ってもらうことが可能です。
司法書士に依頼するデメリットは、一般的に紛争性のある事案についての経験が豊富ではないことです。
紛争性のある事案で不動産がある場合、遺言書の内容をどのようにするかは非常に重要です。
ですので、紛争性のある事案を豊富に経験している弁護士に依頼するのが良いでしょう。
行政書士に依頼するメリット、デメリットとは?
行政書士に依頼するメリットは、弁護士や司法書士と比較して、費用を抑えることができることです。
行政書士に依頼するデメリットは、紛争性のある事案、遺言者の財産に不動産が含まれる事案等は依頼することが困難な事です。
行政書士に依頼する事案は、預貯金にのみ等ものが良いでしょう。
遺言執行者は遺言内容で判断すべき
遺言書で遺言執行者が選任されていない場合、相続人や受遺者で遺言執行する者を依頼することもできます。
このような場合、遺言内容からどの専門家に依頼するかを決めるのが良いでしょう。
他の相続人と争いになると見込まれるのであれば弁護士に、不動産がある場合には司法書士に、預貯金のみ等の簡易なものであれば行政書士に依頼をするのが良いでしょう。
遺言執行者をそもそも選ばないという選択肢もとれる!
遺言者は、遺言書の中で遺言執行者を定めないという事もできます。
このような場合、相続手続を相続人や受遺者が相続手続を進めることになります。
相続人や受遺者本人で進めることが難しいのであれば、専門家に依頼することを検討するのが良いでしょう。
遺言執行者を決めておくことがおすすめな理由とは?
遺言執行者がいなくても、相続人や受遺者で相続手続を進めることができます。
しかし、相続人や受遺者では手続を進めることができずに、手続が放置されることもしばしばあります。
遺言執行者を決めておくことで、遺言者の死後、相続手続を確実に進めてもらうことが可能になります。
そもそも相続において遺言執行者の役割とは?!
遺言執行者は、どのような仕事をするのかを解説します。
遺言執行者は遺言者が亡くなってから仕事を開始する
遺言は、遺言者の死後に一定の効果を発生することを意図した個人の意思が表示したものです。
遺言者が死亡した後、効果が発生するものであることから、遺言執行者の仕事は、遺言者の死亡後に開始します。
遺言執行者が行う仕事の内容や流れとは?!
遺言執行者が就職を承諾したときは、直ちにその任務を行わなければなりません(民法1007条1項)。
任務を開始したときは、遅滞なく、遺言内容を相続人に通知します(1007条2項)。
遺言執行者は、戸籍(除籍、原戸籍)謄本を取得し、相続財産に関する調査を行います。
そして、財産に関する調査を行った後、相続財産の目録を作成して、相続人に交付します(民法1011条1項)。
また、遺言執行者は、認知であれば遺言の謄本と添付して戸籍上の届出をしたり、相続人の廃除・その取消しであれば家庭裁判所に申立てをしたり、遺言事項の執行行為をします。
遺言執行者が遺言の内容を実現するまで余計なことはしてはダメ
遺言執行者は、遺言内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有します(民法1012条1項)。
ですので、遺言執行者がいる場合、相続人は、相続財産の処分その他遺言の執行を妨害する行為をすることができません(民法1013条1項)
遺言執行者は役割の一部を第三者に委任することもできる
遺言執行者は、自己の責任で第三者にその任務を行わせることができます(民法1016条1項)。
例えば、弁護士が就職した際、相続財産の中に不動産があるときに、相続登記を司法書士に依頼する場合です。
遺言執行者のみが執行できるものとは?
遺言執行者のみができるものは、認知や相続人の廃除・その取消しの手続です。
遺言執行者は、就職した日から10日以内に、遺言の謄本を添付して、戸籍上の届出をします(民法781条2項)。
遺言執行者は、戸籍(除籍、原戸籍)謄本等の必要書類を収集したうえで、家庭裁判所に対し、相続人の廃除・その取り消しを申し立てます(民法893条、894条)。
遺言執行者でも相続人でも執行できるものとは?
遺言執行者でも相続人でもできるものとして、遺贈や遺産分割方法の指定などがあります。
遺言執行者も相続人も、遺言者が財産を譲り渡したいと指定した者に対し、その財産を渡すことができます。
また、遺言者が遺産分割方法を指定したときは、その指定どおりに財産を分けます。
もっとも、不動産の相続登記については、遺言執行者と受遺者が共同で行わなければなりません。
遺言の執行が不要なものとは?
遺言の執行が不要なものとして、相続分の指定、遺産分割の禁止があります。
遺言者は、遺言で相続分を指定することができます。
この場合、遺言の効力発生時に相続人の相続分が指定相続分に定められます。相続分の指定がされた場合,法定相続分の規定は適用されません。
遺言者は、相続開始の時から5年を超えない期間を定めて、遺産の分割を禁止することができます(民法908条)
遺言執行者でも貸金庫の開錠はさせてもらえないことが多い
遺言書に貸金庫に係る記載がない場合には、遺言執行者でも、貸金庫を開錠してもらえないことがあります。
金融機関は、トラブルの防止のため、相続人立ち合い、相続人全員の許可を求めたりします。
遺言執行でよくある疑問点や注意点とは?!
遺言執行につき、相続人や受遺者が疑問に思うことや注意すべきことを解説します。
遺言執行者の職務内容自体は遺言書に基づくので誰に頼んでも一緒
遺言執行者の仕事は、遺言書の内容を実現することです。
ですので、遺言者の意思どおりに手続を進めるだけですので、誰に依頼してもやることは同じになります。
遺言執行費用と報酬は別なため注意
遺言執行費用は、検認、遺言執行者の選任、相続財産の目録作成です。
遺言費用は、相続財産から支払われます(民法1021条)。
遺言執行に関する費用は相続財産から負担するため、遺言執行内容が完了してから出す
遺言の執行に関する費用は、相続財産から負担します(民法1021条1項)。
ですので、その費用は、遺言執行内容が完了した後になります。
遺言執行者は、遺言執行者が辞退しない限り変更できない
遺言者が遺言執行人を指定したとき、その者が遺言執行者になります。
遺言者の意思が尊重されますので、その者が辞退しない限り、変更することはできません。
遺言執行にかかった経費は別途とられるため注意
遺言執行にかかった費用は、相続財産から支払われます。
遺言執行者の報酬は相続人全員で負担する
遺言執行者の報酬は、遺言の執行に関する費用です。
ですので、相続財産の負担となります(民法1021条)。
遺言執行者の報酬が支払えない場合は、辞任か辞退してもらうしかない
相続財産によっては、遺言執行者に報酬が支払えない場合があります。
このような場合、遺言執行者の就職を辞退してもらうか、家庭裁判所の許可を得て辞任することになります。
遺言執行者を複数人指定することも可能?!
遺言執行者を複数人選任することもできます。
この場合、任務の執行は、保存行為を除く管理処分行為につき、過半数で決します(民法1017条1項)。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
遺言執行者の報酬相場はそこまで高くはありません。
重要なのは、誰を遺言執行者にするのか、なぜ遺言執行者が必要なのかなどを理解しておく必要があるでしょう。
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