個人事業主が知っておきたい税務調査の仕組みと対策

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個人事業主のための税務調査対策

ある日突然やってくる「税務調査」の4文字。

脱税に身に覚えのない自営業を始めとする個人事業主にとって、それは「なぜ」、「何で自分に」、「どんな対応をすれば?」など、疑問と不安だらけの出来事でしょう。

分からないことだけにストレスも溜まります。

ここではそんな個人事業主が税務調査で不利益を被らないよう、税務調査の仕組みと対策を解説します。

目次

税務調査における個人事業主のNG行為と対策

突然の税務調査に対する疑問や不安はさておき、まず税務調査をスムーズに終わらせるためには、避けるべきNG行為があります。

一般に次の行為が挙げられます。

NG行動の例

  • 税務調査に非協力的な態度をとる
  • 調査官から提示を求められた資料を見せない
  • 調査官のヒアリングに対して虚偽の回答や曖昧な回答をする
  • 調査官に聞かれもしないことを話す
  • 税務調査の事前通知を受けてから帳簿書類、資料等の改竄をする(改竄をすると申告済みの内容と矛盾が生じます)

このようなNG行為をすると、税務調査官の検査件数が増え続けるまたは税務調査官の心証が悪くなり、税務調査が長引く原因になります。

次に税務調査をスムーズに終わらせる対策ですが、これには何かノウハウ的なものやコツがある訳ではありません。

税務調査の対策は、事前通知で税務署から要請された書類をすべてそろえておくことに尽きる」と言われています。

大半の税務調査は、調査官が事実確認のできる帳簿書類等と確定申告書・法定調書との突き合わせ、根気よく続ける作業だからです。

そして突き合わせの結果、不審点があると調査官はその場でその理由を調査します。

したがって、税務署から要請された書類をすべて揃え、調査官に書類の使途、記載理由などを調査された時は明確に答えられるようにしておく必要があります。

そこで個人事業主が税務調査執行日までに準備しておきたい事項として、一般に次が挙げられます。

 (1)会社概要

  • 事業内容や取引先について明確に説明できる
  • 通常の取引先と取引内容を明確に説明できる
  • イレギュラーな取引先の取引理由を明確に説明できる
  • 取引先金融機関の通帳や口座を明示できる
  • 店舗・工場の設備を見せ、使用状況を明確に説明できる
  • パソコンをチェックされても構わないように、プライベートなデータは消去するかプライベート用のパソコンへ移し替えておく

(2)帳簿書類

  • 直近3―5年分の決算書をすぐ提示できるにしておく
  • 各勘定科目を適切に処理しているか確認しておく
  • 現預金出納帳は売上計上基準が明確になっているか確認しておく
  • 現預金出納帳の記載手順を明確に説明できる
  • 売掛・買掛帳の記載手順を明確に説明できる
  • 総勘定元帳の記載手順を明確に説明できる

(3)証憑書類

  • 複数の預金通帳がある場合はその使い分けを明確に説明できる
  • 自分が発行した手形・小切手の控をすぐ提示できるようにしておく
  • 見積書、納品書、領収書、請求書などが揃っているか確認しておく。もし紛失している書類がある場合は取引先に再発行を依頼する
  • 販売契約書を提示し、適切な販売活動を行っている事実を明確に説明できる
  • リース契約書を提示し、リースの使途・理由を明確に説明できる
  • 賃貸借契約書を提示し、居住用住宅と事業用建物の使い分けを明確に説明できる

税務調査における税理士の役割

個人事業主の大半は言わば「税務の素人」です。

したがって前述の税務署から要請された書類をすべて揃え、調査官の質問検査に的確に答えるなどの税務調査対策を事業主が独力でやるには難があります

不安も拭えません。

そんな事業主の頼りになるのが、税務の専門家である税理士と言えます。

税理士は次の3業務を独占しています。

  • 税務代理…………依頼人の確定申告、青色申告の承認申請などの代理
  • 税務書類の作成…依頼人の確定申告書、相続税申告書、青色申告承認申請書などの作成代行
  • 税務相談…………節税や納税に関するアドバイス並びにサポート

そして税理士は、独占業務である「税務代理」の一環として、個人事業主から依頼を受けた際は税務調査に立ち会う権限を有しています。

そこで税務調査における税理士の役割として、次が挙げられます。

(1)税務調査に対する事前準備の指導

税理士は、税務署が事前通知で要請した書類に関する帳簿書類・証憑書類の洗出しとチェックを行い、調査官に質問検査されやすい事項に対する回答を税法適法の見地から依頼人に指導します。

(2)税務調査執行中の立会いとサポート

税理士は税務調査執行に立会い、依頼人が調査官に質問検査された事項についてはその場で適切なアドバイスやフォローを行います。

(3)税務調査執行後のサポート

税務調査執行後、税務署から依頼人へ「指摘事項通知書」(後述)が送達されると、税理士は税法適法の見地から修正申告や更生処分の内容を精査し、適切なアドバイスをします。

これにより税務署は修正申告や更生処分の内容を見直し、納税者有利の通知に切り替えたケースもあります。

税務調査が入ったときに頼れる税理士の見つけ方

税務署から税務調査の通知が来たら、真っ先に「税務調査立会.com」に相談するのが賢明と言えるでしょう。

青色申告や白色申告をしている個人事業主の場合は、売上規模が小さいこともあり、税理士と顧問契約をしていない人が大半です。

したがって税務調査があると、調査官の指摘を丸呑みして修正申告をせざるを得ない状況に置かれています。

また、税務調査の通知を受けてから税理士を探そうとしても、どこで探したらいいか分からない、ネット検索でヒットした税務会計事務所に連絡しても、いわゆる一見さんお断り」(事務所側は既存顧問先の業務で手がいっぱい)で相手にしてもらえないのが現状と言えるでしょう。

そうした個人事業主の悩みを解消してくれるのが税務調査立会ドットコムと言えます。

税務調査立会ドットコム

税務調査はいたずらに心配したり不安を募らせる厄介ごとではなく、個人事業主の事業を税務署が第三者の目で評価するというメリットがあります。

つまり税務調査を受け、税務署から「是認通知書」(後述)を受けることで税務署のお墨付きを得られるメリットがあります。

これは個人事業主の社会的評価の向上に繋がります。

取引先に対する信用度も高まるでしょう。

しかし税務調査の現場に税理士の立会いがない場合は、調査官の誤った指摘をチェックしてくれる税務の専門家がいない状態なので、このメリットを得るチャンスもありません。

なお税務調査立会.comの場合は、顧問税理士と異なり税務調査に立ち会った日数や、税務調査のビフォー・アフターの日数分だけのリーズナブルな報酬制になっています。

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税理士篠のOnePointアドバイス

税理士をつけていない個人事業主が税務調査に入られて、税理士なしで税務調査を戦おうとするのはかなり危険と言えます。

なぜなら、一般的に個人事業主の方は、税務調査官のやり方や税務に対する知識が圧倒的に不足しているからです。

税務調査は言うならば、税法という法律を元にした税務調査官対個人事業主の法廷論争のようなものです。

これを通常の裁判に例えるなら、検察(税務調査官)対個人(個人事業主)の裁判のようなものなのです。

したがって税務調査において、税理士は個人事業主にとっては弁護士のような存在なのです。

税務調査が入った以上税理士を付ける方が圧倒的に得をする可能性が高いと思います。

税理士費用より、税務調査官に指摘されて払わされる追徴課税の額の方がはるかに多額になる可能性が高いからです。

しかし、税務調査が入ったからと言って、すぐに税理士を探したとしてもなかなか頼りになる税理士は見つからないでしょう。税理士も信頼できる方の税務はしたいけど初見の人の税務をするのはリスクに感じるということも多々あります。

また、お金にならない個人事業主の税務をするのを嫌がる税理士も多く存在します。

ですので、税理調査立会ドットコムは、すぐに税務調査に立ち会ってくれる税理士を探すにはうってつけのサービスになるかもしれません。

税務調査における税理士立会いのメリット

税務調査において、個人事業主が税理士に立ち会ってもらうメリットとして、一般に次が挙げられます。

(1)調査官と個人事業主の通訳になる

税制は複雑であり、調査官が税務調査執行で話す専門用語は税務の素人には難解です。

しかし税理士が立ち会えば調査官の専門用語を一般用語に翻訳し、依頼人に分かりやすく説明してくれます。

これにより個人事業主は調査官の質問検査や指摘事項に対し、適切な回答ができます。

(2)不当処分を回避できる

税法は毎年改正されます。

その都度国税庁は法令解釈に関する通達を発表します。

そこで調査官が仮に自己流の法令解釈で不当な指摘や誤った判断をした場合、税理士は正しい法令解釈に基づきそれを修正してくれます。

このため不当な修正申告や更生処分を回避できます。

税理士篠のOnePointアドバイス

税務調査官は、税務調査に入ったからには、何かしら指摘をしようとしてきます。

彼らの仕事は税務調査で指摘をし、税金を追加で払ってもらうことにあるのですから当然と言えば当然です。

税務調査官は「国家公務員だし、しっかりしているだろうから不当処分なんてない」なんて甘い考えはよしてください。

税理士がいない丸腰の個人事業主相手だとどうせわからないだろうと無茶苦茶な指摘をしてくる可能性はおおいにあります。

(3)税務署の判断が変わることもある

税理士は税務調査の仕組みを熟知しています。調査官の質問検査の意図や目的も正確に把握しています。

このため税務調査立会い中は調査官がどの局面で、どんなタイミングで質問検査をしてくるかを察知し、依頼人を適切にフォローしてくれます。

このため修正申告が減額されるなど税務署の判断が納税者有利に変わったケースもあります。

税理士篠のOnePointアドバイス

税務調査官も人間です。

指摘事項①に関しては、見逃せないけど、指摘事項②は今後気を付けてくださいというさじ加減をしてくれることも多々あります。

そういったさじ加減をうながすことも税理士がいることで非常にスムーズに進めることができます

これはよく言われる「お土産をあげるから他は目をつぶってもらう」という手法です。

税務調査の対象になりやすい個人事業主の共通点

税務調査の対象になりやすい個人事業主には次の共通点が見られると言われています。

確定申告に不備や不正の疑いがある

税務署は基本的に個人事業主が提出する確定申告書・法定調書でしかその納税を確認できません。

このため、

  • 確定申告をしているが法定調書を添付していない
  • 不審な経費が計上されている
  • 前年度と比べ損益計算書に大きな増減項目がある
  • 前年度と比べ同業他社平均より営業利益率が低い
  • 前年度比べ評価損や貸倒損失が急増している
  • 前年度と比較して売上が大幅に変化している
  • 売上が変わらないのに原価や人件費が増加している
  • 売上と仕入れがすべて現金取引
  • 売上が毎年度900万円台(※)

などの場合、税務署は売上除外、架空仕入、経費水増しなどの利益操作をしている疑いがあると判断し、税務調査の対象にします。

参考

※売上が900万円台ː年間売上額が1000万円超の個人事業主は消費税法上の「課税業者」になります。

例えば年間売上額が1200万円で仕入額400万円、消費税関連経費50万円だった場合、

「{1200万円-(400万円+50万円)}×10%」

で75万円の消費税納税義務が発生します。

この納税を回避するため売上の一部を除外、年間売上額を900万円台に操作する事業者もいると言われています。

この消費税納税を回避しようとする行為は脱税であり、重加算税課税の対象になります。

税理士篠のOnePointアドバイス

個人事業主に対する税務調査は所得税に合わせて消費税の確認も入る場合があります。

ですので、消費税の脱税なども意識して税務調査に挑む必要があります。

不正発見割合の高い業種・業態の事業をしている

後述の「税務調査の動向」で見る「1件当たり申告漏れ所得金額の高額上位10業種」に該当する個人事業主は、税務調査の対象になる確率が高いようです。

そもそもある日突然通知が来る拒否不能の税務調査とはいったい何か

税務調査とは、確定申告書と法定調書の内容に誤りがないかを確認する調査のことです。

その目的は「税金の公平な負担」にあります。日本では「申告納税制度」を採用しています。

これは納税者が自分の所得と税額を自ら計算し、その結果を税務署に申告して納税する制度のことです。

この制度を維持するためには正しい申告納税を促し、税負担の公平性を担保する必要があります。

この目的を達成する手段が「税務調査」と言えます。

税務調査の大半は「任意調査」ですが、「税負担の公平性を担保する」との趣旨から、基本的に調査拒否ができない仕組みなっています。

と言うのは、国税通則法第74条により、「質問検査権」を有する税務職員の質問や調査を受ける「受忍義務」があるとされているからです。

受忍義務とは、「納税者が税務調査を拒否したり妨害してはいけない義務」のことです。

つまり国税通則法第74条の2は、「税務職員は税務調査において、調査対象者に対し、調査に必要な帳簿書類や物件を検査したり提示・提出を求めることができる」旨を定めており、これが質問検査権になります。

また質問検査権に基づく税務調査において、正当な理由もなく拒否した場合や調査官の質問に対して虚偽の回答をした場合は罰則を科せられるおそれがあります。

すなわち国税通則法第128条は「税務職員の質問検査に答えない、虚偽の答をした、質問検査を妨害したなどの場合は、その者に1年以下の懲役また50万円以下の罰金に処する」旨を定めているからです。

税務調査の動向

所得税・消費税の調査動向

国税庁が2021年11月に発表した『令和2事務年度 所得税及び消費税調査等の状況』によれば、直近の税務調査の動向は次のようになっています。

所得税・消費税の税務調査結果

所得税の調査状況

  • 調査合計件数(特別調査・一般調査・着眼調査)…50万2千件(前事務年度43万1千件)
  • 調査合計件数の申告漏れ所得………………………5577億円(同7891億円)
  • 調査合計件数の追徴税額……………………………732億円(同1132億円)

この調査状況の結果でいえることは、調査件数は前年比で20%弱増加しており、所得税の調査には年々力が入ってきているということです。

昨今のフリーランスや副業の増加傾向から考えても、今後も個人事業主を中心に所得税の調査が拡がっていくことは多いに想定されます。

譲渡所得の調査状況

  • 所得税のうちの譲渡所得に係る調査件数………1万4千件(同1万3千件)
  • このうち申告漏れ等の非違件数…………………1万件(同1万件)
  • 調査対象のすべての年分の申告漏れ所得金額…1150億円(同1106億円)

譲渡所得の調査は、主に不動産の譲渡所得の申告漏れになります。

不動産を他人に売却しているにもかかわらず、その申告を怠っている人や、過少な申告になっている人が多いようです。

個人事業主の消費税の調査状況

  • 調査合計件数…………………………8万7千件(同6万7千件)
  • このうち申告漏れ等の非違件数……4万9千件(同4万5千件)
  • 調査合計件数の追徴税額……………180億円(同304億円)

個人事業主の消費税の調査も前年比で20%程度増加しています。

所得税と同じで、昨今のフリーランスや副業の増加傾向から考えても、今後も個人事業主を中心に消費税の調査も拡がっていくと想定されます。

所得税無申告者に対する調査状況

  • 実地調査件数…………2993件(同7328件)
  • 申告漏れ所得金額……総額768億円(同1583億円)、1件当たり所得金額2565万円(同2160万円)
  • 追徴税額………………総額87億円(同174億円)、1件当たり追徴税額292万円(同237万円)

所得税の申告をそもそも全くしていない人に対して、調査をするのがいわゆる所得税無申告者に対する調査になります。

こちらの調査数は、前年よりは大幅に減少しています。

消費税無申告者に対する調査状況

  • 実地調査件数……3294件(同8329件)
  • 追徴税額…………総額75億円(同160億円)、1件当たり追徴税額227万円(同192万円)

消費税の申告をそもそも全くしていない人に対して、調査をするのがいわゆる消費税無申告者に対する調査になります。

こちらの調査数も、前年よりは大幅に減少しています。

事業所得を有する個人の1件当たり申告漏れ所得金額の高額上位10業種

国税庁が2021年11月に発表した『令和2事務年度 所得税及び消費税調査等の状況』によれば、申告漏れ所得金額の高額上位10業種は次のようになっています。

職種1件当たり申告漏れ所得金額1件当たり追徴税額
1位プログラマー4927万円716万円
2位肉牛畜産農業3515万円503万円
3位内科医3339万円805万円
4位キャバクラ2834万円864万円
5位太陽光発電2603万円825万円
6位建築士2325万円624万円
7位経営コンサルタント2268万円477万円
8位犬の小売業2051万円456万円
9位不動産代理仲介1804万円614万円
10位商工業デザイナー1759万円389万円

1位:プログラマー

近年はフリーランスとして活躍するプログラマーなどが多く存在していますので、プログラマーが1位となりました。

今後もこの傾向は続くと思いますし、令和3年の調査でもプログラマーはかなり目をつけられることが想定されます。

2位:肉牛畜産農業

肉牛畜産農業は2位になっています。

この業種も、たまに上位にあがってきます。

近年に日本の牛肉、いわゆる和牛は、海外で非常に人気です。

そのため、売価も高騰しており、肉牛畜産農業の稼ぎが増えているようです。

税務調査官も稼げる業種を中心に調査をかけていますので、肉牛畜産農業が今回は2位にくるとこになりました。

しばらくは肉牛畜産農業の方は調査にあいやすくなると思います。

3位:内科医

内科医が3位となりました。

医師も、高収入の業種になりますので、税務調査ではよく狙われます。

4位:キャバクラ

キャバクラが4位となりました。

キャバクラは近年、税務調査では5位以内に常連で入るような業種になっています。

キャバクラを運営している方やキャバクラで働いている方は税務調査が入る可能性が高いと思っておいた方が良いでしょう。

5位:太陽光発電

太陽光発電も前年に引き続き上位にきました。

太陽光発電は一時期、原子力発電に変わる代替エネルギーとして、国をあげて設置を推し進めていました。

その際に、様々な個人の方が副業目的で太陽光発電に手を出しています。

その影響もあってか、税金を納めるということを理解していない方も多く、脱税の調査が入る率もあがっているようです。

6位~10位について(経営コンサルタントは少しランクダウン)

前年2位であった経営コンサルタントは今回は少しランクダウンして7位となっています。

経営コンサルタントは近年稼ぎが多い個人事業主の一つとして税務調査が入りやすい傾向がありました。

まだ6位と落ち着いてはいるものの、引き続き入りやすい業種ではありますので、注意が必要です。

所得税税務調査の動向に見るトピックス

ここからは、税務調査の動向に見るトピックスを紹介していきます。

富裕層に対する税務調査の状況

国税庁は資産運用の多様化・国際化が進んでいる現況を踏まえ、有価証券・不動産の大口所有者、高額所得者、海外投資を積極的に行っている個人投資家などの「富裕層」に対する税務調査も積極的に行っています。

そこで令和2事務年度においては、2158件の実地調査を行いました。その結果、

  • 申告漏れ所得金額の総額は487億円、1件当たりの申告漏れ所得金額は2259万円で過去最高。また所得税の実地調査全体の1480万円に比べ5倍の多さ
  • 追徴税額の総額は117億円、1件当たりの追徴税額は543万円で、所得税の実地調査全体の275万円に比べ0倍の多さ
  • 特に海外投資を行っている個人投資家の1件当たり追徴税額は879万円で、所得税の実地調査全体の275万円に比べ2倍もの多さ

など状況が判明しました。

税理士篠のOnePointアドバイス

富裕層に対する税務調査は毎年、重点項目(トピック)になっています。

税金がとれる可能性が多いところが税務調査の優先順位も上がるわけですので、当然と言えば当然です。

基本的に稼ぎが多い方は、銀行預金の増加や資産の増加などを口座情報から見られて調査が入ります。

急に稼ぎが増えた人は税務調査に注意しましょう。

海外投資を行っている個人投資家と海外資産を所有している個人に対する税務調査の状況

国税庁は海外投資を行っている個人投資家と海外資産を所有している個人に対しては、国外送金等調書、国外財産調書、租税条約等に基づく情報交換制度、CSR情報(共通報告基準に基づく非居住者金融口座情報)などを駆使し、税務調査を積極的に行っています。

そこで令和2事務年度においては、2172件の実地調査を行いました。その結果、

  • 申告漏れ所得金額の総額は486億円、1件当たりの申告漏れ所得金額は2239万円で、所得税の実地調査全体の1480万円に比べ5倍の多さ
  • 追徴税額の総額は114億円、1件当たりの追徴税額は527万円で、所得税の実地調査全体の275万円と比べ9倍の多さ

などの状況が判明しました。

税理士篠のOnePointアドバイス

海外の不動産投資、ビットコインなどの仮想通貨投資など、海外資産に対する投資手法が増えてきている昨今、海外資産に関する税務調査もトピックの一つとして毎年あがっています。

特に仮想通貨で稼いだような人は、所得税率が低い海外に移住して売却し、日本の高額な所得税逃れをしているようなケースもあるようで、そういったものも調査の対象となっているようです。

インターネットのプラットフォームビジネスに関する取引を行っている個人に対する税務調査の状況

国税庁はシェアリングエコノミー(民泊、ホームシェア、カーシェアリング等)、デジタルコンテンツ、ネットオークション、ネットトレード、Web広告などインターネットのプラットフォームを利用した新ビジネスに関する取引を行っている個人に対しては、ネット情報の収集・分析に基づき税務調査を積極的に行っています。

そこで令和2事務年度においては、1071件の実地調査を行いました。その結果、

  • 申告漏れ所得金額の総額は201億円、1件当たりの申告漏れ所得金額1872万円で、所得税の実地調査全体の1480万円に比べ3倍の多さ
  • 追徴税額の総額は53億円、1件当たりの追徴税額は494万円で、所得税の実地調査全体の275万円と比べ8倍の多さ

などの状況が判明しました。

税理士篠のOnePointアドバイス

インターネットプラットフォームビジネスの関する取引を行っている個人に対する税務調査でイメージしやすいところは、YoutuberやTikToker、インスタグラマーなどに対する調査になります。

SNSなどの普及によって、若くして大金を稼げている個人は増えてきており、そういった個人は、納税に対する知識などに乏しく、脱税をしているケースが多いようです。

そこで、国税庁は、このようなインターネットプラットフォームビジネス関連の業種への調査をトピックとしています。

相続税の調査動向

国税庁が2021年12月に発表した『令和2事務年度における相続税の調査等の状況』によれば、直近の税務調査の動向は次のようになっています。

相続税の税務調査結果

相続税の実地調査事績

  • 実地調査件数……………5104件(対前事務年度比0%)
  • 申告漏れ等の非違件数…4475件(同3%)
  • 重加算税賦課件数………719件(同7%)
  • 追徴税額…………………482億円(同7%)

贈与税事案に対する実地調査の状況

  • 実地調査件数……………1867件(同2%)
  • 申告漏れ等の非違件数…1769件(同0%)
  • 申告漏れ課税額…………109億円(同1%)
  • 追徴税額…………………37億円(同9%)

無申告事案に対する実地調査の状況

  • 実地調査件数……………462件(同9%)
  • 申告漏れ等の非違件数…409件(同4%)
  • 申告漏れ課税額…………455億円(同2%)
  • 追徴税額…………………61億円(同6%)

海外資産関連事案に対する実地調査の状況

  • 実地調査件数……………551件(同7%)
  • 申告漏れ等の非違件数…96件(同4%)
  • 重加算税賦課件数………9件(同0%)
  • 申告漏れ課税額…………34億円(44.4%)
  • 申告漏れ課税額のうちの重加算税賦課対象……9億円(同6%)

相続税の税務調査は、申告者の実に20%程度が入るとされており、国税庁が常に力を入れている調査になります。

相続税の申告ミスや脱税は高確率で調査が入ると思っておいてよいでしょう。

相続税税務調査の動向に見るトピックス

ここからは、相続税の税務調査のトピックスを紹介していきます。

無申告者に対する実地調査

相続税は、たいした資産がないから自分は相続税の対象じゃないと間違った認識で相続税申告をしていない人や、そもそも脱税目的で申告しない人も多いようです。

無申告の人は、相続税申告をしてしっかり納めている人と極めて不公平な状況となることから、相続税無申告者に対する実地調査は徹底的にやるということで毎年のトピックになっています。

海外資産に対する実地調査

近年、資産として海外株式、海外通貨、仮想通貨などで保有するケースも増えています。

海外資産に関しては、相続税法上の取り扱いなども複雑になってくるため、申告ミスなども多く、

直近の相続税の税務調査では、海外資産に対する実地調査をトピックとしています。

したがって、海外資産がある方の相続税は高確率で調査が入るようです。

税務調査の種類

税務調査の種類は次の「任意調査」と「強制調査」に分かれています。

  • 任意調査……納税者の合意と協力を得て執行する調査。事前通知により納税者の都合を聞いて調査日時を決定
  • 強制調査……裁判所の捜査令状発給を得て国税局査察部が強制的に執行する調査

強制調査は巨額脱税の疑いがある法人・個人に対し、国税局査察部が内定調査を行い、証拠固めをしてから執行する調査なので、一般の納税者はまず無縁の調査と言えます。

一般の納税者が税務署から受けるのは任意調査と言うことになります。

国税局と税務署の主要部門は、

  • 管理部門
  • 課税部門ː法人課税部門、個人課税部門、資産課税部門
  • 徴収部門

の5部門で構成されています。

このうち、個人事業主の税務調査を担当するのが個人課税部門所属の税務職員で、事業所得税と消費税が調査範囲になります。

また彼らが執行する調査はすべて任意調査です。

任意調査は調査法により次の4種類に分かれています。

(1)一般調査法

最も基本的な調査法です。

調査官は確定申告書・法定調書を帳簿書類や証憑書類(※)と照らし合わせ、確定申告が適切に行われているかを確認します。

必要によっては納税者の工場・店舗を視察し、在庫状況等を確認するケースもあります。

※証憑書類ː契約書、納品書、領収書、預金通帳など取引の事実を証明する書類のこと

(2)現況調査法

事前通知をせずに、調査対象者の工場・店舗を抜打ち調査する方法です。

事前通知をすると調査対象者が証拠隠滅をするおそれがある場合に行われます。店舗等特定の場所で現金取引をしている調査対象者に執行されるケースが多く、現場の現金取扱い状況を確認するのが目的と言われています。

(3)特別調査法

調査官が一般調査だけでは不十分だと判断した場合の調査法です。

税務署は特別調査班を編成し、組織的な態勢で現況調査を執行します。中規模以上の法人や脱税額が大きいと疑わる場合に執行されます。

(4)反面調査法

確定申告書や帳簿書類に記載された内容に不審点があり、その裏付けを取る必要がある場合に執行する調査法です。

調査対象者の事業取引先・取引銀行の取引明細を確認します。反面調査も事前通知をすると取引先と口裏合わせをされる可能性があるので、こちらも抜打ち調査になります。

税理士篠のOnePointアドバイス

反面調査法はどういう時に利用されるのかを簡単に説明しておきます。

例えば、ある個人事業主は12月末に大量に仕入としている場合に、仕入先がちゃんとその大量の仕入を売上として計上しているかを確認するときに利用します。

仕入先が売上として計上していなければ、12月末に利益を出さないために大量の架空仕入を計上している疑いが生じるからです。

税務調査の時期

税務調査の時期に関する法令上の定めはありません。

しかし任意調査については、大半が毎年8月から12月かけて執行されています。

これは「事務年度」が関係しています。

事務年度とは法人税、消費税、源泉所得税の賦課・徴収業務を円滑に実施するため、国税庁が独自に設定している年度のことで、その期間は毎年7月1日から翌年6月30日になっています。

この三税に携わっている国税局・税務署の職員は、この年度を基準に1年間の業務をしています。

そこで、国税局も税務署も、

上期の7―12月……税務調査先の選定と調査執行

下期の1―6月……確定申告関連業務

のルーチンワークをしています。

このため任意調査については毎年7―12月に執行される確率が高くなります。

税務調査の手順

任意調査の大半は一般調査法で執行されており、それは基本的に次の手順で執行されます。

手順1:税務調査日時と調査に必要な資料の事前通知

税務署は税務調査を決定した対象者に対し、10日前を目安に電話や書面で税務調査に入る旨を通知します。

そして対象者の都合を聞いた上で日程調整をして調査日時を決定します。

それと共に調査官の質問事項、用意して欲しい書類を通知します。

この通知は、対象者が税務調査立会いを依頼した税理士(税務代理権限証書を提出している税理士)にも行います。

税務調査に際し税務署が用意を要請するのは一般に次の書類です。

(1)事業概要

  • 法人・個人事業主の事業所所在地、代表者名、従業員数
  • 事業内容と保有設備
  • 事業取引先
  • 取引先金融機関

(2)帳簿書類

  • 決算書
  • 総勘定元帳
  • 仕訳帳
  • 現預金出納帳
  • 固定資産台帳
  • 売掛・買掛金元帳
  • 棚卸表

(3)証憑書類

  • 注文書
  • 領収書
  • 納品書
  • 請求書
  • 預金通帳
  • 小切手帳
  • リース契約書
  • 賃貸借契約書
  • 機械・設備保守契約書

(4)労務管理書類

  • 源泉徴収票
  • 給与台帳
  • 役員報酬や退職金の明細(法人の場合)
  • 勤怠管理票(タイムカード等)
  • 雇用契約書
  • 社会保険関係書類

このように税務調査に際して個人事業主が用意すべき書類は多岐にわたります、

さらにこれらの書類は直近1年分ではなく3年分(場合によっては5年分)をそろえて用意する必要があります。

手順2:税務調査執行

税務調査は通常1日―2日をかけて執行されます。

調査事項は調査先により異なりますが、税務署は基本的に次の事項を調査すると言われています。

  • 事業概要………事業内容、従業員数、設備など
  • 取引先…………事業の取引先と取引先金融機関
  • 売上管理………売上をどのように管理しているのか
  • 仕入・外注費…仕入れ・外注費をどのように計上しているのか
  • 給与・賞与……従業員の給与・賞与、退職金の算出・支払い方法
  • その他の事項…調査官が事前に把握している情報の中で確認すべき事項

手順3:税務調査結果通知書送達

税務署は調査を終えると署内で調査内容を1週間から2カ月程度かけて精査・分析した後、その結果を「税務調査結果通知書」にまとめて調査先へ郵送します。

同通知書は次の2種類に分かれています。

  • 是認通知書……税務調査の結果、確定申告が正しく行われており、税務調査が終了した旨を伝える通知書
  • 指摘事項通知書……確定申告書に不備や誤りがあり、修正申告や更生を求める通知書

修正申告・更生処分の決定

税務署から指摘事項通知書を受けた場合は、修正申告か更生を行う必要があります。

■修正申告

調査対象者が税務署の指摘事項に納得した場合は、自ら確定申告書と法定調書を修正し、「修正申告」をすると同時に、不足税額を納付すれば、税務調査は終了します。

■更正処分

調査対象者が指摘事項に納得できないとして修正申告をしない場合、税務署は「更生処分通知書」を送達します。

対象者がこの通知書に記載された追徴税額を納付すれば、税務調査は終了します。しかし更生処分に納得できない場合は「国税不服審判所」へ更生処分の取消しや変更を求める「不服申立て」を行えます。不服申立て期間は更正処分通知書を受け取った翌日から3カ月以内です。

税理士篠のOnePointアドバイス

更正処分に納得できず、「不服申立て」を行うことは実務上可能です。

ただし、ほとんどの場合「不服申立て」が認められることはありません

ですので、基本的には、「更正処分」ではなく、いい落としどころを税務調査官と話し合った上で、「修正申告」として個人自らが自己申告で確定申告書を修正した方がよいと覚えておいてもらうと良いでしょう。

税務調査の日数

税務調査の日数については、事前通知されません。

この理由を国税庁のWebサイトはQ&Aで

「調査に要する日数は調査開始後の状況により異なるので、事前通知は困難です。なお調査が複数日にわたる場合は、初回調査後に納税者の都合を踏まえ次回以降の調査日を調整する」

旨の説明をしています。

しかし通常の一般調査法による任意調査の場合、2日間で終了するケースが大半です。

この場合、基本的に次のスケジュールで調査が執行されているようです。

(1)調査初日午前中

調査官は個人事業主が緊張しないよう、雑談の雰囲気で主に確定申告書・法定調書に記載されていない事項をヒアリングします。

主なヒアリング事項は、

  • 個人事業を開始した目的や経緯
  • 主な事業内容
  • 取引先・金融機関との取引条件
  • 従業員を雇用している場合はその人数と業務内容
  • 店舗ビジネスの場合はそのオペレーション

などと言われています。

(2)調査初日午後

調査官は売上処理、仕入れ・外注費、決算期末棚卸資産などをチェックをします。

まず売上処理のチェックでは、受注から代金回収までのプロセスをヒアリングします。

主なヒアリング事項は、

  • 受注伝票や受注メモなどはどんなフォーマットで作成し、どんな方法で管理しているのか
  • 出荷票と納品書はどのタイミングで作成し、どのタイミングで台帳に記載するのか
  • 運送手段は何か、運賃はどちらが負担しているのか
  • 請求書は何を基に何時、誰が作成・発行するのか
  • 代金はどのような方法で回収しているのか

などと言われています。

次に仕入れ・外注費のチェックでは、発注から代金支払までのプロセスをヒアリングします。

主なヒアリング事項は、

  • 仕入れ品の発注・受取や外注に関する記録法
  • 仕入れ品の発注・受取や外注に使用している伝票フォーマットと伝票の保管法
  • 仕入れ品の発注・受取や外注に関する伝票を台帳へ転記するタイミング

などと言われています。

そして期末棚卸資産計上のチェックでは、調査官は主に次の事項をヒアリングすると言われています。

  • 棚卸の実施時期
  • 棚卸の集計方法
  • 棚卸の責任者
  • 決算期末以外の棚卸実施の有無
  • 棚卸の原始記録の保存方法

なお調査初日の午後は、調査官が現金残高と出納帳残高の確認をするケースがあります。

この場合、現金残高と出納帳残高が合致していれば何の問題もありませんが、もし合致していなければその理由を質問検査され、調査日数が増える可能性があります。

このため個人事業主は事前にこの合致を確認しておく必要があります。

(3)調査2日目

この日、調査官は主に人件費、一般管理費、雑収入、損益計上、経過措置などに関する帳簿検査を行うと言われています。

(4)調査3日目以降

調査官は2日間の調査では不十分と判断した時、3日以降に追加資料提出要請や現況調査・反面調査を執行します。さらに税務署が特別調査を執行する場合もあります。

この場合は当然、調査日数が増加します。

3日以降の調査負担は大きいので、税務調査は2日間で終了する対策をしておく必要があります。

税務調査の対象期間

税務調査の対象期間(遡及期間)は通常3年です。

しかし調査官が不正行為の可能性が高いと判断した場合は、5年・7年に遡って帳簿書類を調査するケースもあります。

なお「帳簿書類等の保存期間」は法令で7年間と定められています。

いずれにしても調査官に不正行為の疑惑を持たれないよう、個人事業主は帳簿書類を合法的かつ適切に作成し、保存しておく必要があるでしょう。

税務調査に備えて個人事業主が日頃から注意すべきこと

個人事業の場合、ともすれば経費と経費以外の線引きが不明確になりがちで、事業経費の中に生活費が紛れ込みがちです。

例えば家賃、水道・光熱費、修繕費、事務費、図書費、交際費、交通費、人件費などは公私混同しがちで、税務調査で調査官はこの混同しやすい部分を精細に調査します。

したがって特に居住用住宅と事務所・店舗の家賃、水道・光熱費、図書費、交際費、交通費などの事業経費と生活費は日頃から厳密に切り分ける習慣をつけておく必要があるでしょう。

税務署の税務調査対象者の選び方

国税庁は税務調査対象者選定に関するガイドラインを定めていません。

これは現場の税務署も同じと言われています。

しかし税務署は日頃から納税に関する多種多様な情報を収集・蓄積しており、この情報分析に基づき、税務調査対象者選定していると言われます。

そして税務署が、税務調査対象者選定の参考にしているのが主に次の情報と言われています。

(1)KSK(国税総合管理)システム情報

KSKシステムとは、全国の国税局と税務署をネットワーク接続したシステムのこと。

全国の国税局と税務署は同システムの活用により、国税の申告・納税とその関連情報の収集・蓄積により国税関連情報を一元管理すると共に、この情報分析に基づき税務調査対象納税者の選定、滞納管理対象事案の抽出などに役立てています。

(2)一般収集資料

一般収集資料とは、税務署が毎年法人・個人事業主に提出を求めている「一般取引資料箋」(売上、仕入、経費、リベートなどに関する資料)のことです。

(3)特別収集資料

特別収集資料とは、税務調査の際に調査官が収集した資料のことです。不動産登記、住宅新築・増改築などの資料が該当します。

(4)探聞資料箋

探聞資料箋とは、Webサイト広告、新聞・テレビ・雑誌広告、新聞折込みチラシ、求人情報などの広告情報を調査官が資料化したものです。この資料が「資料箋管理」部署に集約され、当該資料活用先(広告主)の管理資料に名寄せ・紐付けされ、KSKシステムでデータベース化されています。

そして例えばピアノ教室や学習塾の生徒募集広告に探聞資料箋がヒットし、その広告主が無申告だった、確定申告書の内容に不審点があるなどが判明すると、税務調査の対象になります。

(5)重要資料

重要資料とは、売上除外、架空取引などの不正行為が疑われる情報のことです。

税務署はこれらの情報を基に税務調査対象者を絞込み、その中から特に「不正行為を疑わせる信頼性の高い資料が存在する納税者」を税務調査対象に選定していると言われます。

相続税の税務調査に注意

個人事業主の所得税や消費税の税務調査について説明してきました。

しかし、個人の税務調査でもう一つ気を付けなければならいのが相続税の税務調査です。

相続税申告における税務調査率は20%を超えています。

すなわち、相続税申告した人のうち20%が税務調査を受けているということです。

これは、個人事業主の税務調査率が1~2%程度であるのに比べて相当高い比率と言えます。

したがって、相続税の申告ミスをしている人はほぼ間違いなく税務署の調査が入ると思ってもらってもよいと思います。

相続税の税務調査についてまとめている記事がありますので、よろしければご覧ください。

まとめ

個人事業主の大半は、簿記の知識はあっても税務の専門知識はないのが通常と言えるでしょう。

また周りに税務の専門知識を持った人がいないのも通常と言えるでしょう。

そこで税務調査の事前通知が来たら、即「税理士立会ドットコム」へ相談すると良いでしょう。

そうすれば税務調査の専門知識と立会い経験の豊富な税理士が、合法で適切なアドバイスとサポートをしてくれるでしょう。

<参照資料>

  • 令和2事務年度における相続税の調査等の状況

https://www.nta.go.jp/about/organization/tokyo/release/r03/sozoku_chosa/sozoku_chosa.pdf

  • 令和2年分の所得税等、消費税及び贈与税の確定申告状況等について

https://www.nta.go.jp/about/organization/tokyo/release/r02/kakutei_shinkoku/jokyo.pdf

  • 税務行政の現状と課題

https://www.nta.go.jp/about/council/shingikai/180124/shiryo/pdf/04-1.pdf

監修者情報

篠昌義

篠 昌義(公認会計士/税理士)

株式会社相談室代表取締役。有限責任監査法人トーマツで大企業から中小企業までの監査やコンサルティング、税理士法人で大企業の法人税から個人の所得税まで幅広く実務を担当したのち、自身も経営者としてシェアリングテクノロジー株式会社(東マ:3989)の取締役CFOから代表取締役まで幅広く経験。東証マザーズ上場の責任者を務めるだけでなく、上場後の事業推進、資金調達、M&A、組織改革などを幅広く企業拡大を牽引。 詳しい経歴・プロフィールは当メディアの運営者情報をご覧ください。

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