相続

【弁護士&税理士監修】法定相続人って誰のこと?!法定相続人の範囲から順位まで徹底解説

法定相続人とは誰のことか?
はぁ…困ったわ…
一体どうしたの?
お葬式でパパの愛弟子を名乗る男が現れて…
まさか「オレにも遺産をよこせ」と?
そうなの。ママもそんな弟子がいたのか知らないって言うし…
お父様は遺言書を遺してるのかしら?
ないわ
じゃあその人は相続人にはなれないわ
え!?それ本当??

親族が亡くなった場合には、相続手続を開始することになります。

その際、まずはじめにやらなければならないことは、相続人の確定です。

ここでは、相続人とは何か、相続人を確定する方法に加えて、民法と相続税法上の相続人の違いについてまで、解説します。

目次

法定相続人の範囲とは?!

まず、相続人はどのような人のことをいうのか、相続人か否かはどのように判断するのか、相続人の範囲を確定させる方法について、解説します。

被相続人と相続人って誰のことをいう?!

相続の場面では、被相続人と、相続人がいます。

被相続人とは、相続財産を残して亡くなった人のことをいいます。

相続人とは、被相続人の財産を受け継ぐ権利を有している人のことをいいます。

例えば、父と母、子が2人いる家族において、父が亡くなった場合には、被相続人が父、相続人が母及び子2人となります。

法定相続人になれるのは配偶者と血族だけ!!

民法は、被相続人との間に一定の身分関係を有する者を、相続人と定めています(民法887条~890条)。

相続人には、被相続人の配偶者と、被相続人の血族がなります

つまり原則としては血のつながりがないと相続人としての資格はないということね
なるほどね。じゃあひとつめの問題は解決ね
ひとつめ??
実はパパの生き別れた妹を名乗る女性も現れて…
大丈夫よ。そのあたりも法律でしっかり定められているから

血族における相続の優先順位はどうなっている?!相続順位について図を用いてわかりやすく解説

被相続人の配偶者は、常に相続人となります。

他方、被相続人の血族には、順位があります

血族の順位

  • 第1順位の相続人は,被相続人の子若しくは,その代襲相続人である直系卑属です。
  • 第2順位の相続人は,被相続人の直系尊属です。
  • 第3順位の相続人は,被相続人の兄弟姉妹です。

第1順位に相続人がいないときに、第2順位の血族が相続人となります。

また、第2順位にも相続人がいないときに、第3順位の血族が相続人となります。

ってことは、私が生きている以上その生き別れた妹さんは…
相続できる権利がないわね
なんだ、じゃあ心配しただけ損しちゃった…
権利はないけど本当に生き分けれた妹さんかどうか、ちゃんと調べておいてもよさそうね
それってどうやって??
さぁ、ちょっと出かけるわよ!

法定相続人の範囲は戸籍謄本で確認できる?!

それでは、相続人が誰かというのは、どのように確認すればよいのでしょうか。

相続人の範囲を確認するには、戸籍を確認するのが有効です。

被相続人の出生から死亡までの全ての戸籍を取得することで、被相続人が婚姻したか否か、離婚したか否か、子がいるか否かが分かります。

こうして、被相続人の出生から死亡までの全ての戸籍を確認することで、被相続人に関する相続関係図を作成することができ、相続人の範囲を確認することができます。

戸籍謄本の入手方法とは?!

戸籍謄本は、本籍地のある市区町村役場に対して申請をすることで、入手することができます。

相続人は、被相続人の相続人として、戸籍謄本を入手することになります。

また、相続に関して弁護士や司法書士等に依頼していた場合には、弁護士や司法書士が戸籍謄本を入手することも可能です。

実際に法定相続人はどういう範囲になる?!

戸籍謄本を集め、被相続人に関する相続関係図を作成した場合には、相続人を確定することができます。

被相続人に配偶者がいた場合には、配偶者は相続人になります。

被相続人に子がいた場合には、子が相続人となります。

被相続人に子がいなかった場合には、被相続人の親などが相続人となります。

相続人の順位

このとおり、被相続人の相続関係図を作成することで、相続人を確定することができます。

ということは、私の場合だとママと私が相続人で間違いないのね!
戸籍謄本でも隠し子もいなさそうだから、間違いないわ
てっきり親戚一同でわけるのかと思ってたけど、相続できる人って少ないものなのね
そうとも限らないわよ。こんな複雑なケースだってあるんだから

法定相続人に関する注意点とは?!

相続人を考えるにあたっては、どのような点に注意すれば良いのでしょうか。

民法と相続税法で微妙に法定相続人の考え方が異なる?!

民法上は、養子に人数制限はありません

そして、養子は子として相続人となり、相続権が発生します。

他方、相続税法上は、法定相続人に含める被相続人の養子の数は、一定数に制限されています。

被相続人に実の子供がいる場合には、法定相続人に含める養子の数は1人のみです。

被相続人に実の子供がいない場合には、法定相続人に養子を2人まで含めることができます。

このように、民法と相続税法では、相続人に含まれる養子に違いがあります。

代襲相続って何?!

相続人となるべきであった者が、被相続人よりも前に、死亡することがあります。

また、相続人となるべきであった者が、相続欠格や相続廃除によって、相続権を失うことがあります。

このような場合、相続人となるべきであった者の子が、その者に代わって、その者の受けるべき相続分を相続することになります。

これを、代襲相続といいます。

例えば、父が亡くなり、子が相続人となるべきところ、子が父よりも前に亡くなっていたときには、代襲相続により、孫が父の相続人となります。

養子縁組がいる場合どうなるの?相続税法独自のルール?!

相続税は、法定相続人の人数が多ければ多いほど、少なくなります。

これを悪用し、相続税の節税目的で養子縁組をすることを防ぐ必要があります

そこで相続税法上、相続税の計算をする際には、被相続人に実の子がいる場合には1人まで、被相続人に実の子がいない場合には2人まで、養子を法定相続人に含むことができます

このとおり、民法上は人数制限がない養子の数も、相続税法においては、独自のルールとして、法定相続人に含むことができる養子の人数を制限しています。

前妻や前夫、前妻や前夫の子などは法定相続人になれるのか?!

前妻や前夫は、相続開始時に既に配偶者ではありませんので、相続人とはなりません

他方、前妻や前夫の子は、親が離婚したとしても親の子であることは変わりませんので、相続人となります。

相続人が未成年の場合はどうなる?

未成年者であったとしても、相続人になることは妨げられません。

もっとも、父と母と子がいるケースで、父が亡くなった場合には、母と子が相続人となります。

ここで、子が未成年であった場合には、母と未成年者が相続人となり、母が未成年者を代理することは利益相反関係となってしまいます。

そこで子が未成年の場合には、家庭裁判所に申し立てて、未成年者の特別代理人を選任してもらうことになります

胎児も相続人になりうる?!

民法3条1項は、「私権の共享は、出生に始まる。」と定めています。

この規定を反対に解釈することにより、「出生前の胎児は権利主体とならない」との結論が導かれます。

しかしながらこれを貫くと、胎児にとって不利益・不都合が生じることがあります。

なぜなら、出生が親の死亡よりも先だったか後だったかという偶然により、相続権の有無が左右されてしまうからです。

そこで民法では、原則として胎児は権利主体ではないとしつつ、相続の場合には胎児を特別に「生まれたものみなし」て相続権を保障しています。

行方不明者はどう扱う?!

相続が発生した場合には、遺産分割協議を行うことも多いです。

もっとも、遺産分割協議においては、相続人全員で行わなければならず、1人でも相続人を欠いてなされた遺産分割協議は無効となってしまいます。

ところが、相続人の1人が行方不明である場合には、相続人全員による遺産分割協議を行うことができません。

このような場合、どうすれば良いでしょうか。

1つの方法としては、不在者として、不在者財産管理人を選任することが考えられます。

不在者財産管理人は、家庭裁判所に対して申し立てることによって行います。

別の方法として、失踪宣告を申し立てることが考えられます。

失踪宣告をすることによって、行方不明者は亡くなったものとみなされることになります。

これにより、行方不明者ではなくその相続人とともに、遺産分割協議を行えばよいことになります。

なんだか頭がグラグラしてきたわ…
家庭の事情っていろいろあるものよ。でも原則は血族って覚えておけばシンプルよ

遺留分に注意!

遺留分とは、一定の範囲の相続人に対して、相続財産の一定割合について相続権を保障する制度です。

もっとも、相続人であれば、全員が遺留分権利者となるわけではありません。

遺留分権利者は、配偶者、子、直系尊属です。

したがって、兄弟姉妹は、相続人ではありますが、遺留分権利者ではないことになります。

遺留分を侵害された場合には、遺留分滅殺請求

遺留分権利者は、遺留分を侵害された場合には、遺留分侵害額請求権を行使することができます。

遺留分に関してもっと詳しく知りたい方はこちらの記事も参考にしてください。

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遺言書がない、かつ相続人もいない場合はどうなるの?!

遺言書がなく、相続人もいない場合には、どうなるのでしょうか。

相続人が誰もいないときにも、被相続人の相続財産が残されています。

このような場合、家庭裁判所から、相続財産管理人が選任されることになります。

相続財産管理人は、相続人がいない故人の相続財産を管理することになります。

法定相続人が一人の場合にはどうする?!

相続人が1人の場合には、その相続人が全ての相続財産を取得することになります。

また、相続人が1人の場合には、相続財産のなかに不動産があったとしても、単独で相続登記をすることができます。

遺産相続できそうでできない人にも注意?!

一見すると遺産を相続できそうな人のなかにも、実際には遺産を相続できない立場の人が存在します。

実際には遺産を相続できない人というのは、どのような人のことをいうのでしょうか。

そもそも相続権がない人

相続人となることが民法において定められている人であっても、必ず相続人になれるというものではありません。

民法は、相続欠格及び相続廃除という制度を設け、相続資格の剥奪を認めています

相続欠格とは?!

相続欠格とは、相続秩序を侵害する非行をした相続人の相続権を、法律上当然に剥奪する制度です。

相続欠格となる者は、こうです。

相続欠格となる人

1 故意に被相続人又は先順位・同順位にある相続人を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者

2 被相続人が殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかった者

3 詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、又は変更することを妨げた者

4 詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又は変更させた者

5 相続に関する被相続人の遺言書を偽造し.変造し、破棄し、又は隠匿した者

相続欠格の効果は、法律上当然に相続権を失う、というものです。

相続廃除とは?!

 相続排除とは、遺留分を有する推定相続人(配偶者、子、直系尊属)に非行や被相続人に対する虐待・侮辱がある場合に、被相続人の意思に基づいてその相続人の相続資格を剥奪する制度です。

民法は、廃除事由として、推定相続人による被相続人への虐待、重大な侮辱、推定相続人にその他の著しい非行があったときの3類型を定めています。

相続放棄した人も相続人にはなれない?!

相続の放棄は、相続人が相続開始による包括承継の効果を全面的に拒否する意思表示です。

放棄する相続人は、その相続に関しては最初から相続人にならなかったものと扱われることになります。

最初から相続人にならなかったものと扱われるため、相続放棄をした者に子がいた場合であっても、子は代襲相続できません。

 相続放棄をした方が、圧倒的に相続税がお得になるケースが存在する?!

父と母と子1人がおり、父も母も相続税がぎりぎり課税されない程度の資産を有していたところ、父が亡くなったケースを想定します。

このとき、父の遺産を母が相続により取得した場合には、母が亡くなったときに、父の遺産と母の遺産が合算され、相続税が発生する場合があります。

ここで、父の相続の際、母が相続放棄をすることにより、父の遺産を全て子が相続することが考えられます。

こうすることにより、父の遺産を相続税を支払うことなく子が相続し、母が亡くなったときも母の遺産だけでは相続税が発生しないため、結局相続税が発生しないこととすることも考えられます。

相続人でなくても財産を受け取れる人が存在する

相続財産管理人が選任され、残余財産がある場合には、相続人の捜索の公告期間満了後3か月以内に特別縁故者に対する相続財産分与の申立がされ、家庭裁判所はその全部または一部をその者に与えることができます

この特別縁故者の制度により、相続人でなくても相続財産を受け取る者がうまれることになります。

相続人や受遺者を把握するための手続きとは?!

相続人を把握するためには、被相続人の出生から死亡までの全ての戸籍を集め、被相続人に関する相続関係図を作成することが有用です。

また、受遺者の有無を把握するためには、被相続人が遺言を残しているか、遺言が残っていた場合に遺言上において誰かに遺贈していないか、を確認することが有用です。

法定相続人以外にも遺産を相続させたい場合にはどうする?!

相続人以外に遺産を相続させるためには、遺贈という方法があります。

遺贈とは、遺言によって無償で財産的利益を他人に与えることをいいます。

遺贈することにより、遺言において、相続人以外の者に遺産を取得させることができます。

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相続で悩んだら弁護士や税理士に相談するのが良い!

相続で悩んだ場合には、まず、弁護士や税理士に相談するのが有用です。

案件によっては、早く相談していればもっと打つ手はあったにもかかわらず、相談が遅れてしまったことから打つ手が少なくなってしまったケースもあります。

相続で悩んだ場合には、まずは相談という形で、専門家の力を借りた方が良いと思います。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

相続がいざ発生した場合に、誰が相続人になるのか、誰がどれくらいの割合の遺産を受け取れるのかなど困ることも多いかと思います。

法定相続人という制度を理解することで、法律上、誰が相続を受けられるのかを理解しておくと、いざ相続が発生した場合でも、対処がしやすくなることでしょう。

  • この記事を書いた人
篠 昌義(公認会計士/税理士)

篠 昌義(公認会計士/税理士)

株式会社相談室代表取締役。有限責任監査法人トーマツで大企業から中小企業までの監査やコンサルティング、税理士法人で大企業の法人税から個人の所得税まで幅広く実務を担当したのち、自身も経営者としてシェアリングテクノロジー株式会社(東マ:3989)の取締役CFOから代表取締役まで幅広く経験。東証マザーズ上場の責任者を務めるだけでなく、上場後の事業推進、資金調達、M&A、組織改革などを幅広く企業拡大を牽引。 詳しい経歴・プロフィールは当メディアの運営者情報をご覧ください。

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