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【国税OB・税理士監修】相続税は遺産額いくら以上から発生?基礎控除から簡単に計算【2021年最新】

相続税の基礎控除とは?

実は、相続税は、遺産総額が3,000万円を超える場合に発生する可能性があります。

逆にいうと、遺産総額3,000万円までであれば、どんな場合であっても相続税はかからないということになります。

なぜ、3,000万円までは相続税が発生しないのでしょうか?

これには、基礎控除という相続税の制度が関係します。

目次

遺産総額が基礎控除以下なら、相続税は一切かからないし申告も不要!

先ほど3,000万円までは相続税がかからないという話をしましたが、厳密には、以下の計算で算出される基礎控除の額以下であれば、相続税は発生しません

また、この場合には、相続税の申告もする必要がありません。

基礎控除の計算

基礎控除の額=3,000万円+600万円×法定相続人

このように基礎控除の計算式を考えると、あなたが遺産総額何円以上であれば相続税が発生するのかを簡単に計算することができます。

相続税の計算式方法とは?

実際にどのように相続税の額を決定するのかまずは、一般的な相続税計算の計算式をここでは説明します。

相続税の計算は、実はそこまで難しくなく、4ステップで計算できます。

相続税の計算4ステップ

STEP1基礎控除の額を計算

まずは、いきなりですが、基礎控除の計算をします。

基礎控除の額は先ほども説明した通り、以下で計算されます。

基礎控除額の計算

基礎控除の額=3,000万円+600万円×法定相続人

ここで、ひとつ、「法定相続人」というあまり聞き覚えのない単語が出てきました。

法定相続人とは、簡単にいうと法律で定められた相続を受けることができる人のことを指します。

例えば被相続人(亡くなった方)に、配偶者と子供が2人いた場合は、この法定相続人は3人となるといった感じです。

この基礎控除の計算の結果、遺産総額より基礎控除の額の方が高くなるような場合には、このSTEP1で終了になります。

その後相続税の申告もする必要がありません。

法定相続人って何?対象者には誰が含まれるの?

勘違いしないでほしいのは、法定相続人に相続させる必要は必ずしもないということです。

あくまで、法定相続人とは、何かもめ事があった時に、法定相続人を基準に考えるといった争いに備えて設定している意味あいがあるほか、今回のように相続税の計算で利用するために存在すると思ってもらえると良いでしょう。

では、法定相続人は具体的に誰になるのでしょうか。

法定相続人は、被相続人(亡くなった人)の配偶者と、被相続人の血族がなります。

まず、被相続人の配偶者は必ず法定相続人になります。

また、被相続人の血族には、順位があり、順位が高い人が一人でもいればその順位にいる人たちが法定相続人となります。

相続人の順位

第1順位の相続人は,被相続人の子もしくは,その代襲相続人である直系卑属(孫)です。

第2順位の相続人は,被相続人の直系尊属(父母)です。

第3順位の相続人は,被相続人の兄弟姉妹です。

相続人の順位

第1順位に相続人がいないときに、第2順位の血族が相続人となります。

また、第2順位にも相続人がいないときに、第3順位の血族が相続人となります。

 

例えば、被相続人に子供がいた場合は、その子供が問答無用で、法定相続人になります。

被相続人に子供がいないが、母が生きていた場合には、母が第2順位にあたりますので、法定相続人になります。

代襲相続については、後程詳しく説明します。

国税OB岡本先生のOnePointアドバイス

法定相続人の数は先妻の子や内縁等で認知した子がいる場合、齢の兄弟姉妹が相続人になる場合は戸籍をよく調べないと誤ることがあります。

高齢者の兄弟姉妹は既に亡くなられている場合はその子が代襲相続人となりますので、相続人関係が複雑になり遺産分割も含めて生前から遺言書を作成する等の相続対策が必要です。

STEP2課税総額の計算

相続税の計算に戻ります。

次のステップでは課税総額を計算します。

メモ

課税総額 = 遺産総額 ― 基礎控除

で計算される、いうならば税率をかける元となる遺産総額の計算をしているイメージです。

この課税総額が0円以下になれば、相続税は0円となるし、申告も不要であるということを覚えておくとよいでしょう。

STEP3相続税総額の計算

次に相続税総額を計算します。

ここのポイントはなんといっても、法定相続人に法定相続分を相続させたと仮定して、法定相続人ごとに相続税額を計算し、それを足し合わせることで、相続税総額を決定するところです。

いまいちイメージがわかないかもしれませんが、後程、実例で計算をしてみますので、そこで確認してみてください。

法定相続分とは、法定相続人に対して、遺産総額をどれくらいもらえることにするかを法律で定めているものです。

こちらも、法定相続人と同じで、争いに備えて設定している意味あいがあるほか、相続税の計算で利用するために存在すると思ってもらえると良いでしょう。

法定相続分は具体的にどう定められているの?

さて、法定相続分はどう決まっているかを解説します。

■配偶者(夫/妻)と子供が法定相続人の場合は半分ずつ

被相続人の配偶者は、常に相続人となります(民法890条)。

そして、配偶者及び子が相続人のときは、配偶者及び子の相続分は、各2分の1ずつとなります(民法900条1号)。

配偶者と子だけの法定相続分の割合

また、例えば、子供が2人いる場合は、配偶者が2分の1、子供がそれぞれ4分の1ずつという具合に、配偶者以外の方はその人数で均等に割ることになります。

■配偶者(夫/妻)と父母が法定相続人の場合には配偶者2/3、直系尊属1/3

配偶者及び直系尊属が相続人のときは、配偶者が3分の2、直系尊属が3分の1となります(民法900条2号)。

配偶者+父母2人の場合

■配偶者(夫/妻)と兄弟姉妹が法定相続人の場合には配偶者3/4、兄弟姉妹1/4

配偶者及び兄弟姉妹が相続人のときは、配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1となります(民法900条3号)。

配偶者(夫/妻)と兄弟姉妹が法定相続人

STEP4各人の相続税額の計算

いよいよ、最後に各人の相続税額を計算します。

ここでは、STEP3で出した相続税総額を実際に分配する遺産額に応じて按分することになります。

また、配偶者控除や障害者控除といった基礎控除以外の相続税額を直接減額するような効果のある控除もこの最後に按分した相続税総額から差し引くことで最終的に算出いたします。

ちなみに、配偶者控除や障害者控除についての説明ものちほどします。

実例を使って相続税を計算してみましょう

さて、実際に相続税を実例で計算してみるとイメージがわきやすいと思います。

ここでは、遺産総額3億円、配偶者と子ども3人が存在する場合を想定します。

1.基礎控除の額

この場合、法定相続人は4人になりますので、以下で計算します。

計算例

基礎控除 = 3,000万円 + 600万円 × 4人(法定相続人の数) =5,400万円

2.課税総額の計算

計算例

課税総額 = 3億円(遺産総額) ― 5,400万円(基礎控除) = 2億4,600万円

3.相続税総額の計算

A.法定相続分の計算

計算例

・配偶者の法定相続分 = 2億4,600万円 × 1/2 = 1億2,300万円

・子の法定相続分 = 2億4,600万円 × 1/6 = 4,100万円

計算例

B.相続税総額の計算(まずは個別に相続税額を計算しそれを合算します)

計算例

・配偶者の相続税額

1億2,300万円 × 40%(税率) - 1,700万円 =3,220万円

・子一人分の相続税額

4,100万円 × 20%(税率) - 200万円 = 620万円

ここで、税率はそれぞれの法定相続分に応ずる取得金額(今回の場合は配偶者1億2,300万円、子4,100万円)に対応する税率が定められています。

以下の国税庁のHPの表を参考にしてください。

参考:国税庁HP 相続税の税率

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4155.htm

C.相続税総額

計算例

3,220万円 + 620万円 × 3人 = 5,080万円

4.各人の相続税額の計算

相続税総額を取得財産に応じて按分します。

ここでは、配偶者3,000万円、残りの子供たちに9,000万円ずつを相続させるとします。

計算例

配偶者の相続税額(配偶者控除前)5,080万円×3,000万円÷3億円=508万円

配偶者の相続税額(配偶者控除後)508万円-508万円(配偶者控除)=0円

配偶者の課税価格は1億2,300万円だったため、この508万円の全額が配偶者控除で差し引くことができます。

配偶者控除については、後ほど説明しますが、配偶者の課税価格が1.6億円以下であれば、全額を配偶者控除で差し引くことができるという制度になります。

計算例

子(一人分)の相続税額 5,080万円×9,000万円÷3億円=約1,700万円

ここでの計算のポイントは、やはり一度相続税額について、法定相続分を基準として個別に算出し、合計した後で、再度実際に相続する額に応じて相続税額を按分するというところではないでしょうか。

間違いやすい部分なので気を付けましょう。

国税OB岡本先生のOnePointアドバイス

日本の相続税額の計算は、「法定相続分課税方式」という方式を採用しており、亡くなられた方の総遺産額に応じて相続税総額を一度計算してから、実際の財産取得割合により各人の相続税額に按分するという特殊な方式になっています。

ですので、遺産総額がわかっていても、相続人の数がわからないと相続税額を計算できないですし、自身が受け取る遺産の総額だけがわかっても相続税額を計算することはできないのです。

よく「遺産〇〇円もらうんだけど相続税何円くらいかかりますか?」といったご相談がくるのですが、その情報だけでは相続税額を計算することはできません。

基礎控除に関して知っておくべきことや裏技を大公開

基礎控除の計算自体は非常に簡単ですが、知っておくと基礎控除を増やせるような節税対策や、基礎控除の計算で間違えやすいポイントなどもありますので解説していきます。

遺言書などで法定相続人以外に遺贈などがあった場合であっても基礎控除の計算は法定相続人の数をもとに行う

これは、間違いやすいポイントなので改めて確認していただきたいところです。

あくまで相続税額の総額の計算は、法定相続人の数をもとに行います。

なので、実際に誰が相続を受けるのか、遺贈を受けるのかなどは一切関係ありません

ただし、総額の計算の後、各人の相続税額を計算する上では、遺産を受け取る割合が影響してきます。

養子縁組を増やすと基礎控除の額が増える?!

被相続人が養子縁組を行っていた場合、その養子は相続人になります。

なので、養子縁組を増やしておくと、基礎控除額を計算する際の法定相続人のカウントを増やすことができ、結果として基礎控除額を増やすことができます

ただし、ひとつ落とし穴があります。

実は相続税の計算上、基礎控除の計算をする際の法定相続人となる養子の数には上限が定められています。

注意ポイント

  • 被相続人に実子がいる場合・・・法定相続人となる養子の数は1人まで
  • 被相続人に実子がいない場合・・・法定相続人となる養子の数は2人まで

平成27年1月1日以降に発生する相続から基礎控除額の計算式が変更(基礎控除額が大幅に引き下げ)

実は、平成26年12月31日以前は、基礎控除額の計算式は、以下のようになっていました。

参考

5,000万円+1,000万円×法定相続人の数

したがって、基礎控除額は平成27年からかなり引き下げられてしまった形となりました。

古い記事や情報だと、まだこの計算式になっているものもあるかもしれませんので、間違えないように注意しましょう。

遺産総額が基礎控除以下だったら相続税が発生しないからといって、不動産と預貯金しか見ていない人が意外に多い?

相続税の計算に含める相続財産には、不動産や預貯金以外にも手持現金や株式、ゴルフ会員権、車や貴金属のほか、法律上は相続財産とはならない生命保険金や3年以内に贈与を受けた財産なども含まれます。

また、逆に借入金などのマイナスの財産も存在します。

さらには、死亡保険金や死亡退職金というみなし相続財産と呼ばれるものや3年以内に贈与された財産、相続時精算課税制度で贈与された財産なども相続財産に含まれます。

これらを合計した上で、基礎控除の額以下に収まっているかを考える必要があります。

代襲相続って何?

さて、法定相続人の説明のところで、第1順位の相続人には、被相続人の子もしくは、その代襲相続人である直系卑属があたるという話がでてきました。

そもそも代襲相続とは何でしょうか。

代襲相続とは、相続人となるべきであった者の子が、その者に代わって、その者の受けるべき相続分を相続することをいいます。

したがって、例えば、父が亡くなり、子が相続人となるべきところ、子が父よりも前に亡くなっていた時には、代襲相続により、孫が父の相続人となります。

ちなみに、孫が2人以上いた場合には、その人数分が法定相続人にカウントされます。

また、相続欠格や相続廃除という相続権を失うようなケースの場合も、その子が代襲相続することができます。

一方で、相続放棄という、相続を本人の意思で放棄する制度もありますが、相続放棄をした人に子供がいた場合でも、代襲相続はできないことになっています。

そのかわり、相続放棄をした場合には、基礎控除の計算上その相続放棄をした人も法定相続人の数にカウントしてもよいことになっていますので間違えないように注意してください。

ちなみに代襲相続のパターンは以下のようなパターンがあります。

代襲相続のパターン

1 被相続人の子→被相続人の孫

2 被相続人の父母→被相続人の祖父母

3 被相続人の兄弟姉妹→兄弟姉妹の子(甥や姪)

相続欠格、相続廃除、相続放棄

先ほど代襲相続の説明ででてきた、相続欠格、相続廃除、相続放棄について説明します。

相続欠格とは,相続秩序を侵害する非行をした相続人の相続権を,法律上当然に剥奪する制度です。

相続欠格となる者は、これに当てはまる人です。

相続欠格になる人とは?

1 故意に被相続人又は先順位・同順位にある相続人を死亡するに至らせ,又は至らせようとしたために,刑に処せられた者

2 被相続人が殺害されたことを知って,これを告発せず,又は告訴しなかった者

3 詐欺又は強迫によって,被相続人が相続に関する遺言をし,撤回し,取り消し,又は変更することを妨げた者

4 詐欺又は強迫によって,被相続人に相続に関する遺言をさせ,撤回させ,取り消させ,又は変更させた者

5 相続に関する被相続人の遺言書を偽造し.変造し,破棄し,又は隠匿した者

相続欠格の効果は、法律上当然に相続権を失う、というものです。

一方で相続廃除とは、遺留分を有する推定相続人(配偶者,子,直系尊属)に非行や被相続人に対する虐待・侮辱がある場合に,被相続人の意思に基づいてその相続人の相続資格を剥奪する制度です。

民法は,廃除事由として,推定相続人による被相続人への虐待,重大な侮辱,推定相続人にその他の著しい非行があったときの3類型を定めています。

相続放棄は,相続人が相続開始による包括承継の効果を全面的に拒否する意思表示です。

放棄する相続人は,その相続に関しては最初から相続人にならなかったものと扱われることになります。

ちなみに相続放棄は、被相続人の債務の内容が不明なので、なくべく関与したくないという場合などによく利用されます。

国税OB岡本先生のOnePointアドバイス

遺産分割協議で自らが相続しないという意思表示を行うことは相続放棄とは違います。

よく誤解されている方がいらっしゃいますので注意してください。

ちなみに、相続放棄は相続があった日から3か月以内に家庭裁判所に申述する必要があります。

相続放棄をする前のこの3か月の期間を熟慮期間と呼び、この熟慮期間に被相続人の家財を処分(メルカリに出品等)したり、自動車の名義変更手続(相続後使用も含む)などを行ってしまうと、単純承認したとみなされ相続放棄できなくなりますので、注意が必要です。

基礎控除以外の相続税の税金が優遇される特例には他に何がある?知っておくと節税につながるかも?

基礎控除は誰もが使える非常に優れた税制優遇です。しかし、基礎控除以外にも税金が優遇される特例が相続税には多々存在しますので、紹介していきたいと思います。

配偶者控除を使うことで、配偶者はよほどのことがない限り相続税は0円になる

実は、配偶者控除という税額控除があります。

簡単に説明すると、夫が亡くなった時に奥さんは夫の遺産を1.6億円までは無税、つまり相続税を支払わずに受け取ることができる制度です。

つまり、実質ほとんどのケースで、亡くなった方の配偶者は亡くなった方の遺産について、相続税を支払わず、好きなだけ受け取ることができるということです。

さらに、1.6億円を超えたとしても法定相続分までは無税となるというルールがあるところもポイントの一つです。

したがって、法定相続分を超えて配偶者に多くの遺産を相続させる場合でかつ、1.6億円を超える場合には、相続税がかかるということになります。

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障害者控除も見逃しやすいので注意が必要

障害者控除という制度は、相続人が85歳未満の障害者の場合に税額控除を受けることができる制度です。

障害者控除の額は、「(85歳―相続時の年齢)×10万円

ちなみに、この10万円という額は一般障害者の場合であり、特別障害者はこの10万円が20万円となります。

税理士をつけていたとしても、相続人が障害者かどうかパット見で判断できない、本人に障害者かどうかを聞くのは失礼にあたるためなかなか聞けないという理由で、障害者控除を見逃すことがあるようですので、障害者控除にあてはまる要件などはあらかじめ確認しておくことがおすすめです。

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未成年者控除

未成年者控除とは、相続人が未成年者である場合、税額控除を受けられるという制度です。

控除の額は、「(20歳―相続時の年齢)×10万円」で算出されます。

相次相続控除

相続が発生してから10年以内に相続が発生した場合に、一定の金額を控除することができる制度を相次相続控除と言います。

相次相続控除の計算式は少し複雑です。

参考

A×C÷(B-A)×D÷C×(10-E)÷10=相次相続控除額

A:二次相続の被相続人が一次相続で課された相続税額

B:二次相続の被相続人が一次相続で取得した財産額

C:二次相続の相続財産の合計額

D:相次相続控除を受ける相続人が二次相続で取得する財産額

E:一次相続から二次相続までの期間(1年未満は切り捨て)

ただし、B-AよりもCの方が大きい場合、Cの値はB-Aとなります。

贈与税額控除

相続により財産を取得した人が、亡くなる3年前以内に被相続人から贈与を受けていた場合に、その贈与額を相続税の課税価格に加算して、相続税額を計算することになります。

しかし、これで計算した相続税額をそのまま支払ってしまうと、相続税と贈与税が二重にとられてしまうので、相続税額から贈与時に支払った贈与税を差し引くことができます

これを贈与税額控除とよびます。

相続時精算課税制度による贈与の税額控除

相続時精算課税制度とは、親などが子供などに対して財産を贈与する際に2,500万円までは無税で贈与できるという制度です。

この制度を利用しても、2,500万円を超えた分については贈与税が発生します。

この贈与税についても、贈与税額控除と同様に相続税額から差し引くことができるという制度が「相続時精算課税制度による贈与の税額控除」になります。

ちなみに、相続時精算課税制度は一般的には節税効果はないと言われており、あまり利用している人がいないのが現状です。

国税OB岡本先生のOnePointアドバイス

相続時精算課税制度を適用して贈与を受けた場合は将来的に相続財産に加算して計算しなければならず、制度適用後は110万円の基礎控除は適用できなくなるので一般的に節税効果が少ないのは確かです。

ただし将来値上がりが予想される財産及び賃貸不動や株式など収益を生む財産の場合は節税になる場合もあります。

また生前の意思による分割の前倒しにもなりますので家族構成や財産内容次第でご検討するのが良いと思います。

外国税額控除

国外にある財産を相続により取得した場合は、外国でも相続税のような税金を支払う可能性があります。

すでに外国で相続税のような税金を支払っている場合には、相続税から一定の金額を差し引くことができるという制度が外国税額控除になります。

小規模宅地等の特例

一定の要件を満たす居住用や事業用の小規模宅地等を相続する場合、その相続税評価額を最大で80%まで減額することができる制度が小規模宅地等の特例とよばれるものです。

要件を確認しておくと節税につながる可能性があります。

参考:国税庁HP

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4124.htm

基礎控除以外の控除を使って結果的に相続税が0円になる場合は申告が必要?

実は、障害者控除、未成年控除、相次相続控除を利用して、結果的に相続税が0円になる場合には、ルール上は相続税の申告は不要です。(遺産総額が基礎控除以下の場合、相続税申告が不要というのとルール上は一緒)

一方で、配偶者控除や小規模宅地等の特例を利用して、結果として相続税が0円になるケースでは、相続税の申告が必要になります。

ですが、現実的には障害者控除などを利用した結果、申告義務がない旨の回答を税務署に行っておくことが望ましいです。

国税OB岡本先生のOnePointアドバイス

ネットを見ていると、障害者控除などを適用した結果、相続人全員の相続税額が0円となる場合には相続税申告は不要と言い切っている記事が散見されます。

税法上は不要であることは間違いないのですが、現実的には、納税がない場合でも 、税務署からお尋ね文書が送付されている場合はその旨を記載し提出するか、税理士等を通じて税務署に障害者控除などの適用により申告義務がない旨の回答をしておくことが望ましいです。

もし納税が出るかギリギリのラインであれば申告しておくのも良いかも知れません

なぜなら税務署は被相続人の基礎控除を超える財産があることは概ね把握することは出来ますが、相続人が障害者に該当するかどうかは把握していません。

障害者控除は高額な税額控除なので、納税が生じないと言っても基礎控除を大きく上回る遺産がある場合、後日に調査を受ける可能性が高くなってしまいます。

相続税を計算する上で、知っておきたいことや注意点とは?

相続税を計算する上で、様々な用語や、誤解を招きやすいポイントがありますので、ここで説明します。

相続税節税のための第一歩は累進課税という税率を考えること。生前贈与も駆使しよう

相続税節税の第一歩はなんといっても、将来支払う相続税がどれくらいになりそうなのかを事前に知ることにあります。

相続税は基礎控除を超えた分に対しては、金額が大きくなればなるほど多額の税金が発生するという累進課税制度を採用しています。

相続税の速算表

参考:国税庁HP 相続税の税率

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4155.htm

 

一方で贈与税も、相続税と同じように基礎控除が110万円を超えた分に対して、以下のような税率で税金が発生する仕組みになっています(一般贈与財産の場合)。

こちらも、金額が大きくなればなるほど税率が上がる累進課税制度が採用されています。

贈与税の課税価格表

参考:国税庁HP

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4408.htm

相続税と贈与税の税率を見ればなんとなく節税方法がわかってきたのではないでしょうか。

例えば、相続が相当多額に発生することがわかっている場合には、贈与税を支払ってでもいいので、こつこつ、被相続人となる人の財産を生前に贈与しておいた方が得になるケースがあるということです。

相続税を節税するためには、宅地や土地などの評価方法が非常に重要に!

さて、相続の遺産総額が基礎控除以下になれば相続税は発生しませんし、できる限り遺産総額が少なければ相続税の支払いを少なくすませることができます。

そこで、重要になってくるのが不動産の相続税評価額です。

相続税評価額の計算は実は、様々な方法や特例があり、それらを組み合わせることで、相続税評価額を大きく下げられる可能性があるケースが多々あります。

国税OB岡本先生のOnePointアドバイス

相続税評価額は固定資産税評価額とは違います。

「不動産の相続税評価額=固定資産税評価額」と勘違いしている方が多くいらっしゃいますので注意してください。

一概には言えませんが、相続税評価額の方が固定資産税評価額より高くなってしまうケースが多いですので、固定資産税評価額を見て、基礎控除以内に収まっているから相続税は発生しないと安易に考えないようにしてください。

相続税の申告と納税

相続人は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内に相続税の申告・納税をする必要があります。

なお、金銭での納付が困難な場合には、延納制度を活用できる可能性があるほか、ほとんど使われていませんが物納制度も設けられてはいます。

また、被相続人が所得税・消費税などを申告しなければならない人であった場合は、相続人は被相続人が死亡した日の翌日から4か月以内に確定申告をしなければならないことも合わせて覚えておきましょう(準確定申告)。

相続税に関して困ったら迷わず税理士に相談を

相続税に困ったら、相続税に強い税理士に迷わず相談しましょう。

「税理士への報酬支払が高いんじゃないか」と躊躇する必要はありません。

税理士に依頼することで相続税の支払いを抑えることができるかどうかを、税理士に相談すると良いでしょう。

そうすれば報酬支払以上に得する効果の方が高いかどうかを事前に確認することもできるでしょう。

また、相続税の申告については約8割の人が税理士に依頼しているという実態がありますので、税理士に依頼しない方は少数派ということも理解しておく必要があります。

さらには、相続税申告者のうち約2割の人に税務調査が入っているという実態もあなどれません。

相続税で失敗しないためにも、税理士への相談は躊躇なくすべきと言えると思います。

税務署職員に聞きながら相続税申告書を作成するのはあり?

よく、税務署に何度も通って職員に聞きながら相続税申告書を作成する方がいらっしゃいますが、正直おすすめできません

また、そもそも相続税の申告は短時間の相談で作成できるものではありません。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

基礎控除を理解し、自分がどれくらい相続税を支払う必要があるのか、早い段階で確認しておくことが重要です。

国税OB 岡本先生

国税OB 岡本先生

国税OB 岡本先生

税理士・行政書士

大学卒業後、平成7年に名古屋国税局に入局後、東海4県下の各税務署及び国税庁税務大学校などの勤務を経て早期退職し、令和元年9月に税理士事務所を開業。

国税組織の中では主に資産課税部門に従事し、数多くの相続税や譲渡所得の調査等に携わってきた経験から、資産課税の実務及び税務調査の立ち会い等を得意分野とする。

岡本篤典税理士・行政書士事務所

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いつでも、ご相談お待ちしております。

  • この記事を書いた人
篠 昌義(公認会計士/税理士)

篠 昌義(公認会計士/税理士)

株式会社相談室代表取締役。有限責任監査法人トーマツで大企業から中小企業までの監査やコンサルティング、税理士法人で大企業の法人税から個人の所得税まで幅広く実務を担当したのち、自身も経営者としてシェアリングテクノロジー株式会社(東マ:3989)の取締役CFOから代表取締役まで幅広く経験。東証マザーズ上場の責任者を務めるだけでなく、上場後の事業推進、資金調達、M&A、組織改革などを幅広く企業拡大を牽引。 詳しい経歴・プロフィールは当メディアの運営者情報をご覧ください。

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