相続税の早見表というものが存在します。
これは、相続税の簡易的な額を確認するためには非常に有効です。
相続税の早見表を使いこなせるようにして、将来支払わないとダメな相続税がどれくらい発生しているのか事前に調べておくことをおすすめします。
今回は、相続税の早見表とその使い方、見方などをわかりやすく解説していきます。
▼この記事でわかること
・相続税の早見表を使えば、簡易的な相続税額を把握することができる
・相続税申告が必要な人は税理士に依頼しないと危険
相続税早見表とは?
そもそも相続税の早見表とはどんなものなのでしょうか。
まず一般的な二つの早見表をご紹介します。
相続人が配偶者と子供の場合
相続人が子供だけの場合
次以降で、具体的な使い方をご紹介いたしますが、この早見表を用いれば、遺産総額に対して、全員で支払わなければならない相続税の総額が確認できるということを、まずは、理解しておきましょう。
相続税早見表を使えるのは、子供がいる場合のみ?使える条件とは?
相続税早見表を利用する場合に、注意しなければならないのは、ずばり条件です。
この条件通りに相続を行うという仮定で計算していますので、イレギュラーがある場合には、この表は利用できないということに注意しましょう。
相続税早見表は以下のような条件、場合に使える表になっています。
早見表が使える条件
- 子供が存在する場合
- 遺産総額の半分を配偶者に相続する場合(配偶者は法定相続分通りに相続させる場合)
まず、一般的な相続税早見表は、子供がいる場合にのみ使えます。
(後の章で子供がいない場合の早見表も紹介しています。)
したがって、子供が一切いない場合には使えないということに注意しましょう。
そして、もう一つ重要なことは、この早見表は法定相続分どおりに配偶者に遺産分割をした場合に利用できるという点です。
法定相続分とは、法律で定められた相続割合の基準のようなものと理解してもらえば結構です。
子どもがいる場合には、配偶者に半分を、子供全員合わせて半分を相続させるというのが法定相続分になっています。
したがって、例えば、子供3人いる場合には、配偶者半分、子供1/6ずつといった感じで法定相続分を計算することができます。
配偶者は法定相続分以下の相続に対してはそれにかかる相続税はゼロになるという配偶者控除の制度があります。
この配偶者控除の制度を利用した時の、相続税総額の早見表であることを理解しなければなりません。
相続税の計算を早見表を使って実際にしてみましょう
ここで、具体的にこの早見表を利用してみましょう。
例えば、遺産総額6,000万円を、配偶者に3,000万円、子供Aに2,000万円、子供Bに1,000万円、子供Cに0円相続するとします。
この場合、子供が存在しかつ、配偶者に遺産総額の半分(法定相続分どおり)を相続させることになっていますので、この早見表を利用できます。
早見表では、配偶者あり、子供3人、遺産総額6,000万円のところを見ると、相続税総額が30万円となっています。
実際に相続税を支払う人は、子供Aと子供Bで、それぞれ以下のように計算されるといった感じです。
計算例
配偶者:0円
子供A:30万円÷(2,000万円+1,000万円)×2,000万円=20万円
子供B:30万円÷(2,000万円+1,000万円)×1,000万円=10万円
子供C:0円
相続税の計算は意外に複雑
そもそも、なぜ相続税の早見表が存在するのでしょうか。
実は、相続税の計算は少し複雑になっており、単純に税率をかければいいというものではないというのが理由になっています。
具体的な計算方法はのちほどご説明いたします。
相続税早見表があればだいたいの相続税額がすぐに計算できる
相続税早見表があればだいたいの相続税額がすぐに計算できます。
例えば、実際には遺産総額が8,500万円と、ここにない金額であったとしても、だいたい真ん中くらいの金額であると考えておけば間違いありません。
また、条件である配偶者に半分を相続させることや、子供がいることなども、だいたいの相続のケースでは当てはまると考えられます。
ですので、この早見表は多くのケースで相続税総額の概算を出す時に利用できることになるというのは言えるかと思います。
そもそも相続税の仕組みの基本とは?
さて、そもそも相続税の計算の仕組みを知っておくと、この相続税の早見表がどういうものなのかを理解できるため、ここでは紹介します。
また、この相続税の早見表を利用できないケースであったとしても、計算方法さえ知っておけば、自分で計算することができますので、知っておくべきといえます。
相続財産が多ければ多いほど税率が高くなる累進課税方式が採用されている
相続総額の計算は、課税総額が高ければ高いほど、税率が高くなるといった累進課税方式が採用されています。
したがって、5億の遺産総額のところを早見表でみてみると1億を超えるような多額な相続税総額になってしまっている一方で、5,000万円だとほんの少額の相続税総額ですむといった現象が起こります。
基礎控除の額以上であれば、相続税がかからない、相続税申告が必要ない
遺産総額5,000万円で、配偶者、子供3人の場合、早見表を見ると「-」となっています。
これは、相続税が発生しないということです。
この場合、実は相続税の申告も必要はありません。
では、なぜ相続税が発生しないのでしょうか。
これには基礎控除という制度が大きくかかわっています。
簡単に説明しますと、遺産総額のうち、基礎控除を超えている部分に相続税が発生します。
ですので、逆にいうと基礎控除を遺産総額が超えていなければ相続税は0円ですむということです。
基礎控除の額の計算式は以下で表されます。
基礎控除の額の計算式
基礎控除=3,000万円+600万円×法定相続人の数
配偶者、子供3人の場合、法定相続人は4人となり、計算式にあてはめると、
基礎控除=3,000万円+600万円×4人=5,400万円
となります。
これは5,000万円を上回っていますので、相続税は発生しないという感じです。
遺産総額の集計は注意?!不動産や預貯金だけではない!
早見表を利用するにあたって、非常に重要なことがもう一つあります。
それが遺産総額です。
遺産総額は相続財産の総額にあたりますが、相続財産は、預貯金や不動産だけだと思っていませんか?
相続税の計算に含める相続財産には、不動産や預貯金以外にも手持現金や株式、ゴルフ会員権、車や貴金属のほか、法律上は相続財産とはならない生命保険金や3年以内に贈与を受けた財産なども含まれます。
また、逆に借入金などのマイナスの財産も存在します。
さらには、死亡保険金や死亡退職金というみなし相続財産と呼ばれるものや3年以内に贈与された財産、相続時精算課税制度で贈与された財産なども相続財産に含まれます。
これらを合計した金額が遺産総額になるということに注意してください。
相続税の配偶者控除の存在は大きい
早見表の説明でも少し出しましたが、配偶者控除という制度も必ず覚えておかなければならない重要な税額軽減の制度です。
これは、配偶者は法定相続分までの相続に関しては一切相続税がかからないという税額軽減制度になっています。
また、法定相続分を超えたとしても、1.6億円までの相続に関しては配偶者には一切相続税は発生しません。
そもそも相続税の計算はどうやるの?
では、具体的な相続税の計算をここからは説明します。
この計算式をマスターしておけば、相続税の早見表がなくても相続税の計算を自分ですることができます。
相続税の計算は、実はそこまで難しくなく、4ステップで計算できます。
STEP1基礎控除の額を計算
まずは、いきなりですが、基礎控除の計算をします。
基礎控除の額は先ほども説明した通り、以下で計算されます。
基礎控除の額の計算式
基礎控除=3,000万円+600万円×法定相続人の数
ここで、ひとつ、「法定相続人」というあまり聞き覚えのない単語が出てきました。
法定相続人とは、簡単にいうと法律で定められた相続を受けることができる人のことを指します。
例えば被相続人(亡くなった方)に、配偶者と子供が2人いた場合は、この法定相続人は3人となるといった感じです。
この基礎控除の計算の結果、遺産総額より基礎控除の額の方が高くなるような場合には、このSTEP1で終了になります。
その後相続税の申告もする必要がありません。
法定相続人って何?対象者には誰が含まれるの?
法定相続人とは、亡くなった人の遺産を取得できる人、つまり相続人になる人を民法で定めているものです。
勘違いしないでほしいのは、法定相続人に法定相続分通りに相続させる必要は必ずしもないということです。
では、法定相続人は具体的に誰になるのでしょうか。
法定相続人は、被相続人(亡くなった人)の配偶者と、被相続人の血族がなります。
まず、被相続人の配偶者は必ず法定相続人になります。
また、被相続人の血族には、順位があり、順位が高い人が一人でもいればその順位にいる人たちが法定相続人となります。
相続人の順位
第1順位の相続人は,被相続人の子もしくは,その代襲相続人である直系卑属(孫)です。
第2順位の相続人は,被相続人の直系尊属(父母)です。
第3順位の相続人は,被相続人の兄弟姉妹です。
第1順位に相続人がいないときに、第2順位の血族が相続人となります。
また、第2順位にも相続人がいないときに、第3順位の血族が相続人となります。
例えば、被相続人に子供がいた場合は、その子供が問答無用で、法定相続人になります。
被相続人に子供がいないが、母が生きていた場合には、母が第2順位にあたりますので、法定相続人になります。
代襲相続については、後程詳しく説明します。
国税OB岡本先生のOnePointアドバイス
法定相続人の数は先妻の子や内縁等で認知した子がいる場合、齢の兄弟姉妹が相続人になる場合は戸籍をよく調べないと誤ることがあります。
高齢者の兄弟姉妹は既に亡くなられている場合はその子が代襲相続人となりますので、相続人関係が複雑になり遺産分割も含めて生前から遺言書を作成する等の相続対策が必要です。
STEP2課税総額の計算
相続税の計算に戻ります。
次のステップでは課税総額を計算します。
課税総額の計算式
課税総額 = 遺産総額 ― 基礎控除
で計算される、いうならば税率をかける元となる遺産総額の計算をしているイメージです。
この課税総額が0円以下になれば、相続税は0円となるし、申告も不要であるということを覚えておくとよいでしょう。
STEP3相続税総額の計算
次に相続税総額を計算します。
ここのポイントはなんといっても、法定相続人に法定相続分を相続させたと仮定して、法定相続人ごとに相続税額を計算し、それを足し合わせることで、相続税総額を決定するところです。
いまいちイメージがわかないかもしれませんが、後程、実例で計算をしてみますので、そこで確認してみてください。
法定相続分とは、法定相続人に対して、遺産総額をどれくらいもらえることにするかを法律で定めているものです。
こちらも、法定相続人と同じで、争いに備えて遺産の分け方の目安を民法で定めているもので、相続税の計算にもこの考え方を取り入れています。
あくまで目安のため法定相続分通りに遺産分割を行う必要はありません。
法定相続分は具体的にどう定められているの?
さて、法定相続分はどう決まっているかを解説します。
配偶者(夫/妻)と子供が法定相続人の場合は半分ずつ
被相続人の配偶者は、常に相続人となります(民法890条)。
そして、配偶者及び子が相続人のときは、配偶者及び子の相続分は、各2分の1ずつとなります(民法900条1号)。
配偶者(夫/妻)と父母が法定相続人の場合には配偶者2/3、直系尊属1/3
配偶者及び直系尊属が相続人のときは、配偶者が3分の2、直系尊属が3分の1となります(民法900条2号)。
配偶者(夫/妻)と兄弟姉妹が法定相続人の場合には配偶者3/4、兄弟姉妹1/4
配偶者及び兄弟姉妹が相続人のときは、配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1となります(民法900条3号)。
また、例えば、子供が2人いる場合は、配偶者が2分の1、子供がそれぞれ4分の1ずつという具合に、配偶者以外の方はその人数で均等に割ることになります。
STEP4各人の相続税額の計算
いよいよ、最後に各人の相続税額を計算します。
ここでは、STEP3で出した相続税総額を実際に分配する遺産額に応じて按分することになります。
また、配偶者控除や障害者控除といった基礎控除以外の相続税額を直接減額するような効果のある控除もこの最後に按分した相続税総額から差し引くことで最終的に算出します。
ちなみに、配偶者控除や障害者控除についての説明ものちほどします。
実例を使って相続税を計算してみましょう
さて、実際に相続税を実例で計算してみるとイメージがわきやすいと思います。
ここでは、遺産総額3億円、配偶者と子ども3人が存在する場合を想定します。
- 基礎控除の額
この場合、法定相続人は4人になりますので、以下で計算します。
計算例
基礎控除 = 3,000万円 + 600万円 × 4人(法定相続人の数) =5,400万円
- 課税総額の計算
計算例
課税総額 = 3億円(遺産総額) ― 5,400万円(基礎控除) = 2億4,600万円
- 相続税総額の計算
計算例
A法定相続分の計算
配偶者の法定相続分 = 2億4,600万円 × 1/2 = 1億2,300万円
子の法定相続分 = 2億4,600万円 × 1/6 = 4,100万円
計算例
B相続税総額の計算(まずは個別に相続税額を計算しそれを合算します)
・配偶者の相続税額
1億2,300万円 × 40%(税率) ― 1,700万円 =3,220万円
・子一人分の相続税額
4,100万円 × 20%(税率) - 200万円 = 620万円
ここで、税率はそれぞれの法定相続分に応ずる取得金額(今回の場合は配偶者1億2,300万円、子4,100万円)に対応する税率が定められています。
以下の国税庁のHPの表を参考にしてください。
参考:国税庁HP 相続税の税率
計算例
C相続税総額
3,220万円 + 620万円 × 3人 = 5,080万円
- 各人の相続税額の計算
相続税総額を取得財産に応じて按分します。
ここでは、配偶者3,000万円、残りの子供たちに9,000万円ずつを相続させるとします。
計算例
配偶者の相続税額(配偶者控除前)5,080万円×3,000万円÷3億円=508万円
配偶者の相続税額(配偶者控除後)508万円-508万円(配偶者控除)=0円
配偶者の課税価格は1億2,300万円だったため、この508万円の全額が配偶者控除で差し引くことができます。
配偶者控除については、後ほど説明しますが、配偶者の課税価格が1.6億円以下であれば、全額を配偶者控除で差し引くことができるという制度になります。
計算例
子(一人分)の相続税額 5,080万円×9,000万円÷3億円=約1,700万円
ここでの計算のポイントは、やはり一度相続税額について、法定相続分を基準として個別に算出し、合計した後で、再度実際に相続する額に応じて相続税額を按分するというところではないでしょうか。
間違いやすい部分なので気を付けましょう。
国税OB岡本先生のOnePointアドバイス
日本の相続税額の計算は、「法定相続分課税方式」という方式を採用しており、亡くなられた方の総遺産額に応じて相続税総額を一度計算してから、実際の財産取得割合により各人の相続税額に按分するという特殊な方式になっています。
ですので、遺産総額がわかっていても、相続人の数がわからないと相続税額を計算できないですし、自身が受け取る遺産の総額だけがわかっても相続税額を計算することはできないのです。
よく「遺産〇〇円もらうんだけど相続税何円くらいかかりますか?」といったご相談がくるのですが、その情報だけでは相続税額を計算することはできません。
相続税早見表が使えないケースはどうすればよいの?
相続税早見表が使えないケースでは、基本的に、先ほど説明した方法で、自分で計算するしかありません。
ですが、少し応用すれば早見表を使えるケースなどもあるため、ご説明します。
子どもが5人以上の場合はどうやって計算する?
子供が5人以上の場合には、基本的には自分で計算するしか方法はありません。
ただし、本当に概算であれば、早見表を延長することで、なんとなくの金額を把握することは可能です。
子どもがいないけど、孫がいるケースでは使えるのか?
子供がいないけど、孫がいるケースでも、相続税の早見表が利用できる可能性があります。
さきほどの、法定相続人の数のところで、孫がいる場合は代襲相続という制度を利用し、孫を法定相続人に含めることができるという話がちらっとでてきました。
実は代襲相続を利用した場合については、孫の数を子供の数と置き換えれば早見表を利用することができます。
ちなみに2割加算というルールがあり、兄弟姉妹が相続人となるケースや、孫を養子縁組しているようなケースでは、相続税負担が重くなりますので、この早見表が使えません。
子供なし、孫無しの場合はどうする?(その他のパターンの早見表もある)
子供がいない場合には、直系尊属(父母)が、直系尊属がいない場合には兄弟姉妹がそれぞれ相続順位2位、3位になるということになっています。
この場合の早見表もありますので、紹介しておきます。
相続人が配偶者と親の場合
相続人が親だけの場合
相続人が配偶者と兄弟姉妹(甥姪含む)の場合
相続人が兄弟姉妹(甥姪含む)だけの場合
相続税計算における注意点や、相続税対策の豆知識を解説
ここからは、相続計算における注意点や、相続税対策に関する豆知識を紹介していきます。
基礎控除の額の計算式を改正前で使わないように注意
実は、平成26年12月31日以前は、基礎控除額の計算式は、以下のようになっていました。
参考
5,000万円+1,000万円×法定相続人の数
したがって、基礎控除額は平成27年からかなり引き下げられてしまった形となりました。
古い記事や情報だと、まだこの計算式になっているものもあるかもしれませんので、間違えないように注意しましょう。
二次相続のあるケースには注意
配偶者控除を使えば、ほとんどのケースで配偶者は相続税を支払わなくてよいということになります。
そこで、配偶者に沢山相続させてしまうというケースも考えられるかもしれませんが、そんな時に問題になるケースが、その配偶者が亡くなった時の相続(二次相続)です。
例えば、夫に1億円の財産があり、妻に2億円の財産があるような場合で、夫が亡くなったとしたら、法定相続分を考えると、子供に5,000万円、妻に5,000万円の相続が発生することになります。
妻の5,000万円は配偶者控除により実質相続税がかかりませんが、気を付けたいのは、妻はこれにより2億5,000万円の財産に増えるということです。
この妻が亡くなった時には、この2億5,000万円を遺産として子に相続されてしまうことになります。
これは相当な税負担になってしまいます。
したがって、二次相続も考えた上で、できる限り、一次相続の段階で子にも相続させておいた方が有利になる可能性があるということです。
また、妻の方がどれくらい生きているかわからないということもあるので、妻にもある程度財産を持ってもらいたいということもあります。
なので、一般的には、法定相続分で一次相続をした後、二次相続に備えて、例えば月310万円ずつ子に贈与をしておき、相続税が多額に発生しないように、相続対策をしておくなどという方法(贈与税の税率が10%で収まる範囲内で贈与しておく方法)がよくとられます。
実際には、親子間の関係性や相続人間の感情が影響するめ、贈与は思ったようには動かないというのがよくあるケースなので、十分に親族間で話し合いをしておくことが実務上重要になってきます。
相続税対策のために生前贈与を駆使すべき理由は、相続税と贈与税の税率にある?!
相続税節税の第一歩はなんといっても、将来支払う相続税がどれくらいになりそうなのかを事前に知ることにあります。
相続税は基礎控除を超えた分に対しては、金額が大きくなればなるほど多額の税金が発生するという累進課税制度を採用しています。
参考:国税庁HP 相続税の税率
一方で贈与税も、相続税と同じように基礎控除が110万円を超えた分に対して、以下のような税率で税金が発生する仕組みになっています。
こちらも、金額が大きくなればなるほど税率が上がる累進課税制度が採用されています。
一般贈与財産の場合
特例贈与財産の場合
ちなみに、一般贈与財産の場合の速算表は、例えば、兄弟間の贈与、夫婦間の贈与、親から子への贈与で子が未成年者の場合などに使用します。
また、特例贈与財産の場合の速算表は、直系尊属(祖父母や父母など)から、その年の1月1日において20歳以上の者(子・孫など)※への贈与税の計算に使用します。
参考:国税庁HP
相続税と贈与税の税率を見ればなんとなく節税方法がわかってきたのではないでしょうか。
例えば、相続が相当多額に発生することがわかっている場合には、贈与税を支払ってでもいいので、こつこつ、被相続人となる人の財産を生前に贈与しておいた方が得になるケースがあるということです。
迷ったら税理士に相談すべき
色々と相続税に関しては、複雑な計算が絡んできます。
そこで税理士に相談するかどうかという話がでてきます。
不動産の相続税評価額の計算ができないと相続税計算は進められない
実は、今回のように早見表を利用するときに、まず悩むのが遺産総額です。
遺産の中でも、不動産の相続税評価額には特に注意が必要です。
不動産の相続税評価額の計算は実は、様々な方法や特例があり、それらを組み合わせることで、相続税評価額を大きく下げられる可能性があるケースが多々あります。
この相続税評価額の計算が得意な税理士に依頼するのが非常に重要です。
相続税評価額の算定のタイミングこそが最も税理士に依頼することで節税につながる可能性が高くなるタイミングといえると思います。
国税OB岡本先生のOnePointアドバイス
相続税評価額は固定資産税評価額とは違います。
「不動産の相続税評価額=固定資産税評価額」と勘違いしている方が多くいらっしゃいますので注意してください。
一概には言えませんが、相続税評価額の方が固定資産税評価額より高くなってしまうケースが多いですので、固定資産税評価額を見て、基礎控除以内に収まっているから相続税は発生しないと安易に考えないようにしてください。
相続税の申告も税理士に依頼すべき
相続税の申告については約8割の人が税理士に依頼しているという実態がありますので、税理士に依頼しない方は少数派ということも理解しておく必要があります。
さらには、相続税申告者のうち約2割の人に税務調査が入っているという実態もあなどれません。
相続税で失敗しないためにも、税理士への相談は躊躇なくすべきと言えると思います。
よく、税務署に何度も通って職員に聞きながら相続税申告書を作成する方がいらっしゃいますが、正直おすすめできません。
また、そもそも相続税の申告は短時間の相談で作成できるものではありません。
ですので、相続税の申告は税理士に依頼した方が良いと言えます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
相続税の早見表を使いこなして、概算で相続税がどれくらいかかるかをしっかりと把握しておきましょう。
国税OB 岡本先生
国税OB 岡本先生
税理士・行政書士
大学卒業後、平成7年に名古屋国税局に入局後、東海4県下の各税務署及び国税庁税務大学校などの勤務を経て早期退職し、令和元年9月に税理士事務所を開業。
国税組織の中では主に資産課税部門に従事し、数多くの相続税や譲渡所得の調査等に携わってきた経験から、資産課税の実務及び税務調査の立ち会い等を得意分野とする。
相続税の相談は初回無料で受け付けております。
また、財産の評価が分かれば簡便的な方法で相続税額を試算します。(無料)
不動産や株式などが複数あって個別に財産評価をしない場合は有料(5万円~)にて相続税額シュミレーションを行っています。
いつでも、ご相談お待ちしております。