綾辻行人といえば、推理小説に興味のある方なら一度は読んだことがあるかと思います。
しかし長年活躍されているため作品数も多く、次にどの作品を読めばいいのかわからない方も多いです。
そのため、この記事では綾辻作品のファン32名の方に取ったアンケートをもとに、次に読むべきおすすめ作品をまとめたので紹介します!
この記事を読めば、自分の求める綾辻作品をすぐに選ぶことができます。
ぜひ、綾辻作品で日常から外れた緊張感や興奮を存分に味わってみてください!
ファンが選んだ綾辻行人のおすすめ作品5選!
綾辻行人先生のファンの方々に実施したアンケートをもとにおすすめ作品5選を絞り込みましたので、紹介します!
▼本稿の綾辻行人おすすめ作品
1.十角館の殺人
2.時計館の殺人
3.Another
4.霧越邸殺人事件
5.どんどん橋、落ちた
以下、それぞれの作品を詳しく見ていきましょう。
1.十角館の殺人
評価項目 | 平均評価 |
トリックの巧妙さ | /4.3 |
伏線の展開 | /4.2 |
登場人物の魅力 | /4.2 |
文章の読みやすさ | /4.1 |
スリルと緊張感 | /4.3 |
【十角館の殺人】は「館」シリーズ(奇妙な館を舞台にした事件をめぐる、綾辻行人を代表するミステリーシリーズ)の記念すべき第1作であり、綾辻行人のデビュー作でもあります。
そんな【十角館の殺人】の魅力は、この2つです。
・読者の予想を裏切る展開
・計算された緻密な叙述トリック
そして、最後に伏線を回収するシーンではこれらの謎が一気に回収されるため、読んでいて非常に爽快感があります。
そのため、一度読むと綾辻作品の叙述トリックに夢中になってしまうこと間違いありません。
実際にアンケートでも「トリックの巧妙さ」(4.3点)と「伏線の展開」(4.2点)の評価がトップクラスであり、その他の評価も非常に高水準にまとまっています。
さらに巻数も1冊と手頃でありながら、いわゆるどんでん返しの展開をたっぷりと味わえるため、軽く綾辻作品を楽しんでみたいという方にもおすすめの作品です。
まだ読んだことがない方はもちろん、綾辻作品の入門としてぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか?
▼【十角館の殺人】の基本情報
出版元 | 講談社文庫 |
ページ数 | 512ページ |
書籍コード | ISBN-978-4062758574 |
【十角館の殺人】の口コミ・レビュー
「犯人が明らかになったときは思わず「えっ…」と声を漏らしてしまった。登場人物の名前とキャラを把握するのに中盤まで苦労した。『金田一少年の事件簿』を思い出させるような展開で、これぞミステリー小説の真骨頂と言える作品だった」(30歳女性、綾辻行人作品を5冊以上読了)
【祝】十角館の殺人、ついに実写化!
このように、ミステリーの金字塔として35年以上も愛され続けている本作ですが、なんと2024年3月22日から実写ドラマとして放送されることが決定しました!
もっと詳しく知りたい方はこちらのボタンからジャンプしてください。
2.時計館の殺人
評価項目 | 平均評価 |
トリックの巧妙さ | /4.2 |
伏線の展開 | /4.0 |
登場人物の魅力 | /3.9 |
文章の読みやすさ | /4.2 |
スリルと緊張感 | /4.2 |
【時計館の殺人】は第45回日本推理作家協会賞を受賞した作品であり、「館」シリーズの中でもトップクラスに完成度の高い作品です。
【時計館の殺人】の魅力は、この2つです。
・独創的で精巧なトリック
・シリーズ随一の死者数による、スリル溢れる展開
アンケートの結果もそれを反映しており、「トリックの巧妙さ」(4.2点)と「スリルと緊張感」(4.2点)の2項目で高水準を維持しています。
この作品では先ほど紹介した【十角館の殺人】でも登場したとある人物がメインで活躍します。
そのため、【十角館の殺人】や他の「館」シリーズを読んだことがあるという方にとってはファンサービスが満載の作品となっています。
「【十角館の殺人】は面白かったけど、「館」シリーズをすべて読むのは大変…」という方や「斬新なトリックを楽しみたい」という方におすすめの作品です!
▼【時計館の殺人】の基本情報
出版元 | 講談社文庫 |
ページ数 | 372ページ |
書籍コード | ISBN-978-4062772945 |
【時計館の殺人】の口コミ・レビュー
「時計館だけに時計を使ったトリックなんだろうとなんとなく予想していたけど、壮大な仕組みには毎度ながら参りました、というところ。館のモチーフになっているものがトリックの鍵となる設定には慣れていても、いつも驚かされる。だからこのシリーズはやみつきになる。それにしても今回は人殺されすぎ…」 (30代女性 綾辻行人作品を5冊以上読了)
3.Another
評価項目 | 平均評価 |
トリックの巧妙さ | /3.9 |
伏線の展開 | /4.2 |
登場人物の魅力 | /4.2 |
文章の読みやすさ | /4.1 |
スリルと緊張感 | /4.4 |
これまでの2作品とは違って、【Another】はホラーとミステリーが融合した小説です。
綾辻行人といえばミステリーと考える方も多いと思います。
ですが、実はホラーテイストな作品も数多く出版しており、リアルな現実世界とファンタジー、ホラー要素が合わさった独特な世界観を好むファンも多いです。
そんな【Another】の魅力は、この3つです。
・大胆な叙述トリック
・怪奇現象による凄惨な大量死
・主人公とヒロインのボーイミーツガール展開
実は綾辻作品でこのようなボーイミーツガール要素が描かれるのは珍しいです。
本作は凄惨な事件が起こる中でも淡い青春の雰囲気が漂っており、読み終わった後には爽快感とわずかな喪失感が残るため、綾辻作品の中でもトップクラスに読後感が良い作品です。
アンケートの結果を見ると、推理要素の薄さから「トリックの巧妙さ」(3.9点)が低いものの、「伏線の展開」(4.2点)、「登場人物の魅力」(4.2点)、「スリルと緊張感」(4.4点)がそれぞれ一番高くなっています。
また、この作品は綾辻作品の中で唯一アニメ化しており、アニメファンたちの間でも衝撃的な展開の数々と巧妙な伏線によって非常に高い評価を得ている作品でもあります。
加えて、小説が上下巻合わせて786ページあるのに対し、アニメは全12話であるため、気軽に見ることができる長さになっています。
ただし、小説とアニメのどちらを見ればいいのか迷った方は、小説の方をを読めば大丈夫です。
叙述トリックは文章を通じて読者を錯覚させる手法のため、文章だけの方がより違和感のないトリックになっているからです。
綾辻作品の中でもホラー要素が強い作品を読みたいという方や学園青春要素がある作品を読みたいという方には非常におすすめの作品ですので、ぜひ小説かアニメをご覧ください。
※補足ですが、【Another】には「Another エピソードS」と「Another 2001」という続編が存在しますので、興味を持った方はこちらもご確認ください!
▼【Another】の基本情報
出版元 | 角川書店 |
ページ数 | 402ページ |
書籍コード | ISBN-978-4041000014 |
【Another】の口コミ・レビュー
「ミステリアスな少女と始まる事件に興味を引かれ読み進めていたら、どんどん引き込まれ一日で読んでしまいました。」(20代女性 綾辻行人作品を2作読了)
4.霧越邸殺人事件
評価項目 | 平均評価 |
トリックの巧妙さ | /4.0 |
伏線の展開 | /3.9 |
登場人物の魅力 | /3.6 |
文章の読みやすさ | /4.1 |
スリルと緊張感 | /4.4 |
【霧越邸殺人事件】は「館」シリーズのように外界との往来が不可能な建物の中で事件が起こる作品です。
なぜこの作品が「館」シリーズではないのかというと、ある程度リアルな現実世界をもとにしている「館」シリーズに比べて、こちらはより怪奇要素が強い作品だからです。
とはいえ、怪奇要素はあるものの、【Another】とは違ってメインはミステリーである点は注意が必要です。
【霧越邸殺人事件】の魅力は、この3つになります。
・雪で隔絶された屋敷で起こる連続殺人による緊迫感のある展開
・ゾッとするような怪奇現象の数々
・上の2つの要素が絶妙なバランスで合わさった、独特なスリルと緊張感のある雰囲気
アンケートでも「スリルと緊張感」(4.4点)が最も評価されており、隔絶した環境で起こる事件のスリルや緊張感を高く評価した方が多いです。
「館」シリーズが好きな方に加えて、シリーズものではないことから巻数の多い「館」シリーズなどに手を出しにくい方にもおすすめできる作品です。
▼【霧越邸殺人事件】の基本情報
出版元 | KADOKAWA |
ページ数 | 356ページ |
書籍コード | ISBN- 978-4041008478 |
【霧越邸殺人事件】の口コミ・レビュー
「館シリーズの一つと言ってもいいような間取り図系の作品で、ハラハラもするけど最後はなるほどと思う面白い作品です。」(40代女性 綾辻行人作品を5冊以上読了)
5.どんどん橋、落ちた
評価項目 | 平均評価 |
トリックの巧妙さ | /4.2 |
伏線の展開 | /4.2 |
登場人物の魅力 | /4.0 |
文章の読みやすさ | /4.4 |
スリルと緊張感 | /4.4 |
【どんどん橋、落ちた】は短編集であり、綾辻作品の中でも異色の作品となっています。
この作品は一つの謎に対して、「問題編」・「挑戦状」・「解答編」の3つの物語が順番に進行し、それが合わさって一つの短編となっています。
つまり、作者が読者に謎を挑戦状として提示し、読者はその謎を解くことができるか、という一種の対戦形式になっているわけです。
本作で提示される謎は、問題編の中の描写だけで解くことができるようになっていますが、叙述トリックがふんだんに使用されており、真相にたどり着くことは困難です。
しかし、作者の仕掛けたトラップを回避して真相にたどり着いた時の感覚は他の作品だと味わうことはできないものです。
そのため、アンケートでもわかる通り、本作は評価人数が少ないものの、全作品中でもトップクラスの高水準を叩きだしています。
この作品はあまり一般受けするものではありませんが、綾辻行人の叙述トリックが好きな方、推理小説の犯人当てが好きな方には特にお勧めできる作品ですので、ぜひ一度挑んでみてはいかがでしょうか?
▼【どんどん橋、落ちた】の基本情報
出版元 | 講談社 |
ページ数 | 496ページ |
書籍コード | ISBN- 978-4062935517 |
【どんどん橋、落ちた】の口コミ・レビュー
「5つの物語で構成された短編集です。犯人を当てようと思いながら読みましたが、見事に騙されて結局1人も当てることができませんでした。サクッと読めるので移動時間の読書にもおすすめです。」(20代女性 綾辻行人作品を5冊以上読了)
おすすめ作品の選定理由
まず筆者が綾辻行人の作品の中から、綾辻作品をあまり読んだことのない方に向けてスリルや緊張感を味わえるであろう作品を7作品ほどピックアップしました。
その後、「綾辻行人の作品を読んだことのある方」を対象にアンケートを取り、合計で32人の方々に各評価項目に対して5段階で評価をつけていただきました。
そして、集まった評価をもとに点数が高水準であった作品をさらにピックアップして、この記事で紹介しました。
綾辻行人の知られざる魅力
作家というと頑固であったり偏屈なイメージがあるかもしれませんが、綾辻先生はそのようなイメージ像とは対極にある人物かもしれません。
・「PUIPUI モルカー」(SNSで大きな話題になったパペットアニメ)の大ファン
・奥様(「十二国記」作者の小野不由美先生)作のフェルト人形の写真をTwitterに投稿
・自身の書籍と「モルカー」のコラボを実現
・「ずっと真夜中でいいのに」(動画最高再生回数が1億回以上である若者向け大人気音楽バンド)の大ファン
・「ずっと真夜中でいいのに」の魅力を語るだけのインタビューを行う
綾辻先生は作品情報だけでなく、日常生活に関する話題や猫、モルカーなどの写真を頻繁に上げたりなどしていますので、作品を読んで綾辻先生自体に興味を持った方はぜひフォローしてみてください!
もっと深く綾辻作品に触れるためのヒント
この章ではおすすめの作品をもう読んだことのある方に向けて、おすすめで取り上げたものとは違うシリーズや読む順番、メディアミックス作品などを紹介します!
少しマイナーな綾辻行人のシリーズと短編を紹介!
・「人間じゃない」
本作は綾辻行人のデビュー30周年を記念する未収録作品集です。
そのため、過去作品との繋がりがある作品が多く、綾辻作品を多く読んできた方向けのファンサービスが豊富な作品です。
実際にこの【人間じゃない】と繋がりのある作品は以下の通りです。
もちろん、すべてを読まなければ楽しめないということはありませんし、逆に「人間じゃない」を読んで興味が沸いてから元の作品の方を読むこともできます。
30周年記念だけあって非常に面白い作品ですので、あまり尻込みせずに読んでみることをお勧めします!
「深泥丘奇談」シリーズ、「眼球奇譚」
どちらの作品もミステリーとホラーが入り混じった短編集になります。
両作品ともにホラーテイストが強めであり、短編集なこともあって気軽に読めるので、綾辻作品のホラー部分に惹かれた方には非常にお勧めできる作品です!
「囁き」シリーズ
【Another】のように学生が主人公であるホラーミステリー小説です。
【Another】が好みだった方には非常にお勧めできるシリーズとなります!
「殺人鬼」シリーズ
このシリーズは推理要素が比較的薄く、グロテスクな描写が丹念に描かれた作品です。
とはいえ、推理要素がまったくないかというとそんなことはなく、グロテスクな描写の中に緻密な伏線が張り巡らされています。
作品の終盤ではどんでん返しも待っているため、グロテスクな描写に耐性のある方はぜひ読んでみていただきたいシリーズです!
「殺人方程式」シリーズ
主人公が刑事で殺人事件の捜査をするという、比較的綾辻作品らしくない王道なミステリー作品です。
しかし、トリックもしっかりしており、物語も非常に面白いため、普段推理小説を読むが綾辻作品を読んだことがないという方にお勧めのシリーズです!
綾辻行人作品を楽しむおすすめの順番
綾辻行人にはたくさんの作品がありますが、読む順番は基本的に【十角館の殺人】と【Another】を読んでみて、面白かったほうのシリーズを読んでみるという形で問題ありません。
どちらのシリーズも刊行順に読めば問題ないのですが、「館」シリーズに関しては数が多いため、軽くまとめておきます。
▼「館」シリーズの刊行順番
1.十角館の殺人
2.水車館の殺人
3.迷路館の殺人
4.人形館の殺人
5.時計館の殺人
6.黒猫館の殺人
7.暗黒館の殺人
8.びっくり館の殺人
9.奇面館の殺人
それぞれのシリーズを読み終えた後は特に読む順番などはないので、興味をもったものから手を出してみることをお勧めします!
4-3.漫画化、アニメ化した綾辻作品を紹介!
アニメ | 【Another】 |
漫画 | 【十角館の殺人】、【Another】など |
ドラマ | 【十角館の殺人】 |
なんといっても注目なのが、実写版【十角館の殺人】です。
綾辻行人の最高傑作ともいわれる「十角館の殺人」が2024年3月22日(金)から、ついに実写化されることが、X(旧Twitter)で発表されました。
実は十角館の殺人はこれまで「実写化不可能」とされてきたことをご存知でしょうか?
その理由はネタバレになってしまうので詳しくは語れませんが、筆者も「実写化は不可能ではないか」と思っていました。
しかし、綾辻行人さん本人のポストによると「たぶん成功している」とのことで、かなり期待が持てる作品となっています。
さらに、原作小説と実写版はどちらから見ても大丈夫とのことなので、原作を知らない方も心配する必要はありません。
Huluでの独占配信となっているので、気になる方はこちらのボタンからどうぞ
アニメ版【Another】は非常に丁寧に作られており、当時はネットで非常に話題になった作品です。
「Anohter」は叙述トリックを主軸にした作品であるため、映像化は難しいと予想されていました。
しかし、本作はその不安を搔き消すほど丁寧に作られており、アニメで叙述トリックをそこまで違和感を与えずに再現することができていました。
2012年の作品ですが、今見ても絵柄が古臭くなく、時代を先取りした作品だったと言えます。
漫画版【十角館の殺人】は2019年に月間アフタヌーンで連載が始まった作品です。
同じく叙述トリックを主軸とする【十角館の殺人】において、どのように漫画化するのかは本作の課題でしたが、この作品もそれを見事に解決していました。
さらに、小説版の方と少し演出や時代背景が異なっており、新たな観点で【十角館の殺人】を楽しむことができます。
比較的最近連載された作品であるため、今でも手に取りやすいと思いますので、【十角館の殺人】を読んで面白いと思った方には是非読んでもらいたい1冊です。
まとめ
この記事では読者のアンケートをもとに、次によむべきおすすめの綾辻作品を5選紹介しました。
▼本稿の綾辻行人おすすめ作品
1.十角館の殺人
2.時計館の殺人
3.Another
4.霧越邸殺人事件
5.どんどん橋、落ちた
他にも様々な綾辻作品やシリーズ、メディアミックス作品も紹介しています。
ぜひ気に入ったものを手に取って読んでみてください。