仮想通貨の税金について、「調べたけどよくわからない」という方も多いのではないでしょうか。
そもそも普通に生活していて税金について考えることなんて、せいぜい消費税くらいです。
そんな中、誰に聞いたのか「どうやら仮想通貨の税金はヤバいらしい」ということで税理士の私にもよく質問がきます。
そこで、今回は、仮想通貨の税金の基本をわかりやすく解説したいと思います。
この記事を最後まで読めば、仮想通貨の税金について理解が深まると思いますので、是非最後まで読んでみてください。
仮想通貨で利益が出たら税金地獄!?
さて、そもそも仮想通貨で利益が出たら税金地獄におちいるということを最初にお伝えしなければなりません。
2022年11月現在、仮想通貨で1億円以上稼いでいる人に至っては、稼いだ額の半分以上は税金でもっていかれるルールになっています。
このルールは今のところ変更される目処はたっていません。
少なくとも2022年中の仮想通貨取引には適用されますので、十分に注意してください。
仮想通貨にかかる所得税の税率は最大45%(累進課税)
仮想通貨について、税金地獄をもたらしている最大の要因が「累進課税」です。
累進課税とは、稼ぎが多い人により高い税率をかけて所得税を支払わせるような仕組みのことを言います。

(引用:国税庁HP)
例えば、億り人と言われる仮想通貨だけで1億円稼いだ人を例に考えてみましょう。
1億円の利益に対する所得税計算
100,000,000円 × 45% ー 4,796,000円 = 40,204,000円
1億円の利益が出た人は4千万円の所得税を支払う必要があるのです。
一方で、1千万円の利益が出た人は以下の計算式になるため、176万円ほどの所得税ですみます。
1千万円の利益に対する所得税計算
10,000,000円 × 33% ー 1,536,000円 = 1,764,000円
所得税だけじゃない!住民税も10%とられるから注意
億り人は、4千万円程度の所得税を払う必要があるという話はしましたが、実は所得税以外にも住民税というものも支払う必要があります。
住民税は基本的に稼いだ額の10%(一律)になります。
所得税みたいに、稼いだら稼ぐだけ税率が高くなる「累進課税」ではありませんが、10%という税率そのものがそもそもそれなりにとられるイメージではないでしょうか。
億り人で半分の5,000万円の税金がとられる!
億り人は所得税で4千万円、住民税で1千万円とられることから、合計で税金として5千万円の税金がとられてしまうことになります。
「せっかく仮想通貨で稼いでもこんなに税金がとられるのはおかしい!!」と思う人も多いのではないでしょうか。
仮想通貨の税金の仕組みは異常!?
仮想通貨の税金の仕組みはまさに異常と言えます。
1億円仮想通貨で稼いでも半分の税金がとられてしまうという今の税金の仕組みのもとでは、「仮想通貨は投資」と言えるような状態ではありません。
FXや株式投資にかかる税率は20%で一律(仮想通貨は他の投資と比べて税金面で圧倒的に不利)
仮想通貨と同じような投資として知られているFXや株式投資の税率を見てみましょう。
実は、FXも株式投資も一律20%程度(正確には20.315%)の税金(所得税15%+住民税5%)ですむことになっています。
もっともFXに関しては、昔は仮想通貨の税金と同じで、利益が出れば出るほど高い税率を払わなければならない「累進課税」が適用されていました。
しかし、FXに関しては、投資の一つと国税庁も判断したタイミングで税制を変更し、実質的に株式投資と同じ税率になるようなルールに変更したという歴史があります。
仮想通貨は雑所得だから税率が高い
一般的に投資として認められているような所得に関しては、「譲渡所得」もしくは「先物取引に係る雑所得等」に分類されます。
このような所得は、一律で数十%の税率がかけられるため、稼ぎが多くてもちゃんと手取りが残るように税金が定められています。
一方で、まだ国税庁が投資と認めていない仮想通貨に関しては普通の雑所得として扱われるため、利益が出れば出るほど高い税率を払わなければならない累進課税となっているというわけです。
投資 | 所得の種類 | 税金(所得税+住民税)の税率 |
株式投資 | 譲渡所得 | 一律20%程度 |
FX | 先物取引に係る雑所得等 | 一律20%程度 |
不動産投資 | 譲渡所得(売買時)
不動産所得(賃貸収入) | 譲渡所得:一律40%or20%(5年以上保有していれば20%)
不動産所得:15%~55%(累進課税) |
仮想通貨 | 雑所得 | 15%~55%(累進課税) |
将来的にはFXと同じ扱いになる可能性が高い
ここまでの説明でピンときている方も多いかしれませんが、実は仮想通貨に関してもFXと同じように取り扱うような要望は国税庁に出されています。
「2022年から仮想通貨もFXと同じで一律20%の税率に変更されるのではないか?」ともささやかれていましたが、残念ながら2022年は現存のルールのままの累進課税となっています。
しかし、将来的にはFXと同じ扱いになるのはほぼ間違いないと思います。
これは筆者の個人的な見解ですが、早ければ2023年から変更される可能性もそれなりに高いと踏んでいます。
仮想通貨の税金を払わないとどうなる!?逃げ切れる?!
仮想通貨はえげつない税金をもっていかれるという話をずっとしてきました。
そこで、「なんとか仮想通貨の税金を払わなくていい方法はないのか?」「逃げ切れないのか?」と考えている人もいるかもしれません。
仮想通貨の利益は税務署に100%バレる
残念ながら、仮想通貨で稼いでいるかどうか、何円利益が出ているかという情報は税務署が調べればすぐにわかります。
これは、税務署は銀行の取引データや取引所のデータなどを調査する権利を有しているからです。
ですので、仮想通貨の税金を払わなくて逃げ切ることは基本的にできないと考えていいと思います。
もっとも、調査がたまたま入らず逃げ切れるケースもありえるかもしれませんが、バレた時に重加算税や延滞税と呼ばれる重い罰金が発生しますのでオススメできません。
仮想通貨で利益が20万円以上出ていたら確定申告するしかない
では、仮想通貨をやっている人は全員確定申告をして税金を納めなければならないのかと言われると答えは「NO」です。
具体的には、「給与や退職金以外の所得で20万円以上の利益が出ていれば確定申告の必要がある」とされています。
ですので、仮想通貨だけで利益が20万円以上出ていれば必ず税金を納めなければならないということになります。
後で詳しく説明しますが、ここでいう「利益が出る」タイミングは主に、「売却」、「他の通貨や商品への交換」などのタイミングになります。
したがって、仮想通貨を買ったけど売らずに持っている状態であれば利益が出ている状態ではないため確定申告の必要もなければ税金を納める必要もありません。
ビットコインを含む主要な仮想通貨(暗号資産)は上昇トレンドのためほとんどの人が確定申告の対象に
さて、ビットコインやイーサリアムなどの主要な仮想通貨は年々価値が上昇しています。
仮想通貨投資をしている人の中には、税金のことを知らずに投資している人も多いのが現状です。
「ちょっと価値が上がったから少し売却しよう」、「他の通貨に交換しておこう」などと気軽に利益を確定させている人も多いのではないでしょうか。
知らず知らずのうちに仮想通貨の利益を確定させており、確定申告が必要になっている人が多く存在しているというのが現状なのです。
仮想通貨の脱税の取り締まりは強化されている!?逃げ切ることは不可能
「仮想通貨の税金を払っていなくてつかまっている人なんているの?」と聞かれることがありますが、「調査で沢山バレている」というのが答えです。
実際に2021年10月3日のニュースでも大規模な税務調査で、仮想通貨に関する14億円の脱税が指摘されています。
国税庁では、仮想通貨の脱税が横行していることを背景に金額にかかわらず徹底的に調査を進めるという話も出ているようです。
先ほどもお伝えしましたが、銀行や取引所のデータをとることができる国税庁や税務署からすれば仮想通貨の脱税調査は簡単にできてしまいます。
くれぐれも確定申告忘れには注意するようにしてください。
仮想通貨の税金の計算方法、確定申告の方法
ここからは、仮想通貨の税金の計算方法や確定申告の方法をわかりやすく説明したいと思います。
簡単な算数さえできれば誰でも計算や確定申告はできますので難しく考える必要はありません。
仮想通貨の税金支払いまでの一連の流れは以下の通りです。
仮想通貨の税金支払いまでの流れ
① 仮想通貨の利益の計算
⇓
② 利益に対して税金を計算
⇓
③ 計算結果をもって税務署にいく
⇓
④ 税金を支払う
① 仮想通貨の利益の計算
仮想通貨の利益計算は、1つずつみると非常に簡単です。
基礎編
仮想通貨の利益計算は、購入時は一切関係なく、売却あるいは他のコインや商品などに交換したときに利益、又は損失が発生するという株やFXと同じような計算方法になります。
まずは基本的な計算方法を例で説明します。
Q:例題
3月1日:Xコイン10枚を100万円で購入した
5月5日:Xコイン10枚を400万円で売却した
A:損益計算
5月5日付で、
1枚10万円(100万円÷10枚=10万円)のXコイン10枚(100万円分)を400万円で売却しているため、
300万円の利益となる(400万円ー100万円=300万円)
これが、5月5日付で、400万円の価値の商品を購入した場合には同じ計算で300万円の利益となります。
また、日本円ではなく、ドルや他の仮想通貨に換えたとしても、ドルや仮想通貨の価値を日本円換算して、交換時の利益を計算する必要があります。
取引が入り組んでいる場合の計算方法(応用編)
ここからは、応用編です。
例を見てみましょう。
Q:例題
3月1日:Xコイン10枚を100万円で購入した
4月3日:Xコイン40枚を200万円で購入した
5月5日:Xコイン30枚を400万円で売却した
A:損益計算
5月5日付で、
1枚6万円((100万円+200万円)÷(10枚+40枚)=6万円)のXコイン30枚(180万円分)を400万円で売却しているため、
220万円の利益が出たことになります。(400万円ー180万円=220万円)
購入と売却を繰り返した時の取得単価の計算(移動平均法と総平均法)
もう少し売買が多いケースだと、コインの取得単価の計算方法を考える必要がでてきます。
実は、コインの原価(取得単価)の計算は、移動平均法と総平均法という二つの方法のどちらかを選択することができます。
二つの方法で計算した場合、二つの異なる利益が出てくることになります。
したがって、利益が出ない計算方法を選択した方が、税金が少なくてすむため、有利になります。
移動平均法と総平均法
・移動平均法・・・コインの原価を、その都度、購入原価の平均をとって取得原価を計算する方法
・総平均法・・・コインの原価を1年間の購入額合計を購入枚数総計で割って算出する方法
例を見てみましょう。
Q:例題
3月1日:Xコイン10枚を100万円で購入した
4月3日:Xコイン40枚を200万円で購入した
5月5日:Xコイン30枚を400万円で売却した
6月9日:Xコイン50枚を620万円で購入した
7月7日:Xコイン30枚を2,000万円で売却した
損益計算:
利益が出るタイミングは、5月5日と7月7日の売却の時点になります。
ここでのXコインの原価を移動平均法、総平均法それぞれの場合で見てみましょう。
A:移動平均法
5月5日時点のXコインの原価は、1枚6万円((100万円+200万円)÷(10枚+40枚)=6万円)
になります。
また、7月7日時点のXコインの原価は、5月5日に売却後残っている120万円の取得原価の20枚(20枚×6万円=120万円)
と、新たに6月9日に購入した620万円の取得原価の50枚となります。
ここで、移動平均法では、この二つを合計して、1枚あたりの取得原価を出します。
1枚あたりの取得原価は12万円((120万円+620万円)÷(20枚+50枚)=12万円)になります。
7月7日の売却時の利益は、2,000万円ー(30枚×12万円)=1,640万円となります。
したがって、5月5日の売却で出た利益220万円と7月7日の売却で出た利益1,640万円を足して、1,860万円が移動平均法を使った場合の仮想通貨での利益ということになります。
A:総平均法
総平均法では、過去の全ての購入の総平均で取得単価を算出します。
(100万円+200万円+620万円)÷(10枚+40枚+50枚)=9.2万円/1枚
この取得原価で利益を計算します。
5月5日の売却時の利益は、400万円ー(9.2万円×30枚)=124万円
7月7日の売却時の利益は、2,000万円ー(9.2万円×30枚)=1,724万円
総平均法を使った場合の仮想通貨での利益の合計は、1,848万円ということになります。
今回のケースでは、総平均法の方が利益が少なくなりました。
したがって、総平均法の方が税金が少なくてすむため、有利という結論になります。
取引所の手数料も経費
仮想通貨の損益計算では、取引所の手数料も経費として差し引くことができます。
また、仮想通貨取引のために購入したPC代の一部なども経費に入れることができる可能性があります。
仮想通貨の損益計算式
仮想通貨を売却、交換時に獲得した対価の時価 ー 仮想通貨購入時の取得原価 ー 仮想通貨の取引にかかる支払手数料など = 仮想通貨にかかる損益
仮想通貨の利益や損失が発生するタイミング
さて、仮想通貨の利益や損失が発生するタイミングを理解しておくことは非常に重要です。
改めて確認しておきましょう。
売却した時
まずは、一般的な仮想通貨を売却した時です。
仮想通貨は売却せずに保有しておけば、どんだけ含み損や含み益があったとしても損失や利益は確定しません。
交換した時
仮想通貨を他のコインや商品に交換した時も利益や損失が確定します。
この場合、その交換したコインや商品の時価を売却時の価格と考えて利益計算をすることになります。
ステーキング、マイニング、ファーミング、レンディングした時
仮想通貨は売買や交換以外にも特殊な稼ぎ方があります。
こういった稼ぎ方をした場合は、その儲け(報酬)が発生したタイミングでそれぞれ利益が確定します。
ステーキング・・・対象の 仮想通貨 を保有しブロックチェーンのネットワークに参加することで、対価として報酬がもらえる仕組み
マイニング・・・ビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨の取引承認に必要となる複雑な計算(コンピューター演算)作業に協力し成功報酬をもらえる仕組み
ファーミング・・・仮想通貨を分散型取引所に預け入れることで利息や手数料をもらえる仕組み
レンディング・・・保有している仮想通貨を仮想通貨取引所に一定期間預けて金利をもらう仕組み
売買を繰り返している人は計算が難しくなるので注意
売買やステーキングなどを繰り返している人にとっては、計算が複雑になるのが、仮想通貨の利益計算にとって最大の難所になっています。
取引が多い人は、のちほど紹介するような損益計算ツールを利用しないと難しいでしょう。
② 利益に対して税金を計算
仮想通貨の利益が計算できたら、そこに税率をかけて所得税額や住民税額を計算します。
ちなみに、ここでは、所得税は先ほど説明した累進課税、住民税は約10%ということだけ覚えておけば、それでざっくりの計算をするくらいで問題ございません。
仮想通貨の利益は1月1日から12月31日までの1年間の合計の利益になりますので、注意してください。
先ほどと同様に所得税率は累進課税となっています。
再掲しておきます。

(引用:国税庁HP)
例えば、億り人と言われる仮想通貨だけで1億円稼いだ人を例に考えてみましょう。
1億円の利益に対する所得税計算
100,000,000円 × 45% ー 4,796,000円 = 40,204,000円
1億円の利益が出た人は4千万円の所得税を支払う必要があるのです。
一方で、1千万円の利益が出た人は以下の計算式になるため、176万円ほどの所得税ですみます。
1千万円の利益に対する所得税計算
10,000,000円 × 33% ー 1,536,000円 = 1,764,000円
③ 計算結果をもって税務署に行く
確定申告の方法は、以下のように色々あります。
確定申告の方法
・電子申告(家でパソコンで申告できる)
・申告書を作成し郵送
・申告書を作成し税務署に直接出しにいく
・税務署に行き、税務職員に教えてもらいながら申告書を作成しその場で提出
しかし、一番のおすすめは、仮想通貨の利益計算結果と他の所得がある場合には他の所得金額が分かる書類をもって税務署に行くという方法です。
時間はかかりますが、税務署の職員が優しく丁寧に教えてくれますし、ミスするリスクも軽減できることでしょう。
ちなみに仮想通貨の確定申告のやり方を詳しく紹介している記事がありますので、よろしければ参考にしてみてください。
④ 税金を支払う
税金は所得税と住民税の2種類を別の方法で納める必要があります。
所得税
所得税の納税の期限も確定申告書提出の期限である3月15日まで(コロナで伸びれば4月15日)ですので注意してください。
所得税の納税方法
・振替納税を利用
・e-Taxで納付
・クレジットカードで納付(おすすめ)
・QRコードによりコンビニエンスストアで納付
・金融機関又は税務署の窓口で現金で納付する。
自分が好きな方法で納税してもらえば良いのですが、筆者イチオシの方法はクレジットカードで納付です。
クレジットカードで納付すればポイントがつくからです。
支払う税金が多額な人だと、ポイントがつくことで数百万円得するなんてこともありえます。
住民税
住民税の納税は、実は所得税の納税のだいぶ後に待ってます。
具体的には、確定申告書を提出した年の6月末一括払いor4期分割(納付期限は第1期が6月末まで、第2期が8月末まで、第3期が10月末まで、第4期が翌年1月末まで)
の2つの方法を選択して納税することになります。
確定申告書を元に、各市区町村から個人宛に納税通知書と納付書を送付され、その納付書を利用して銀行などの金融機関で納税することになります。
住民税の納税を忘れていて、うっかりお金を使ってしまったなんて方も多いので注意してください。
仮想通貨の損益計算ツール(無料)の導入は必須!?
さて、仮想通貨の利益計算方法はなんとなく理解できたものの、「実際には取引が沢山あるから複雑だ」、「売却や交換時に何円だったのかよくわからない」という人もいるでしょう。
そこでめちゃくちゃ便利な仮想通貨の損益計算ツールというものが存在します。
仮想通貨の損益計算ツールを提供している会社はそもそも非常に少ないです。
そんな数少ない仮想通貨の損益計算ツールの中でも、「Gtax」「クリプタクト」というツールは非常に便利でおすすめです。
「クリプタクト」は50件までの取引であれば完全無料で使えます。
また、「Gtax」は100件までの取引が完全無料です。
ちなみに、仮想通貨の損益計算ツールについて紹介している記事もありますので、よろしければ参考にしてください。

Gtax
![]() | クリプタクト
![]() | |
料金 | 〇
100件まで無料 件数100件超の場合は料金に大差なし | △ 50件まで無料 件数50件超の場合は料金に大差なし |
使いやすさ | 〇 データ取り込みで簡単 | 〇
API連携でデータ取り込みも不要 |
対応取引所数 | △ 60取引所対応 2022年10月時点公式サイトより | 〇 79取引所対応 2022年10月時点公式サイトより |
公式サイト | Gtax公式サイト | クリプタクト公式サイト |
仮想通貨の税金計算における注意点や豆知識
ここからは、仮想通貨の税金計算における注意点や豆知識について紹介していきたいと思います。
損益通算ができない
仮想通貨の所得は「雑所得」というところに分類されます。
雑所得の特徴として損失が出た場合に、他の所得と相殺するといういわゆる「損益通算」ができないということがあります。
ですので、仮想通貨で損失が出たら給料などと相殺することができず、丸々損をします。
一方、仮想通貨で利益が出た場合(雑所得で利益が出た場合)は、損益通算ができる所得(不動産所得、事業所得、総合課税の譲渡所得、山林所得)の損失をぶつけることができます。
繰越控除ができない
FXや株式投資で損失が出た場合、翌年以降3年間にわたって、利益が出た場合に損失をあてて利益を減らすことができます。
これを「繰越控除」と言います。
しかし、残念ながら仮想通貨に関してはまだ税制が整備されていないため、「繰越控除」のような特例は存在しません。
仮想通貨に関しては、損が出ても翌年以降何も考慮されないというわけです。
海外取引所の中には損益データをとるのが難しいところがある
海外のマニアックな取引所を利用している場合、仮想通貨の損益データを取得することが難しいという問題があります。
現に、海外取引所で仮想通貨取引をしている人の税務はお断りしているという税理士さんも私のまわりには多いです。
もっとも、先ほど紹介したクリプタクトやGtaxはメジャーな海外取引所は原則全て対応していますのでその点は安心です。
仮想通貨に関するセミナー参加費用や資料代、取引のためのPC代などは最大限経費にする
仮想通貨に関しては、コインを購入した時の原価のほかに、取引所に支払う手数料などは経費にすることができます。
一方で、その他にも経費として認められると思われるものがあります。
それが、仮想通貨に関するセミナ―参加費用や仮想通貨取引に関する書籍の購入費用などです。
また仮想通貨取引のために買ったPC代なども全額は難しいと思いますが、部分的に経費にすることは可能です。
「20万円まで非課税ルール」に注意
先ほど、仮想通貨の利益が20万円以下であれば税金は払わなくていいという話をしました。
この20万円を単にトータルで損をしているから税金を払う必要がないと勘違いしている人がよくいます。
例えば、2月1日に500万円で仮想通貨の口座を解説し、12月31日の時点でその口座の残高が400万円だったケースを考えてみてください。
実際には、仮想通貨の売却では50万円の黒字が出ているが、持ち越しているコインが150万円と大幅に含み赤字になっているとしましょう。
この場合、仮想通貨の税金の計算の上では50万円の利益が出ていることになりますので、税金を払う必要があります。
仮想通貨の税金を少しでも減らすための方法(節税方法)
ここからは仮想通貨の税金を少しでも減らしたいという方向けの裏技(節税対策)を紹介したいと思います。
ちなみに、仮想通貨の節税対策を詳しく説明した記事もありますので、よろしければ参考にしてみてください。

利益に損失をあてる
利益が出る売却もしくは交換に対して、損失が出る売却もしくは交換をぶつけるという方法がもっともよく使われるシンプルな節税術です。
株取引などでもよく利用されている手法ですが、仮想通貨取引に関してもこの方法が一番シンプルですが使えます。
赤字だけを確定させるようなことは丸々損をするだけですので絶対にやってはいけません。
法人を作るor事業として開業する
仮想通貨の利益は累進課税でマックスで45%の所得税をとられます。
ですが、法人を作って法人で仮想通貨取引を行った場合、その利益に対して実質30%程度の法人税などの税金の支払いですみます。
また、個人事業主として仮想通貨の取引を事業として行った場合、雑所得ではなく、事業所得となります。
事業所得となれば、損益通算や繰越控除ができます。
また、事業所得になれば経費として認められる範囲も増えるでしょう。
雑所得ではなく事業所得にするために必要なのは「会計ソフト」
国税庁は、2022年から「年間の売上が300万円以下の場合は、事業所得ではなく雑所得にしなさい」というルールを作ろうとしていたのをご存じでしょうか。
しかし、このルールは7,000通もの否定的な意見によりなくなりました。
「副業を推し進める政府の方針と相反する税制を作るべきでない!!」という意見です。
そこで、国税庁は、今まで通り「社会通念上事業と認められるかどうか」で事業所得にできるかどうかを判定することに戻しました。
そして、「社会通念上事業と認められるかどうか」の判定については、帳簿保存があることが一つの判定基準になるという文言が追加されました。
要するに「雑所得じゃなく事業所得にしたければ、とりあえず会計ソフトを導入して記帳しておけばOK」ということです。
ちなみに、おすすめの会計ソフトについての記事もありますので、よろしければ参考にしてみてください。


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個人事業主は事業の赤字を仮想通貨の利益にあてる
そもそも最初から個人事業主として事業をしている人であれば、事業の赤字を仮想通貨の利益にあてることができます。
これも記事などで紹介されていることはほぼありませんが、実は非常に使える裏ワザです。
税制が有利になるまで仮想通貨の利益を確定させない
これはあくまで一税理士である私の予想でしかありませんが、将来的に仮想通貨はFXと同じ扱いになる可能性が高いと思います。
そうなると税率が20%になります。
ですので、税制が変わるまで利益を確定させずに待っておくという方法も有効かもしれません。
海外に移住する
海外に移住し、非居住者として扱われることで、海外の税法が適用され、日本の所得税法は適用されない状態にすることも可能です。
仮想通貨で数十億円を稼いだ人などはシンガポールに移住するなどして、この方法を利用しようとしている人も多いようです。
この方法は、まだ賛否両論あり本当に国税庁につかまらないのかわからないという見解が多いようです。
税理士の先生などに相談し慎重に行うことが適当だとは思います。
正直、税理士に依頼した方が良い
「仮想通貨の税金に悩んでいるあなた」、「仮想通貨でめちゃくちゃ稼いじゃった方」は、ずばり税理士に依頼した方がよいでしょう。
仮想通貨で稼いでいる方は、「 税理士費用 < 仮想通貨の税金の節税額 」となることが間違いないからです。
また、「仮想通貨取引による収入を雑所得ではなく事業所得にしたい」、「法人にしたい」という方も税理士に相談することを強くおすすめします。
なぜなら、上記のような節税スキームは一歩間違えると、税務署に目をつけられて追徴課税をとられるリスクも高いからです。
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税理士への依頼費用は個人であっても、20万~50万程度はかかるものです。
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ただし、仮想通貨の収入がある方で、海外取引所を利用している方には対応してもらえない可能性もありますのでその点は注意してください。
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まとめ
いかがでしたでしょうか。
仮想通貨の税金は非常にやっかいです。
ですが、仮想通貨で儲けてしまった人は自分で損益計算や税金の計算をし、確定申告をしなければなりません。
紹介した無料の損益計算ツールをなどを駆使して確定申告をスムーズにすませましょう。
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