【完全保存版】個人事業主の経費に上限はあるの?経費計上できるものとできないものを理解して、賢く節税しよう! 

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個人事業主の経費に上限はありません

税務署が認めればいくらでも経費に計上することができます。

では、税務署が認める経費とは何か?

ずばり、「事業に関係する費用であるかどうか」です。

経費にできるもの、できないものをしっかり理解した上で、領収書やレシートなどの証拠を管理し、賢く節税しましょう。

目次

個人事業主の経費になるもの、ならないものを徹底解説

経費ってそもそも何?

経費とは、事業を運営していく上で必要な費用とされています。

以下のものが例として挙げられます。

経費となるもの

  • 総収入金額に対応する売上原価その他その総収入金額を得るために直接要した費用の額
  • その年に生じた販売費、一般管理費その他業務上の費用の額

正直、この表現だけだとよくわかりませんので、以降詳しく説明していきます。

勘定科目ごとに経費になるもの、経費にならないものを一覧化

経費を勘定科目ごとに並べた表を用意しました。

一般的に、経費を帳簿につける(メモする)ときに、「交通費」、「交際費」などの項目をつけるのですが、その項目のことを勘定科目とよびます。

しかし、あくまで、経費になるかどうかは、事業に関係する費用であるかどうかが重要であり、勘定科目をどうするのか自体はほぼ関係がないということを覚えておきましょう。

経費として認められるもの経費として認められないもの
売上原価販売商品を仕入れた代金、商品を販売するために得意先まで往復する交通費、販売する商品を作るために他社に仕事を依頼した外注費
給与賃金従業員に支払う給与事業主自身が受け取る給与
外注工賃外部業者に業務発注時の支払い、自社ウェブサイト立ち上げ代
減価償却費原則として、10万円を超える車や応接セットなど資産の取得代金のうちの一定額もしくはその全額
貸倒金売掛金、貸付金などの回収不能分
地代家賃事務所や店舗の家賃敷金、保証金
利子割引料預金の金利、手形の割引料、借入金の支払利息借入金や住宅ローンの元金の支払い
租税公課事業税、事業利用資産の固定資産税、自動車税、不動産取得税、登録免許税、印紙税、事業所税法律違反による各種罰金、所得税、住民税、税金の延滞金
水道光熱費水道料金、電気料金、ガス料金
旅費交通費取引先、職場などへ移動するための交通費取引先へ車で行ったときの駐車違反の反則金、出張先での個人的な観光代
通信費業務用に利用する携帯電話料金やインターネット回線使用料
広告宣伝費WEBや雑誌などの広告掲載料、チラシの印刷費用
接待交際費得意先に商品を買ってもらうための接待費、贈答品代、取引先の冠婚葬祭祝儀、プライベートで会った得意先との飲食費、個人的に参加したゴルフコンペ代、スポーツクラブ会費
損害保険料事務所の火災保険料事業主自身の国民年金、国民健康保険料、生命保険料(ただし、控除ができる)
修繕費建物、設備などの修繕費用で減価償却資産にあたらないもの
消耗品費事務用品(文房具やコピー用紙など)の購入費、名刺代。切手代、はがき代、10万円以下の資産取得代、作業着代私用でも使えるような靴代、私服利用できるような服の代金、私的な書籍代
福利厚生費従業員の健康診断代、忘年会代、社員旅行費用事業主自身が受ける健康診断の費用
雑費セミナー参加代、同業者団体などの会費

経費として認められる範囲はどこまで?

以下では、特に注意すべき点を項目ごとにまとめてみました。

具体的な経費のイメージがつくと思います。

【1】売上がゼロでも経費って計上できるの?

売上がないと経費にできないのかと思われる方もいるかもしれませんが、答えはノーです。例えば事業を始める前の開業費や準備費用なども経費にすることができます。

【2】消耗品はどこまで経費になるの?

仕事用に購入する本や雑誌やDVDなども経費計上できます。

Youtuberであれば、カメラ代や実況しているゲームの課金なども認められるケースがあるようです。

なお、10万円を超えるパソコンなどの備品は原則として資産として計上され、減価償却費としてその一定額を計上することができます。

ちなみに減価償却費というのは、減価に合わせて償却していくという意味の言葉です。イメージとしては、長期にあわってその価値が徐々に減少していくような資産をその、価値の減少(減価)に合わせて、費用化(償却)していくことから減価償却費と呼ばれています。

また、みなさんがよく疑問に思われることとして、スーツは経費になるのかどうかというのがあります。

スーツは原則としてビジネス利用のため経費にできそうなイメージがありますが、何も手当をしていなければ、NGが出るケースが多いです。

スーツは冠婚葬祭やプライベートでも使用されるとみなされるためです。

ただし、スーツがプライベートでは一切使用せず、事業用のみに使用するために購入しており、かつ実際に事業用のみに使用されているとしっかりと証明できるように記録などを残しておけば、経費にすることはできます。

【3】通信費はどこまで経費になるの?

携帯電話は、プライベート用と業務用をわけてもっておくことをおすすめします。わけておけば、業務用の携帯電話に関する費用はすべて経費とすることができるからです。

両用で一つの携帯電話を使っている場合は、のちほど説明する家事按分によって使っている時間などを根拠に一定割合分を通信費とすることができます。

【4】飲食代はどこまで経費になるの?

打ち合わせの際のコーヒー代や食事代、飲み代、仕事関係のゴルフ代なども接待交際費もしくは、会議費として経費にすることができます。

ちなみに、接待交際費については、法人と個人事業主で扱いが異なり、個人事業主については上限が設定されていません。

その分、接待交際費は、多額に発生していた場合、税務署にチェックされることの多い項目です。

接待先の会社名や人数、氏名、目的などをしっかりと記録し、業務との関連を客観的に証明できるようにしておきましょう。

【5】旅費交通費はどこまで経費になるの?

打合せなどで使用した交通費やホテル宿泊費は旅費交通費として経費になります。

ただし、経費計上できるのは実費のみです。またプライベートも兼ねている場合でも、事業のためにいったついでにプライベートな目的も果たしたということであれば、原則経費とすることができます。

旅費交通費については、その事業上の目的や内容などを記録しておき、経費として認められるようにしておきましょう。

また、仕事で走行した分のガソリン代も旅費交通費として経費になります。

さらに、業務用の車両として限定されている場合には駐車場代や車検代も経費にすることができます。

ちなみに、業務中に起こした交通違反等の罰金・反則金の支払いは経費になりません。

ただし、業務上の駐車違反の場合のレッカー代、駐車料金は、原則として経費になります。

【6】従業員との旅行代は経費になるの?

福利厚生費でしばしば問題になるのが、従業員との旅行代がどこまで経費として認められるかということです。

社会通念上、事業で必要と認められる程度の社員旅行代であれば問題ないということなのですが、一般的には、過度に高くないかどうか、従業員平等に旅行の機会が与えられているかどうかなどが重要となってきます。

例えば、ハワイは認められにくいけど、国内旅行は認められやすいというイメージがわかりやすいかと思います。

また、家族が事業に従事していたとして、家族以外の従業員と同様の待遇で従業員旅行に行った場合、その費用が福利厚生費として認められるケースもあります。

【7】個人事業主自身の給与は経費にできない!

従業員の給与は経費にできるが、事業主自身の給与は経費にはできないことに注意してください。

事業主自身の給与を経費にできてしまえば、所得がゼロになるまで事業主の給与にあててしまうことができてしまいます。よくよく考えてみれば、自身の給与は経費にできないというのは、当然のことですね。

【8】専従者控除という裏ワザがある

また、原則、個人事業主が生計を一にする配偶者などの給与の支払いも経費にすることはできません。

しかしながら、青色事業者専従者給与の届出を出した家族などで条件を満たす場合には給与を経費にすることができます。

家族に自身の事業のために少し働いてもらって、説明がつく範囲内で、その家族に給与を支払うことで、経費を少しばかり増やすという手法は、個人事業主が良く使うちょっとした節税術です。

頭の片隅にいれておきましょう。

【9】10万円以上の備品は減価償却費を通して経費になる

10万円以上の固定資産などの資産を購入した場合、その購入代金全額を一括で経費にできない場合があります。この場合には、減価償却を通して、数年にわたってその購入代金を経費としていくことになります。

このような、減価償却費を通して経費計上しなければならない資産のことを減価償却資産とよびます。

減価償却資産には、法定耐用年数(資産が使える寿命のようなもの)が税法で定められていて、この法定耐用年数の期間でその購入代金を按分して、減価償却費として経費計上することになります。

ちなみに、法定耐用年数については、例えば、自動車だと4年~6年、パソコンだと4年などと細かく決められています。

個人事業主の場合、減価償却費の按分方法は原則として、定額法と呼ばれる月々の費用額が均等になるような方法をとります。

したがって、例えば、新品で48万円のパソコン(法定耐用年数4年)を買った場合、買った月から4年間(48か月)、1か月で1万円(48万円÷48か月=1万円)ずつ減価償却費を経費として計上していく必要があります。

ちなみに、減価償却費は毎月計上していくため、例えば12月にこのパソコンを買った場合には、1万円円しかその年の減価償却費としては計上できないということに注意してください。

なお、あらかじめ税務署に申請することで定率法という取得年度に比較的多額の減価償却費を計上するような方法も認められています。

また、新品でない場合、法定耐用年数が下がる場合がありますので、その点も注意が必要です。

そのほかにも、事業用に購入した設備であって稼働停止のものなども減価償却費として経費にすることはできないという定めなどもあります。

【10】10万円以上20万円未満の資産は、一括償却資産の制度を賢く使う!

10万円以上20万円未満の資産については、法定耐用年数に関係なく3年で均等に減価償却できる資産(一括償却資産とよぶ)があります。

例えば、15万円のパソコン(法定耐用年数4年)の場合、この一括償却資産とすることで、1年間で5万円の経費とすることができ、経費の額を増やすことができます。

ちなみに、この一括償却資産の制度を利用した場合は、毎年3分の1を減価償却費とすることができるため、毎月計上しなければならない減価償却費の計算とは違うというところがポイントです。

なので、12月にこの15万円のパソコンを買ったとしても、その年に3分の1の5万円を経費として計上できるのです。

【11】30万円未満の資産は少額減価償却資産の特例を使うのがおすすめ!

30万円未満の資産については、少額減価償却資産の特例を使うことで、その年に一括で減価償却費として経費計上できる方法があります。

ただし、この制度はのちほど説明する、「青色申告」をしている人しか使えませんので注意が必要です。

【12】貸倒金は回収不能なことを客観的に示す必要あり!

回収不能になった売掛金、受取手形、貸付金などは貸倒金として経費にすることができますが、客観的に回収不能とは判断されないものは貸倒金として認められない場合があります。

債権放棄を通知書によって通知するなどの方法で、客観的に回収不能であることを明示する必要があります。

【13】自宅兼事務所の地代家賃は家事按分を利用

個人事業主の方の中には自宅兼事務所で仕事をしているという方もいるのではないでしょうか。

その場合、のちほど紹介する家事按分により、家賃全額に一定割合をかけて地代家賃として計上することができます。

【14】敷金、保証金は経費にできない!

事務所の賃借料は全額地代家賃として経費にすることができますが、敷金、保証金は経費にはならず、資産として処理することに注意が必要です。

なぜなら敷金、保証金は、退去時に原則として全額戻ってくる前提で支払っているからです。

また、礼金は、20万円未満の場合は一括して経費にできますが、20万円以上の場合は、資産として処理し、借りている期間もしくは、5年間で減価償却する必要があります。

礼金は、あくまで、「契約している間、その場所を貸してくれてありがとう」という謝礼の意味で支払うものなので、その契約期間で費用にしなければならないとされています。

【15】借入金の元本返済は経費に計上できない!

銀行などの借入金の元金の返済は経費にできないことに注意が必要です。

借入金は、お金を借りたときに負債が増え、返済したときに負債が減るだけで、お金が移動しているだけにすぎないため、費用とはそもそも性質が違います。

少し考えてみてください。もし元本の返済が経費にできるとしてしまえば、お金を借りたときには収入にできてしまうことになります。

ただし借入金の利息については、事業を行う上で、必要な借入を行ったことから生じた費用として経費にすることができます。

自宅兼事務所で持ち家の場合、住宅ローンの利息については、のちほど紹介する家事按分により、一定割合を経費とすることができますが、住宅ローンの元金にあたる部分は経費にできませんので注意してください。

【16】所得税、住民税など一部の税金は経費にできない

所得税、住民税はそもそも総収入から経費を差し引いた所得に対して発生する税金であるため、経費にすることができません。

また、罰金や税金の延滞金なども原則として経費にはできません。

【17】自宅兼事務所の水道光熱費は家事按分

自宅兼事務所の場合は、仕事でどのくらい使っているかを基準に、のちほど説明する家事按分によって光熱費に対して一定割合をかけてその額を水道光熱費として計上します。

【18】生命保険料は経費にできる?

個人事業主の場合、個人事業主自身やその家族を被保険者とした生命保険の保険料は経費にはなりません

これはプライベートな支出として扱われるからです。

ただし、特定の生命保険は所得控除の対象になるため、節税にはなる可能性がありますのでよく確認しましょう。

【19】盗難や災害にあった場合の損害は経費になるの?

事務所で盗難、あるいは災害があったときなどに、事業のお金が盗まれた、事業用の資産がなくなったなどがあれば経費にできます。

ただし、現金が盗まれたことを証明するためには、日ごろから現金出納帳をつけておき、現金がなくなったことを客観的に示せるようにしておく必要があります。さらに盗難の場合は、被害届の控えなども重要な証拠になるため保管しておきましょう。

家事按分を徹底解説

前章で、多くでてきた家事按分をここでは徹底解説します。

そもそも家事按分って何?

自宅の一部を事務所として開業している個人事業主もいらっしゃるでしょう。このような場合、自宅の家賃全額を経費にすることは認められていません。

例えば、自宅の広さに対して、事業用に使っている面積がどれくらいなのかを客観的に示して、その割合に対する家賃を経費にするなどの方法をとる必要があります。

同じように水道光熱費や通信費も事業用と生活用の両方で使っている場合、それぞれを適した割合で按分して、経費にできる額を算出する必要があります。

このように生活費と事業を行う上で発生する費用が一緒となった場合に、その費用を生活費と事業用に分けることを家事按分と呼びます。

家事按分においては、客観的に根拠を示せる割合を使っているかどうかが重要となります。

家事按分における按分割合の決め方

では、具体的には、どのように按分割合を決めるのでしょうか?

按分割合の決め方は、面積から算出する方法と時間から算出する方法の2種類が一般的です。

【1】家賃の家事按分の割合はどうやって決めるの?

まず、家賃については、事業用と生活用で使用する面積の割合をもとに算出することが一般的です。

例えば、自宅の書斎を仕事部屋としており、その書斎の広さが自宅面積の20%にあたる場合、20%の割合で按分することになります。

なお、持ち家の場合には、固定資産税、住宅ローンの利子などを家事按分の対象とすることができます。

ちなみに、明確な基準はありませんが、一般的に家賃の家事按分の上限は5割程度といわれています。

【2】水道光熱費、通信費の家事按分の割合はどうやって決めるの?

つづいて、水道光熱費、通信費については、その使用時間の割合で計算することが一般的です。

ただし使用時間を厳密にはかることは難しいので、例えばこんな考え方があります。

▼平日の9時から17時まで仕事をしている場合

業務時間8時間×5日=40時間→事業用とする

1週間の合計時間である24時間×7日=168時間

約25%(40時間÷168時間)を業務に使用したとする。

使用時間の割合に関してはある程度合理性のある説明が求められる点に注意が必要です。

また、ガス代は事業で必要でない限り認められないことが多いようです。

ちなみに、上記の代表的なもの以外にも、プライベートと事業の兼用で使っている車のガソリン代、自動車保険料、火災保険料、固定資産税なども家事按分の対象とすることができます。

領収書、レシートなどの必要性から受け取り方、管理方法までを徹底解説

経費に計上できるもの、できないものを前章で徹底解説いたしました。

最終的に経費として認められる、認められないを判断するのは税務署です。税務署が調査に入ったときに、その経費を証明するものとして領収書やレシートなどがあります。

ここでは、領収書やレシートの必要性から受け取り方、管理方法まで徹底解説していきます。

領収書って本当に必要?

経費の証明として、必ず領収書が必要だと思っている人はいませんでしょうか?

実はそんなことはありません

事業との関係性がわかるものであればレシートであっても認められます。

また、電車代や自販機で買った飲み物など、通常、領収書やレシートもらわない費用の場合には、相手先の名前や金額、日時などをメモとして記載したうえで、取引の事実がわかる伝票などとともに保存しておくことで、領収書やレシートなどのかわりになるケースもあります。

ちなみに、Suicaなどの電子マネーは交通費以外にも物品購入などで使えるため、チャージの際の領収書は交通費の証拠として利用することは原則できません。

さらに最近では、クレジットカードの明細、銀行口座の引き落としの明細、ICカードの明細などを経費の証明とする人が増えています。

消費税の申告をする必要がある個人事業主でなければ、これらの支払いをしておけば、そもそも、領収書をもらう必要がないのです。

なお、消費税の申告をする必要があるときは、支払いの内容を証明しなければならない場合があるため、領収書やレシートが必要な場合がありますので注意してください。

また、逆に領収書さえあればなんでもよいわけではありません。

「品代として」と記載された領収書で、事業との関係性が把握できないものであれば、それが経費として認められるための証拠にならない場合もあるので注意が必要です。

インボイス制度との兼ね合いで領収書の必要性はより増していることにも注意が必要です。

インボイス制度の概要

2023年10月よりインボイス制度ができました。
インボイス制度は消費税申告をしている個人事業主の皆様にとっては大きく影響してきます。
消費税申告の制度とは、簡単にいうと、「売上などにかかって受け取った消費税」は国に納める必要がある一方で、逆に「支払った消費税」については国から返金を受けることができ、その金額を申告する制度です。
ここで、「支払った消費税」については、原則として請求書や領収書を保管する必要があり、かつ支払った相手方が「適格請求書発行事業者」である必要があります
ただし、令和11年9月30日までは、特例として、自身が2年前の売上(課税売上)が1億円以下のいわゆる「一定規模以下の事業者」である場合、1万円未満の仕入は「請求書や領収書の保管」が不要となる「少額特例」という制度があります。

領収書に書いてないとダメなことは?

経費として認められるようにするために、領収書、レシートそのほかの証拠書類はできるかぎり保管したうえで、用途などをその都度明確にメモするように日ごろからこころがけましょう。

領収書であれ、レシートであれ基本的には以下のような項目は証拠書類として必要になるケースが多いので覚えておきましょう。

なお、収入印紙については、本来貼るべきものに貼っていないからといって領収書としての効力がなくなるわけではありませんので特段気にする必要はありません。

ポイント

  • 日付:領収書発行日
  • 宛名:屋号や個人事業主名を記載
  • 支払先事業者名:領収書を発行した会社名
  • 代金:利用金額
  • 摘要、品目:但し書きとして記載

ちなみに、インボイス制度を考えると、大手以外への比較的規模の小さな飲食店への支払いなどでもらう領収書では「Tから始まる登録番号」も原則必要になります。

領収書の保管方法は?

領収書の保管方法は、税務調査が入った際にまとめて出せるようにしておけば、特段きまりはありません。1枚1枚キレイに紙に張り付けなくても全く問題ありません。

個人事業主の税金の仕組みは?経費が増えたら税金はどうなるの?

ここまでは、経費の話をしてきましたが、この章では、経費がどのように個人事業主の税金にかかわってくるのかを解説いたします。

個人事業主の税金の計算期間は?種類は?

個人事業主は、原則として、1年間(1月1日~12月31日)の総収入から1年間(1月1日~12月31日)の経費を差し引いた額を所得とし、その所得に対して、所得税や住民税などを納める必要があります。

税金の計算方法は?

所得税は、所得が多ければ多いほど税率が上がるような設計となっており、所得が195万円以下であれば税率が5%であるのに対して、所得が4000万円を超えた分については、45%もの多額な所得税を納める必要があります。

このように所得が多ければ多いほど納める税率が増えるような所得税の税率が上がる仕組みを「累進課税」とよびます。

一方で、住民税は市町村ごとに変動がある場合もありますが、所得に対して例えば一律10%となっていたりします(均等割や所得控除などの細かい諸条件は考慮していません)。

経費が節税にどうかかわってくるのか?

個人事業主Aさんの所得が5000万円だったとしましょう。

その場合、単純計算でいくと、Aさんは所得税が1770万円、住民税が500万円となります。実は、Aさんは経費1000万円を計上し忘れていたとしましょう。

もし、経費1000万円を計上していればAさんの所得は4000万円となるため、所得税が1321万円、住民税が400万円となります。

つまり、Aさんは、経費1000万円をしっかり計上していれば、

(1770万円+500万円)―(1321万円+400万円)=549万円

得をしていたことになるのです。

 したがって、個人事業主の場合は、収入額が同じであっても、経費が高ければ高いほど所得が減り、納める税金の額が減ることになります。これが、いわゆる節税につながってくるのです。

ちなみに、経費以外でも、個人型確定拠出年金やふるさと納税を利用した節税などもあります。

これらは個人事業主であってもサラリーマンであってもできる節税方法になります。

ご存知ない方は、一度調べてみるとよいでしょう。

また個人事業主が経費計上するメリットについて、こちらの記事で詳しくご紹介しています。

ぜひご一読ください。

個人事業主の確定申告について徹底解説

ここでは、個人事業主の確定申告について徹底解説します。

この確定申告をすることで、個人事業主の所得税や住民税を申告し、それらの税金を納めることになります。

確定申告の種類(青色申告と白色申告)について

個人事業主の確定申告には、白色申告と青色申告の2種類があります。以下2種類の申告の違いについて説明します。

【1】青色申告のメリットは大きい

青色申告は白色申告と違い、複式簿記によって帳簿をつける必要があるものの、節税メリットが高いため青色申告がオススメです。

白色申告ではできない、青色申告による節税メリットは例えば以下のようなものがあります。

青色申告のメリット

  • 家事按分における事業の割合が50%に満たない場合でも経費にできる。
  • パソコン、応接セットなどの大きな出費でも30万円未満であれば一括で経費にできる。(前述の少額減価償却資産の特例)
  • 家族に事業を手伝ってもらった場合、家族への給与を専従者給与として経費にすることができる。

【2】白色申告で認められる専従者控除について

青色申告のほうが節税メリットを受けられるためおすすめではありますが、帳簿をつけるのが面倒などの理由により白色申告を選択される方もいるかもしれません。

白色申告では、親族への給与は経費になりませんが、支払った給与の額に関係なく、一定金額の控除は認められています。その控除のことを専従者控除とよびます。

専従者控除に該当する人かどうかは、次の3つの条件すべてを満たすかどうかになります。

専従者控除の条件

  1. 白色申告者と生計を一にする配偶者、その他の親族である
  2. その年の12月31日現在で年齢が15歳以上である
  3. その年を通じて6か月を超える期間、その白色申告者の営む事業にもっぱら従事している

専従者控除の額は、下記のいずれか低いほうの金額になります。

A)事業主の配偶者であれば86万円、それ以外は50万円

B)「専従者控除前の所得の合計÷(専従者の数+1)」の金額

例えば、収入500万円で経費が300万円、専従者が1人(配偶者)の場合、Aは86万円、Bは(500万円―300万円)÷(1人+1人)=100万円

となり、Aの86万円の方が低いため、86万円が専従者控除の額となります。

確定申告の準備、必要書類、保管期間まで

普段から確定申告の準備をしておくことが、個人事業主にとっては非常に大切です。

なぜなら、経費の計算や利益が出たときの節税対策、資金調達などは、日々の収支状況を見ながら適時に行う必要があるからです。

確定申告に必要な書類を確認し、確定申告に向けた準備を進めましょう。

【1】青色申告の場合

<提出書類>

青色申告決算書

青色申告の際に提出しなければいけない書類。この書類に収入金額や経費などの内訳を記載します。

参考

保管書類

・帳簿(仕訳帳、総勘定元帳、現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳など)

保存期間:7年間

・決算関係書類(損益計算書、貸借対照表、棚卸表など)

保存期間:7年間

・現金預金取引等関係書類(領収書、小切手控、預金通帳、借用証など)

保存期間:7年間(ただし、前々年分所得が300万円以下の場合は5年)

・その他の書類(請求書、見積書、契約書、納品書、送り状など)

保存期間:5年

これらの書類は、確定申告のときに提出する必要はありませんが、税務調査などで必要になるため、保管しなければならない書類です。

【2】白色申告の場合

<提出書類>

収支内訳書

白色申告の際に提出しなければいけない書類です。

この書類に収入金額や経費などの内訳を記載します。

参考

保管書類

・法定帳簿(収入金額や必要経費を記載した帳簿)

保存期間:7年間

・任意帳簿(業務に関して作成した上記以外の帳簿)

保存期間:5年間

・決算に関して作成した棚卸表その他の書類

保存期間:5年間

・業務に関して作成し、又は受領した請求書、納品書、送り状、領収書などの書類

保存期間:5年間

これらの書類は、確定申告のときに提出する必要はありませんが、税務調査などで必要になるため、保管しなければならない書類です。

【3】確定申告は税理士に相談するのがおすすめ

確定申告については、税理士に依頼するとトータルでサポートしてもらえるため、税理士費用との相談にはなりますが、不安であれば税理士に依頼することをおすすめします。

また、税制は原則1年ごとに変更がかかりますが、税理士は、その動向にも詳しいため、税理士費用を十分ペイできるような節税につながる可能性もあります。

法人化すれば、経費の範囲が変わってくる

「一定の規模になったら法人を作った方がいいよ」などと聞いたことはないでしょうか?

実は法人の方が個人事業主より経費として認められる範囲が広いのです。

法人化にするタイミング、スキームなどについては、税理士や行政書士などに相談するのが良いでしょう。

会計ソフトは便利

会計ソフトは非常に便利です。

特にクラウド型会計ソフトは別格です。

クラウド型の会計ソフトを使っていない人がもしいれば、経理の工数が相当減ると思いますので、クラウド型会計ソフトを絶対に導入すべきと断言できます。

また、会計ソフト無しで確定申告しようなんて甘い考えをもっている人も、

「安い」もしくは「無料の」クラウド型会計ソフトを導入して経理の時間削減を絶対にすべきです。

会計ソフトのコストよりも、クラウド型会計ソフトを利用することによる、経理時間や経理コストの削減効果の方が大きいからです。

おすすめのクラウド型会計ソフト3選

「安い」もしくは「初年度無料」で機能も充実しているクラウド型会計ソフトは実は3つしかありません。

~おすすめ会計ソフトまとめ~

freee

マネーフォワード

やよいオンライン

個人 青色申告




初月無料
年間11,760円
(一番安いプラン)
初月無料
年間10,800円
(一番安いプラン)
初年度無料
年間8,800円
(一番安いプラン)
個人

白色申告

初月無料

年間11,760円

(一番安いプラン)

初月無料

年間10,800円

(一番安いプラン)

永久無料

法人

初月無料

年間23,760円

(一番安いプラン)

初月無料

年間35,760円

(一番安いプラン)

初年度無料

年間27,800円

(一番安いプラン)

使いやすさ

初心者向け

経験者向け

経験者向け

機能

クラウド会計としての機能充実

クラウド会計としての機能充実

クラウド会計として後発

公式HP

freee公式マネーフォワード個人向け

マネーフォワード法人向け

やよい青色申告オンライン

やよい白色申告オンライン

弥生会計オンライン(法人向け)

※料金は税抜表示

ちなみに、費用面では、やよいオンラインが比較的安いといえます。

やよいオンラインは、初年度無料キャンペーンも行っていますので、費用面ではどこをとっても他の会計ソフトより強いと言わざるを得ません。 

費用面を最優先されるという方であればやよいオンライン一択といってもよいでしょう。

👇1年間無料で使える👇

やよい青色申告オンライン公式

ちなみに、おすすめの会計ソフト、会計アプリの紹介記事もありますので、よろしければご覧ください。

ポイントはクレジットカード、銀行口座との同期

freeeやマネーフォワードを使う一番のメリットは、銀行口座やクレジットカードと同期させることができることです。

これを利用することで、現金払い以外の支出は、手間をかけずに、網羅的に経費として計上することができます。

この機能が、非常に便利で、私のまわりでも利用者が増えています。

税務調査について

ここまでは経費を管理するための方法、税務調査までの準備について解説してきました。

最後にいざ、税務調査がきたらどうすればいいのか?を解説いたします。

皆さん、なかなかなじみがないので気になるところではないでしょうか?

税務調査が目をつける基準

経費に上限はありませんが、税務署が目安にしている基準は存在しているようです。

例えば、年間の売上が1000万円なのにもかかわらず、1000万円以上の接待交際費を使っていた場合、私用で使ったのではないかと税務署に疑われるケースがあります。

税務署には、業種ごとに売上に対する経費として妥当とされる比率の基準があり、それよりも大幅に高い場合には、調べられるといった話もあります。

さらに、利益がわずかしか出ていないのに生活できているのはなぜか?といったような見方でも税務署はチェックしているようです。

ただし、これらはあくまで目安であり、事業に関係する費用であれば上限なく経費とすることはできるのです。

税務署に目を付けられるからいくらまでにしておこうなどと考えるのはナンセンスです。

税務調査が実際にきたら、どうすればいいの?

税務調査がきても全く恐れる必要はありません

まず、税務調査がきた場合は、保管していた領収書、レシートなどや帳簿などを提出する必要があります。

また、適宜ヒアリングに応じる必要があります。

なお、税務調査では、通常、1~3年ほど前の分の所得までチェックが入ります。

税務調査のチェックポイント

経費について、税務調査でチェックされるポイントは、なんといっても、事業との関係性が明確な費用であるかどうかがです。

その事業との関係性は、主に以下の3点の目線で確認されるといわれています。

注意ポイント

  1. 必要な理由は何か?
  2. どこで発生したか?
  3. どのくらいの頻度で発生しているか?

「社会通念上」という概念

事業との関係性がわかりにくい費用は、「社会通念上、妥当であるかどうか」という観点で税務署は判断します。

これは税務でよく使われる言い回しですが、わかりやすくいうと、一般的な大多数の人が納得できる常識の範囲内かどうかです。

不安な人は税理士をつけておく

税理士をつけておくと、税務調査対応を原則すべてやってもらえるので安心です。

それなりに規模が大きくなってきて、税務調査が入るんじゃないかと心配な人は、税理士をつけるのも一つの手です。

実際に税務調査が入ってから慌てて対策してもできることは限られますが、税務調査が入らないようにしっかりと税理士の手を借りながら申告しておくことに越したことはありません

格安で確定申告が可能な税理士

最後に、格安で確定申告を依頼できる税理士を紹介したいと思います。

節税のことや経費のことを自分で勉強するのは結構時間がかかります。

また、確定申告は非常に面倒な作業です。

ですので、「税理士を安くつけることはできないか」と誰もが考えます。

税理士は質で選んだほうが節税に結果的につながるから良いと税理士である筆者は主張したいところですが、

ほとんどの方は税理士を値段で選ばれているのも事実です。

そこで、個人の皆様にできる限り安い税理士サービスを紹介できないかと選んできたサービスがこちらになります。

弊社が調べた限り、このサービスより安く確定申告を依頼できるところはありませんでした。

まだ税理士をつけていない方は、少しくらい費用を払ってでもいいので税理士をつけることをおすすめします。

どれだけ自分で税金や経費のことを勉強していても、勘違いしてしまっていることは実は山ほどあります。

税金や経費に関する記事も間違いがよく見受けられます。

そういった勘違いや間違いを防ぐとともに、情報収集の手間を大幅に防げるのが税理士に依頼する最大のメリットなのです。

以下の税理士事務所は10万円前後で確定申告代行を依頼できる非常に格安な税理士事務所です。

みんなの会計事務所の確定申告代行

合計の収入が数百万円程度と低い方は、みんなの会計事務所の確定申告代行サービスを利用いただくと安くなる可能性が高いと思います。

ただし、仮想通貨の収入がある方で、海外の取引所を利用している方には対応していませんので注意してください。

みんなの会計事務所はこちらから

よろしければ、お見積りをとってみてください。

税理士の探し方や各地域でのおすすめ税理士をご紹介

各地域でのおすすめ税理士や税理士の探し方などをご紹介している記事もあります。

よろしければ、参考にしてみてください。

まとめ

個人事業主の経費に上限はありません

しかし、経費として認められるためには客観的な説明ができるようにすることが重要です。

正しく経費を計上することで節税メリットを十分に活用し、個人事業を成功させましょう。

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