個人事業主をしていると、これは経費で落ちないのか?と日頃考えることも増えてきます。
そこで、みんなが疑問に思うことの一つとして、スーツなどの洋服代や散髪代は経費にできないの??という疑問です。
結論からいうと、ケースバイケースで洋服代や散髪代も経費にすることができます。
今回はスーツなどの洋服代や散髪代を経費で落とす方法を大公開いたします。
また節税対策はスーツや散髪代を経費にすることだけではありません。
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目次
- 1 経費計上できるかどうかのポイントは事業との関連性を示せるか否か
- 2 過去の判例からも例外的にスーツ代を経費とすることはできるとされている
- 3 項目ごとに経費にするために必要なことを徹底解説
- 3.1 スーツなどの洋服代を経費で落とすために必要なこと
- 3.2 「勤務上必要」という条件とは?どういった仕事の場合、洋服代は経費に認められる?
- 3.3 勤務のみに使用していることを証明できるような管理方法をとっておくとより無難
- 3.4 「勤務上必要とした支出の部分を明確にできるかどうか」とは?営業に週5で出ている人の場合は?
- 3.5 経費にできるスーツ代の上限はあるの?
- 3.6 靴も経費で落とせる?
- 3.7 クリーニング代も費用にできるの?
- 3.8 散髪代は経費で落とせるの?
- 3.9 家賃も家事按分を使って経費で落とせる。経費になる金額の計算方法は?
- 3.10 食事代は経費で落とせるの?
- 3.11 副業しているサラリーマンでもスーツ代や散髪代を経費に落とせるの?
- 4 確定申告、税務調査に備えての仕訳の方法
- 5 スーツ代については、税理士に聞いても悩むくらい難問
- 6 法人に勤めるサラリーマンでも洋服代や散髪代を落とせるの?
- 7 会社社長と個人事業主に対する税務署のスタンス、税金に対する考え方の違いを理解することが重要
- 8 まとめ
経費計上できるかどうかのポイントは事業との関連性を示せるか否か
スーツなどを含む洋服代や散髪代は、家事関連費すなわちプライベートな生活費ではあるが、事業上必要となる場合もある経費になる可能性があるとされています。
家事関連費であれば、事業遂行上必要な費用のみを経費として落とせると国税庁が定めていることから、この家事関連費は原則として経費にすることはできません。
しかし、一方で国税庁のウェブサイトでは、
この家事関連費のうち必要経費になるのは、取引の記録などに基づいて、業務遂行上直接必要であったことが明らかに区分できる場合のその区分できる金額に限られます
と書かれています。
裏を返せば、明らかに仕事に必要だと証明できれば経費にできる可能性があるということになります。
過去の判例からも例外的にスーツ代を経費とすることはできるとされている
実は、昭和49年5月30日の京都地裁の判例で、個人事業主の被服代、クリーニング代、散髪代は、誰もが必要とし個人の趣味によってかなり金額などにも差異がでるから、一般的には個人的な家事消費たる家事費に属するとされました。
つまり、一般的にスーツを含む洋服代や散髪代は家事費であり、完全プライベートな生活費と思われるため、経費にできませんと言ってます。
先ほどの章で洋服代や散髪代は経費にできるといっておきながら、判例ではできないの?どっちなの?と思われたかもしれません。
実は、「一般的」というところがポイントなのです。
この判例には続きがあります。
一定の地位、職種に応じ、背広等の被服代の支出のうち、勤務上必要とした支出部分は、必要経費になると認める可能性があるというのです。
ここでのポイントは二つです。
ポイント
- 勤務上必要といえるかどうか(家事費なのか家事関連費なのか)
- 勤務上必要とした支出の部分を明確にできるかどうか(家事関連費であれば、事業に使っている部分の支出はいくら?)
この2つをしっかりと説明できれば、例外的にスーツ代は家事費ではなく、家事関連費となり、経費にできるということです。
ちなみに、家事費とは生活費、家事関連費とは生活費でもあり事業関連経費でもあるような費用のことをいいます。
項目ごとに経費にするために必要なことを徹底解説
ここからは、具体的にどういった場合に、経費にどれくらい落とせるのかを解説していきたいと思います。
スーツなどの洋服代を経費で落とすために必要なこと
まずは、「勤務上必要といえるかどうか」という点で、仕事でどうしても必要であることを証明しなければなりません。
例えば、営業の際にスーツが必要である職種の方が購入するスーツは業務上必要といえます。
また、キャバクラ嬢のドレスや、マジシャンが特注の衣装を作ってもらうような場合も勤務上必要といえるでしょう。
「勤務上必要」という条件とは?どういった仕事の場合、洋服代は経費に認められる?
その他、「勤務上必要」といえる条件として以下のような場合が考えられます。
経費として認められる例
- 保険外交員、営業マン、弁護士などの士業などが仕事で着用するスーツ
- 職場でスーツ、ネクタイの着用を義務付けている場合のスーツ、ネクタイ
- 派遣先でスーツ着用を義務付けている場合のスーツ
- 大事な商談、セミナー用に専用に保管しているスーツ
- 得意先から指定のスーツで訪問するように指示された場合のスーツ
一方で、以下のような場合には、「勤務上必要」とはいえない可能性が高いでしょう。
認められない例
- ビジネスカジュアルで仕事をしているフリーランスの洋服(業務上、必ずビジネスカジュアルである必要がないと考えられるため)
- 仕事以外でも習慣的にスーツを着ている人のスーツ
勤務のみに使用していることを証明できるような管理方法をとっておくとより無難
仕事内容だけでは、勤務上必要とまで言い切れないと判断される可能性もあるため、さらに以下のような客観的証拠を用意しておいた方が無難です。
客観的な証拠となること
- 仕事用のスーツと、冠婚葬祭用のスーツを分けて保管、管理しておく
- 毎日の服装をメモしておくもしくは写真をとって管理しておく
- 経費でおとすスーツは、事務所の更衣室などに保管しておき、家には保管しない
「勤務上必要とした支出の部分を明確にできるかどうか」とは?営業に週5で出ている人の場合は?
次に、「勤務上必要とした支出の部分を明確にできるかどうか」という点です。
実際に、業務でしか使用していないとしても、日常でも使える可能性があるだろうという指摘にたえうるように、一定の割合のみを経費としておく人も多いようです。
例えば、1週間のうち平日の5日間、基本的に営業の仕事をしているという人は、スーツ代のうち7分の5を経費とするのが良いでしょう。
なお、この按分は家事按分とよび、他の家事関連費に対しても頻繁につかう按分になるため、しっかり理解しておきましょう。
ただし、税務署に私用にはまったく使っていませんと断言できる証拠があるのであれば、無理に家事按分せずに、全部を事業用とすることも問題はありません。
ケースバイケースで家事按分は利用しましょう。
また家事按分について詳しく知りたい方はこちらの記事も参考にしてみてください。
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経費にできるスーツ代の上限はあるの?
よく、他の記事を見ていると、高額なスーツは経費に認められないといったことが書かれています。
スーツ代はたしかに、業務上必要と認められない程度に高いスーツ代であった場合、安いスーツでよかったのではないかとつっこまれるリスクがあります。
あるいは税務署のノルマを考えれば、大物を仕留めたいという気持ちから、高額なスーツ代の方がつっこまれやすいです。
しかしながら、スーツは相手へ与える印象をよくして、事業活動を円滑に進める目的で購入するものです。
一定程度高額なスーツであっても、事業上必要であることを説明できれば、問題にはならないでしょう。
またスーツのほかにも経費にできる範囲を詳しく知りたい方はこちらの記事を参考にしてください。
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靴も経費で落とせる?
靴もスーツと全く同じ理屈で経費に落とすことができます。
スーツと一緒に履く革靴、キャバクラ嬢がドレスにあわせて履くピンヒールなどが該当するでしょう。
クリーニング代も費用にできるの?
スーツのクリーニング代、仕事で使う服のクリーニング代も経費にすることができます。
ただし、洋服代を家事按分している場合には、クリーニング代も家事按分が必要ですので注意してください。
散髪代は経費で落とせるの?
散髪代は洋服代よりも、さらに事業上必要ということを証明しづらいものになるため、原則経費にすることは難しいでしょう。
しかしながら、キャバクラ嬢が出勤前に毎日美容院でセットしてもらっている場合や、得意先の結婚式に出るための美容院セット費用など、特定の場面では事業との直接的な関連性を証明できるため、経費にすることができるでしょう。
また、通常の生活する上では、2か月に1回でよいものを、職務都合上、1か月に1回にしていると証明できる場合の増加した散髪代のうち、業務時間割合分のみを家事按分をした場合なども、散髪代を経費にできる可能性があります。
あくまでケースバイケースですので、考え方を理解して、応用することが重要です。
家賃も家事按分を使って経費で落とせる。経費になる金額の計算方法は?
フリーランスなどの個人事業主の場合、家で仕事をしている時間も多いでしょう。
事務所を別にもっていたとしても、家で仕事をしていることが客観的に示せれば、家事按分を利用し、家賃の一部も経費とすることができます。
ちなみに、家賃の場合は、事業に利用している面積の割合や、業務時間割合などを利用して家事按分するケースが多いです。
家賃の家事按分については、こちらの記事に詳しく紹介していますのであわせてご覧ください。
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食事代は経費で落とせるの?
普段の食事代も、業務に関連していれば経費に落とせます。
ちょっと得意先とランチにいって、仕事の話をしつつ雑談をしていたとしても、業務を円滑にすすめるための、仕事の話であり雑談であれば、しっかりと経費に落とせますので、意識しておくと節税につながるでしょう。
副業しているサラリーマンでもスーツ代や散髪代を経費に落とせるの?
副業しているサラリーマンであっても、副業している部分については個人事業主であり、事業所得が発生していますので、そこにあてる必要経費として計上することは可能です。
ただし、金額が極めて低いので、副業しているサラリーマンがスーツ代などを経費でおとしているパターンはまれでしょう。
確定申告、税務調査に備えての仕訳の方法
具体的に、スーツ代を落とす際の仕訳をここでは解説したいと思います。
例えば、14万円のスーツを買い、業務上必要であり、かつ週の5日は業務をしているため、家事按分で事業割合を7分の5にしたとします。
その場合の仕訳はこのようになります。
消耗品費 10万円 / 現金預金 14万円
事業主貸 4万円
ポイントは、事業主貸です。
スーツ代は、原則は経費に落とすことはできません。
なので、しっかり「家事按分をしてます」とアピールすることが税務署への心象をよくすることにつながります。
上記のような仕訳をきっていれば、「ちゃんとわかってますよ!」というアピールになるのです。
スーツ代については、税理士に聞いても悩むくらい難問
さて、税理士にスーツ代は経費になるのか?と相談したら、
多くの税理士が、「難しいですね」の一言で終わらせてくるかもしれません。
税理士はたくさんのクライアントをもっていて一人のクライアントあたりに割ける時間が決まっていますし、リスクを嫌う傾向にあります。
このような理由から、「難しい」の一言で終わらせてしまう税理士が多いように感じます。
本当に親身になって考えてくれる税理士であれば、「難しいですけど、条件次第では経費に落とせますよ」といってくれるはずです。
顧問税理士をこれからつける、あるいは顧問税理士がすでにいる人は、こういうきわどい質問をしてみて、その税理士がどういう人かを確認するのもありですよ!
法人に勤めるサラリーマンでも洋服代や散髪代を落とせるの?
そもそも、サラリーマンのような給与所得者であっても旅費交通費、研修費、資格取得費、図書費、衣服費、交際費などの合計が、基準となる金額を超えた場合には、特定支出控除とよばれる経費の計上が認められています。
ここには、スーツ代も当然に含まれています。
実は、昔はスーツ代の控除は受けられなかったのですが、平成26年の税制改正から図書費、衣服代、交際費も経費として認められるようになりました。
なのでサラリーマンのスーツ代が経費として認められるのであれば、個人事業主のスーツ代も認められるように変更がかかったのでは?との見方もでてきています。
先に紹介した判例は昭和49年のものなので、そこから見解が変わったとみることもできるでしょう。
ちなみに特定支出控除は、極めてごく少数のサラリーマン(サラリーマンの1万人に1人程度)しか利用していないといわれています。
これは特定支出控除は、給与所得控除の額の半分より高い場合に利用できる制度ですが、年収500万円の場合でも77万円以上の経費が発生した場合にしか利用できません。
そこまで、必要な交際費や衣服代が発生するとは通常考えられませんし、超えるとしても金額はたかがしれているので、わざわざ利用していないサラリーマンが大半なのだと思われます。
しかも、税務署は基本的には給与所得控除の額で必要経費を補ってくださいというスタンスであるため、特定支出控除を利用できたとしても、税務署から指摘されるリスクもそれなりにあるでしょう。
そもそも制度を知らないサラリーマンが大半だとは思いますが・・・
会社社長と個人事業主に対する税務署のスタンス、税金に対する考え方の違いを理解することが重要
そもそも、スーツ代は、個人事業主では経費に原則できません。
それは立場が会社社長である場合でも同じで、会社社長が会社のお金でかったスーツ代を、その会社の経費にすることは原則できません。
しかしながら可能性として、会社の方が経費に認められるようにする手段がたくさんあります。
これはまさに会社という法人と個人事業主という個人に対する税務署の見方の違いが影響しています。
法人というのは、そもそもお金を稼ぐために設立されたものであり、そこで使うものは原則経費である。
ただし、特定の社員のためのみに支払った費用は、その人への給料ではないかと疑われます。
したがって、法人の場合は給与ではないという名目がしっかりしていれば、すべて経費にできると考えてもらえばよいかと思います。
一方で、個人というのは、そもそも生活をしている者が生活とは別に事業もしているという見方をします。
そこで税務署がみるポイントは、生活費(家事費)なのか、事業に関する経費なのか、はたまた両方で使う費用(家事関連費)なのかです。
このような税務署の考え方を意識すると、個人事業主の経費や節税に対する考え方の背景が理解しやすくなるので、覚えておくとよいでしょう。
最後にこうした日常生活上の費用を経費にすることの節税効果は、さして高くありません。
本格的に節税効果を高めたいなら、経費以外にもさまざまな手があります。
そうしたプロである税理士による節税対策は、顧問料を払ってもなお十分プラスにできるものです。
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まとめ
いかがでしたでしょうか。
スーツ代は、経費にすることは非常に難しい項目です。
しっかりと、自身で経費にできるのかどうかを考えたり、税理士としっかり相談したりした上で、経費にするかどうかを判断しましょう。